1961年1月 14歳の正月。
今年の正月は大事なことがある正月なのだ。それは、俺も今年から村の青年団に入るととになる。青年団は村に住む15歳から25歳の男女全員が入ることになっていて、(事情があって入らない人もいるが)現在は25人くらいの団員がいるということだった。
青年団の仕事は、村の集会所とだんじりの掃除、村祭りの時に神社までの道程に提灯を立てることなどだ。あとは、レクレーションとして花見などをやっているという。
正月2日に新年会を兼ねた入団式がある。今年は同い歳の女の人がいたが、その人は入らないということで俺一人になった。イサム兄ら4人が俺と入れ違いで今年退団する。年末に役員の人が家に来て、入団式の段取りや挨拶の口上などを教えてくれた。
当日は、式が始まる12時前に仲人(去年入団した人)が家に迎えに来た。オレはちょっと緊張していた。集会所までの道すがらに、もう一度挨拶の口上などについて教わった。集会所に入り土間から上がったところに正座した。仲人が「この度、○○さんが入団されることになりました。みなさま方の指導のほどお願いします」と述べ、つづいて俺が教えてもらった通り、「無精者ですがよろしくお願いします」といった。それに対して部屋の一番奥に座っていた団長が、「よう入団してくれた」と述べ、それに続いて、先輩団員全員が「こちらこそよろしゅうお願いします」といった。これで式は終わり、オレは一番土間寄りの台に座った。
10畳二間を仕切る襖を外した部屋には湯気とともにすき焼きのいい匂いが漂っていた。カンテキの入る丸型のすき焼台が5つ置かれていて、それぞれの台の周りには5~6人が座っていた。女の人が炊き役をして、男の若い人が、土間のカンテキにかけられた早鍋で酒の燗をしていた。
「みなさん、おめでとうございます」の団長の声で宴会が始まった。
「○○ちゃん、よろしゅう頼むでー。まあー、一杯いこう」と役員の人が代わる代わる酌をしに来た。仲人さんからは「あんまり飲まんでもいいけど、ちょっとは受けて返さなあかんで」といわれていたので、何杯か受けては返してをしていたら、顔が火照っていい気分になってきた。「片付けは明日や」という団長の声で3時間の宴会が終わった。
外へ出て寒空を見上げると星が光っていた。〝とうとうオレもこれで大人になったんや〟体の中から何か湧き上がるものを感じた。胸を張って少し大股で帰り道を歩いた。
今年の正月は大事なことがある正月なのだ。それは、俺も今年から村の青年団に入るととになる。青年団は村に住む15歳から25歳の男女全員が入ることになっていて、(事情があって入らない人もいるが)現在は25人くらいの団員がいるということだった。
青年団の仕事は、村の集会所とだんじりの掃除、村祭りの時に神社までの道程に提灯を立てることなどだ。あとは、レクレーションとして花見などをやっているという。
正月2日に新年会を兼ねた入団式がある。今年は同い歳の女の人がいたが、その人は入らないということで俺一人になった。イサム兄ら4人が俺と入れ違いで今年退団する。年末に役員の人が家に来て、入団式の段取りや挨拶の口上などを教えてくれた。
当日は、式が始まる12時前に仲人(去年入団した人)が家に迎えに来た。オレはちょっと緊張していた。集会所までの道すがらに、もう一度挨拶の口上などについて教わった。集会所に入り土間から上がったところに正座した。仲人が「この度、○○さんが入団されることになりました。みなさま方の指導のほどお願いします」と述べ、つづいて俺が教えてもらった通り、「無精者ですがよろしくお願いします」といった。それに対して部屋の一番奥に座っていた団長が、「よう入団してくれた」と述べ、それに続いて、先輩団員全員が「こちらこそよろしゅうお願いします」といった。これで式は終わり、オレは一番土間寄りの台に座った。
10畳二間を仕切る襖を外した部屋には湯気とともにすき焼きのいい匂いが漂っていた。カンテキの入る丸型のすき焼台が5つ置かれていて、それぞれの台の周りには5~6人が座っていた。女の人が炊き役をして、男の若い人が、土間のカンテキにかけられた早鍋で酒の燗をしていた。
「みなさん、おめでとうございます」の団長の声で宴会が始まった。
「○○ちゃん、よろしゅう頼むでー。まあー、一杯いこう」と役員の人が代わる代わる酌をしに来た。仲人さんからは「あんまり飲まんでもいいけど、ちょっとは受けて返さなあかんで」といわれていたので、何杯か受けては返してをしていたら、顔が火照っていい気分になってきた。「片付けは明日や」という団長の声で3時間の宴会が終わった。
外へ出て寒空を見上げると星が光っていた。〝とうとうオレもこれで大人になったんや〟体の中から何か湧き上がるものを感じた。胸を張って少し大股で帰り道を歩いた。