風・感じるままに

身の回りの出来事と生いたちを綴っています。

貴重な存在

2012-02-27 | 社会
東電福島第一原発事故についての福島原発事故独立検証委員会の「報告書」が発表された。全文はまだ読んでいないが、要旨がニュース等で伝えられている。それによると、報告は今回の事故を「人災-『備え』なき原子力過酷事故」だとして、次のように述べている。
 【「人災」の本質は、過酷事故に対する東電の備えにおける組織的怠慢にある。背景には、原子力安全文化を軽視してきた東電の経営風土の問題が横たわっている。不十分なアクシデントマネジメント策しか用意していなかったことを許容した点では、原子力安全・保安院も、保安院の「規制調査」を任務とする安全委も責任は同じである】と。
私は、今回の報告書の核心がここにあるのではないかと思った。「報告」はまた、「安全神話」を振りまき、原発を推進してきた電力会社や政府、大手マスコミや政党、御用学者らの責任にも言及している。

ここで思い出すのが、そのような状況の中で報道ではほとんど無視されてきたが、唯一、一貫して原発建設の危険性を指摘し続けてきた政党があったということは貴重だ。その政党は日本共産党だ。
同党は、現在の原子力発電が、技術的にも安全性が未確立であること、政府・電力会社が、“安全神話”をふりまいて、ずさんな管理・運営や建設を進めていることを厳しく批判してきた。とりわけ、世界の地震の一割が集中する日本列島に次々原発を建設することの危険と、政策の無謀さを指摘し、建設をやめるよう主張し、住民とともに運動してきた。同時に、建設が強行された原発に対しては、地震対策を抜本的に強化するように提起し続けてきた。

特に、同党の吉井英勝衆院議員は原子力問題に対する豊富な見識を持ち、度々国会で質問を行ってきた。2006年3月の予算委員会では、地震による原発のバックアップ電源破壊や津波による機器冷却系喪失により、最悪の場合には炉心溶融、水蒸気爆発、水素爆発が起こりうることを具体的に追及していた。また、津波による5㍍の引き波が発生した場合、日本の原発の約8割にあたる43基で、冷却水が一時的に海から取水できなくなることを明らかにして、その危険性を指摘している。不幸にも、今回の福島原発事故はこの吉井議員の指摘が現実のものとなったのである。

少数政党やまじめな科学者らの指摘を無視して、安全神話を振りまいてきた電力会社や政府はもちろん、莫大な広告費や政治献金・研究費等を受け取ってきた大手マスコミや政党、御用学者らの責任は免れえない。

調査にあたっては、当時首相の菅直人氏や当時官房長官の枝野幸男経済産業相などの政治家や原子力安全・保安院、原子力安全委員会、官僚関係者などの約300人から話を聴いておこなわれたが、東京電力は聴取に応じなかった。

2006年3月1日の衆院予算委員会分科会での質問(動画)
※吉井英勝議員のその他の国会質問

生い立ちの景色(32) 入社試験

2012-02-27 | 生い立ちの景色
1960年12月 14歳の冬

二週間前に入社試験があり、きょう学校から帰ったら受験したM電器から少し大きめの封筒が届いていた。表面の下の方に「入社試験結果通知書」と書いてある。
ハサミで中身を切らないように上の方だけ細く切ろうとしたが、手が震えてなかなか上手く切れない。中には紙が2枚入っていた。

ドキドキしながら取り出した。「この度は、弊社への入社を希望し…」との書き出しで始まった文書の少し下の方に、「筆記試験結果『合格』」と少し大き目の字で書いてあった。やったー!合格や。そして、もう一枚の紙には1月になってからの面接日が書いてあった。
試験問題はそんなに難しくなかったので、たぶん大丈夫だと思ってはいたがやっぱりうれしい。

夕方、畑から帰ってきた親父とおっ母ァに、「合格や、通知来たで」というと、おっ母ァは「よかったのー」といった。親父は、「ちょっと、見せてみろ」といって、通知書を見ながらニヤッとしていた。
晩飯の時に俺がみんなに言うつもりやったのに、姉ちゃんや兄ちゃんが帰ってきたときにおっ母ァが先にいうてしもうた。

合格やいうても、まだ筆記試験だけ。来月の「面接」とその後の「家庭訪問」を通過しなかったらほんまの「合格」やない。まだまだ安心はでけへん。
3年前からM電器系のM電子工業に勤めてるキョウ子姉ちゃんが言うた。「この頃は、面接と家庭訪問が厳しくなって、それで落とされる人が多いんやから」と。

今日の晩飯のおかずは、いつもとあんまり変わらなかった。肉が多めに入ったすき焼きは、全部合格して入社が決まるまでお預けや。

報道

2012-02-26 | 社会
2月20日、最高裁判所が、いわゆる光市母子殺害事件について、犯行時18歳の少年であった被告人に対して死刑判決を言い渡した。死刑が確定したことによって、これまで実名報道を控えてきた大手マスコミの大半が実名と写真を掲載し報道した。

実名報道したのはNHKと朝日・読売・産経・日経等の各新聞社で、その理由を、「主婦と幼い子供が殺害される凶悪で重大な犯罪で社会の関心が高いこと」「判決で元少年の死刑が確定することになり、社会復帰して更生する可能性が事実上なくなったと考えられること」(NHK) 「国家によって生命を奪われる刑の対象者は明らかにされているべきだとの判断から」(朝日) 「死刑が確定すれば、更生(社会復帰)の機会はなくなる」「国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事」(読売)と述べている。

そのような中で毎日新聞だけは、「今後、再審や恩赦が認められる可能性が全くないとは言い切れない」「匿名で報道するという原則を変更すべきではない」とした。

日本弁護士連合会は会長声明で、「少年時の犯行について氏名、年齢等本人と推知することができるような記事又は写真の報道を禁止した少年法61条に明らかに反する」「再審や恩赦制度があることから、少年が社会に復帰する可能性は残っている」「少年の個人としての尊厳及び幸福追求権は、少年に死刑が確定した後も失われるものではない」とし、「憲法21条が保障する表現の自由の重要性は改めていうまでもないが、私人である少年の実名が、報道に不可欠な要素とはいえない。事件の背景・要因を報道することこそ、同種事件の再発を防止するために不可欠なことであり、むしろ実名を報道することで、模倣による少年非行を誘発する危険性もないわけではない」と、報道機関の実名報道に遺憾を表明し、今後同様の実名報道をしないよう求めた。(全文はここから

この問題に限らず、世の中には一つの問題に対して全く違う見解や判断がある。消費税増税、沖縄普天間基地、TPP、原発等々…。
われわれの一人一人の判断はそれぞれであっていいし、そのことについて他からとやかく言うものでないことは当然です。
ただ、新聞やテレビなど、大きな影響力を持つマスコミが、時の政権や特定の権力擁護のために旗を振った歴史だけは忘れてはならないと思う。

ワタミ会長、それどういうこと?

2012-02-24 | 社会
居酒屋「和民」(ワタミフードサービス)の当時26歳の女性社員が長時間労働によるストレスが原因で自殺した件について、労働者災害補償保険審査官は労災として認定した。遺族は当初、労基署に労災認定を申請されていましたが認められず審査請求していた。

訴えによると、この社員は2008年4月の入社間もなく、5~7日間の連続(深夜)勤務や月100時間を超える残業で心身とも耐えられなくなり自ら命を絶ったもの。ご家族によると、残された手帳には亡くなるおよそ1か月前に、「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」を残していたという。

この労災認定に対して、皆さんもよく御存じの渡邊美樹会長は自身のツイッター(21日)で次のようにコメントしているのです。
【労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理 できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです】と。

何というコメントか。当初、わたしはこれを見てわが目を疑った。
「労災」として「認定」されたことが「残念」なのか? 「労務管理できていなかったとの認識はありません」とは、「労務管理」はちゃんとできていたということなのか?
希望を持って社会に踏み出したばかりの若い女性を死なせておいて、会社として、会長としての責任をまったく感じないのかと言いたい。

それにしても、このような人物をコメンテーターとして出演させているテレビ局があるが、よくも恥ずかしくないものだ。
わたしの怒りのマグマはしばらくは収まりそうもない。

※追記
これがワタミの会社としての公式コメントです。

ほどほどに

2012-02-21 | 趣味
小さなニュースが新聞の端っこに載っていた。
100歳になる(ほんとかな?)フランス人の男性が、スイスで行われた自転車の1時間走に挑戦し、100歳以上の新記録となる24.251キロをマークしたというもの。

スポーツとして自転車を始めたのは78歳になってからだというこの男性、安定したペースを保って走り、「あと1時間は走れた。脈拍を上げないように言われていたのでそんなに疲れていない」、「100歳の記念に何かしたかったんだ」と挑戦の理由を語っているという

健康に競技を続けている秘訣は「喫煙はしない、飲酒はほどどに」だとか。100歳まで競技…すばらしいというより、信じられない。
私には、たぶん…、いや絶対無理。ただ100歳までとは言わないが、あと10年くらいは自転車でのチャリ散歩と社交ダンスは続けたいと思っている。

そのために明日からこの男性のように、「喫煙はしない、飲酒はほどほどに」を心がけなくちゃ。「喫煙はしない」は合格だが、「飲酒はほどほどに」は解釈がなかなか難しい。人それぞれの「ほどほど」があるので。私なりの「ほどほど」だけは守るようにしよう。