冬休みに読もうと思っていた一冊。
ようやく読了。
驚いた。
それが読み終えて湧いた最初の感想。
冒頭の書き下ろし作品『了見の餅』を読んだ時は、
「いかにも女性芸人が書きそうな小説だなあ」
と思った。
そこから『文藝』誌に発表された作品が4篇、
時系列で並んでいる。
最初の2篇『イトコ』『最終日』は、
冒頭作品の延長線上にある。
だからこの時点でも僕の感想は、
「いかにも女性芸人が書きそうな小説だなあ」
しかし次の『宵』で、
小説としての様相が急激に変わる。
怪奇譚の類でどう終わらせるのかと読み進めたが、
あんなふうに終わるとは!
続く『ファシマーラの女』は、
さらに新しい小説世界を作り上げていた。
わずか1年の間で、
こんなにも小説としてのバリエーションを生み出すなんて。
最後の書き下ろし『カーテンの頃』は、
王道の短編小説で、
「こういうのも書けるのか!」と驚いた。
いや、
実はもともといろいろな手札を持っていて、
「まずはこのへんから出して油断させようか」
という作者の企みにまんまと引っかかってしまった気もするが…
どうだろう?
