とても興味深い内容、
有意義な読書でした。
しかしここでは、
本書の本筋については書きません。
本書の中で見つけた、
著者の意図していない「コメディ」の種を記録しておきます。
■1607年にアメリカ南部のヴァジニアに入植したイギリス人がいた。
彼らは成人男子だけで構成されていた。
しかし男性だけの生活は耐え難かったのか、離脱するものが多発。
そこで事業主のロンドン会社は、渡航費を無料にした上で、高額な持参金を
提供し、海の向こうの男性との結婚に応じる女性を大々的に募集した。
コメディ映画の設定になりそうだ。
■中世カトリックの聖職者で生涯独身を貫くような人は、性の問題に疎く、
せいぜい真面目に貞潔を説くぐらいだろうと思っていたら大間違いである。
トマス・アクィナスは「淫蕩」という性の悪徳を詳細に検討、6つのカテゴ
リーに分けている。
当時の神学者たちがどうやってセクシャリティの多様な問題を知ったのか。
その情報源は「告解」である。
庶民の赤裸々な告白を聞くことで、自分は独身で性に無関係であっても、
こういう事柄に詳しくならざるを得なかった。
モンティ・パイソンのようなスケッチが作れそうだ。
■大御所神学者・コトンと若きピューリタン・ウィリアムズの出版論争も
面白い。
1644年:ウィリアムズ『迫害を説く血まみれの教え』
1647年:コトン『子羊の血により洗い清められた血まみれの教え』
1652年:ウィリアムズ『コトン氏が洗い清めようとしてさらに血まみれ
になった教え』
「寛容のパラドックス」も喜劇的だしなあ。
一読で二度おいしい本でした。