『色の文化史』に於いては、
京都国立博物館・切畑 健氏が、歴史を彩る色として、
奈良時代以降から江戸時代を正倉院御物の三彩磁鉢、
西本願寺の雁の間の襖絵として名高い金碧障壁画など十二点を掲載しながら、
具現的に解説されている。
この後は、『色彩の百科』と題され、暮らしに役立てたい色彩の知識、としたの中で、
女子美術大学助教授・近江源太郎氏が『色のイメージと意味』として、
『赤』、『ピンク』、『オレンジ』、『茶』、『黄』、『緑』、『青』、『紫』などを、
現代の人々の心情に重ねながら、さりげなく特色を綴られている。
『配色の基礎知識』としては、日本色彩研究所・企画管理室部長の福田邦夫氏により、
《配色の形式は文化によってきまる》、
《情に棹(さお)させば流される》
などと明示しながら綴られれば、私は思わず微笑みながら読んでしまう。
最後の特集として、『和菓子』、『和紙』、『組紐』、『染』、『織』が提示されて、
掲載された写真を見ながら、解説文を読んだりすると、
それぞれのほのかな匂いも感じられるようである。
そして最後のページに『誕生色』と題されたページが、
さりげなく掲載されて折、私は読みながら、思わず襟を正してしまう。
北越の染めと織物の街・十日町の織物工業共同組合が、
情緒豊かな日本の伝統色を参考にとして、十二ヶ月の色を選定していたのである。
無断であるが、この記事を転載させて頂く。
【・・
『誕生色』と命名して現代の暮らしに相応しい《きもの》づくりを行っている。
『誕生石』にもあやかって興味深い試みである。
1月
おもいくれない『想紅』
初春の寒椿の深い紅。
雪の中で強く咲き誇っている姿に華やぎ。
2月
こいまちつぼみ『恋待蕾』
浅い春に土を割る蕗のとう。
若芽のソフトな黄緑が春を告げる。
3月
ゆめよいざくら『夢宵桜』
春のおぼろ、山桜の可憐な色。
桜、それは心躍る春の盛りを彩る。
4月
はなまいこえだ『花舞小枝』
春風に揺れる花を支える小枝。
土筆(つくし)もまた息吹いている。
5月
はつこいあざみ『初恋薊』
風薫る季節の薊の深い紫。
5月の野には菖蒲も咲き、目をなごます。
六月
あこがれかずら『憧葛』
さみだれが葛を濡らして輝く緑。
蓬、青梅・・緑たちの競演がいま。
7月
さきそめこふじ『咲初小藤』
夏近し、紫露草のうすい紫。
きらきらと夏の光の中で、緑の中で。
8月
ゆめみひるがお『夢見昼顔』
夏の涼しさに朝顔、昼顔。
庭に野に夏には欠かせない風物の彩り。
9月
こいじいざよい『恋路十六夜』
月冴えるころ朝露に身を洗う山葡萄の深い紺。
十六夜の色にも似て。
10月
おもわれしおん『想紫苑』
風立ちて、目もあやに秋の七草。
野に咲き乱れる桔梗と紫苑の色。
11月
こいそめもみじ『恋染紅葉』
秋の野の残り陽に照る紅葉の赤。
心にしみ入るぬくもりのかたち。
12月
わすれなすみれ『勿忘菫』
淡雪のほのかな思い。
菫が咲き、小雪が舞う季(とき)の色。やすらぎの感覚。
・・】
注)記事の原文より、あえて改行を多くした。
私はこうした美しい言葉、綴りに接すると、
その季節に思いを馳せながら、その地の風土を想い、
心にひびき、香り、そして匂いまで伝わったくる。
日本風土の古来からの人々の営みの積み重ねの日常生活から、
さりげなくただよってくる色あいの結晶は、
まぎれない日本文化のそれぞれの伝統美でもある。
この本は、昭和58(1983)年に発刊されているので、
稀なほど優れた執筆陣でありながら、
現在は無念ながら故人となられた人が多いのである。
こうした遺(のこ)された随筆などを、改めて読んだりすると、
日本風土と文化に限りなく愛惜されているので、
日本文化を愛する人たちへの遺書のひとつかしら、
とも思ったりしている。
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京都国立博物館・切畑 健氏が、歴史を彩る色として、
奈良時代以降から江戸時代を正倉院御物の三彩磁鉢、
西本願寺の雁の間の襖絵として名高い金碧障壁画など十二点を掲載しながら、
具現的に解説されている。
この後は、『色彩の百科』と題され、暮らしに役立てたい色彩の知識、としたの中で、
女子美術大学助教授・近江源太郎氏が『色のイメージと意味』として、
『赤』、『ピンク』、『オレンジ』、『茶』、『黄』、『緑』、『青』、『紫』などを、
現代の人々の心情に重ねながら、さりげなく特色を綴られている。
『配色の基礎知識』としては、日本色彩研究所・企画管理室部長の福田邦夫氏により、
《配色の形式は文化によってきまる》、
《情に棹(さお)させば流される》
などと明示しながら綴られれば、私は思わず微笑みながら読んでしまう。
最後の特集として、『和菓子』、『和紙』、『組紐』、『染』、『織』が提示されて、
掲載された写真を見ながら、解説文を読んだりすると、
それぞれのほのかな匂いも感じられるようである。
そして最後のページに『誕生色』と題されたページが、
さりげなく掲載されて折、私は読みながら、思わず襟を正してしまう。
北越の染めと織物の街・十日町の織物工業共同組合が、
情緒豊かな日本の伝統色を参考にとして、十二ヶ月の色を選定していたのである。
無断であるが、この記事を転載させて頂く。
【・・
『誕生色』と命名して現代の暮らしに相応しい《きもの》づくりを行っている。
『誕生石』にもあやかって興味深い試みである。
1月
おもいくれない『想紅』
初春の寒椿の深い紅。
雪の中で強く咲き誇っている姿に華やぎ。
2月
こいまちつぼみ『恋待蕾』
浅い春に土を割る蕗のとう。
若芽のソフトな黄緑が春を告げる。
3月
ゆめよいざくら『夢宵桜』
春のおぼろ、山桜の可憐な色。
桜、それは心躍る春の盛りを彩る。
4月
はなまいこえだ『花舞小枝』
春風に揺れる花を支える小枝。
土筆(つくし)もまた息吹いている。
5月
はつこいあざみ『初恋薊』
風薫る季節の薊の深い紫。
5月の野には菖蒲も咲き、目をなごます。
六月
あこがれかずら『憧葛』
さみだれが葛を濡らして輝く緑。
蓬、青梅・・緑たちの競演がいま。
7月
さきそめこふじ『咲初小藤』
夏近し、紫露草のうすい紫。
きらきらと夏の光の中で、緑の中で。
8月
ゆめみひるがお『夢見昼顔』
夏の涼しさに朝顔、昼顔。
庭に野に夏には欠かせない風物の彩り。
9月
こいじいざよい『恋路十六夜』
月冴えるころ朝露に身を洗う山葡萄の深い紺。
十六夜の色にも似て。
10月
おもわれしおん『想紫苑』
風立ちて、目もあやに秋の七草。
野に咲き乱れる桔梗と紫苑の色。
11月
こいそめもみじ『恋染紅葉』
秋の野の残り陽に照る紅葉の赤。
心にしみ入るぬくもりのかたち。
12月
わすれなすみれ『勿忘菫』
淡雪のほのかな思い。
菫が咲き、小雪が舞う季(とき)の色。やすらぎの感覚。
・・】
注)記事の原文より、あえて改行を多くした。
私はこうした美しい言葉、綴りに接すると、
その季節に思いを馳せながら、その地の風土を想い、
心にひびき、香り、そして匂いまで伝わったくる。
日本風土の古来からの人々の営みの積み重ねの日常生活から、
さりげなくただよってくる色あいの結晶は、
まぎれない日本文化のそれぞれの伝統美でもある。
この本は、昭和58(1983)年に発刊されているので、
稀なほど優れた執筆陣でありながら、
現在は無念ながら故人となられた人が多いのである。
こうした遺(のこ)された随筆などを、改めて読んだりすると、
日本風土と文化に限りなく愛惜されているので、
日本文化を愛する人たちへの遺書のひとつかしら、
とも思ったりしている。
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