今、ちょっと隕石の勉強をして、面白い資料とか、面白い話が手に入ったので、今日はちょっと自分の備忘録もかねてここに書いて、皆様にもお伝えしたいと思う。
2020年7月2日夜中2:32に大火球が神奈川県上空で確認され、西から東に向かって関東に突入。爆発を繰り返しながら、その一部が燃え尽きずに隕石として落下。このニュースを見た方は多いと思う。 夜中の2:32といえば、ほとんどの人が寝ていて、大火球を見た人は極めて少なく、衝撃波とともに、爆発の音が遅れて到達したことで、その音で眠りから目を覚まして驚いた人はあったようだ。ツイッターとかで、階上の人が(ベットから落ちた)、(大きな物音を立てた?)とか、音は何だったのか、不明のままにツイートした人が結構あったようだ。
でも、翌日7月2日の夜には、テレビなどのニュースで「大火球」が関東上空を横切り爆発を起こして衝撃波が起こったことなどが放送されて、ではあの音は、それだったのか?と思い当たることにもなったようだ。
その中に実は、習志野市内で隕石を発見した女性もいた。2日の朝ただならぬ音で目を覚まし、翌朝自分の住むマンション2Fの玄関を出たところに覚えのない黒っぽい石が小さな破片と共に落ちているのに気づいた女性。 2日の夜のニュースをみて、(自分の家の前にあったのは隕石?)と思うようになり、3日に石を保管。石が飛び込んで来たときにできたのか、手すりの傷にも気づいたらしい。さらには、4日にマンションの管理人と一緒に自分の玄関側の中庭を探してみたそうだ。
すると、何ともう一つの隕石の片割れがみつかった!
県立中央博物館に連絡を入れると、県立中央博物館の高橋先生がやってきて、石をひと目みて、「隕石だ!」と判断。そのままの足で、さっそく隕石の検査をする機械なども完備されている国立科学博物館筑波研究施設に急いで持ち込んだそうだ。(参照:アストロアーツのココ、船橋経済新聞のココなど)
高橋先生は、県立中央博物館の岩石の専門家だが、地球にある岩石の専門家ではないそうだが、県立中央博物館には、毎年いくつか 「これは隕石ではありませんか?」という問い合わせがあるそう。それで、開館以来30年位の間に、高橋先生も何回も問い合わせを受けて・・・でも、これまで1回も本物には出会わなかったという。 でも、博物館として、県民に隕石について知ってもらおうと、本物の隕石を購入して3個くらいは博物館も所蔵しているらしく、確かNHKの番組だったかで、その黒い隕石を手にして、隕石の特徴を次のように説明しながら見せていた。
隕石は、大気突入時に燃え上がった時に、表面が1度溶けて、それが冷えることで黒い薄いガラス質が表面にできる。割れた中の石の色とそれがコントラストをみせることで、隕石かどうかの判断は付くらしい。隕石は、国立科学博物館の上野にたくさん展示されているようなので、興味のある方は見に行くといいかもしれない。常設展示されているかは分からないので、事前確認の上、私も機会があったら見に行ってみたいと思う。
この石は国立科学博物館によって「7月6日より約1週間のガンマ線測定を行い、宇宙線により生成する放射性核種(宇宙線生成核種)のアルミニウム-26(半減期約70万年)、ナトリウム-22(半減期約2.6年)、マンガン-54(半減期約312日)、マンガン-52(半減期約5.5日)等を検出した。これにより最近落下した隕石であることが確認された。」(国立科学博物館のココより)とプレスリリースされていたが、地球に存在した岩石では宇宙の放射線に晒されていた記憶がないが、この石2つにふくまれていた非常に半減速度が速いマンガン-52が、5.5日前頃まで放射線に晒されていた記憶を示してくれた。それで、(この石2つが両方共、7月2日の大火球の隕石で間違いない)と特定ができたようだ。
今回の隕石、ひとつは廊下に落ちたので綺麗な状態だが、発表にあるように、中庭で見つかった2つ目は梅雨時だったこともあり、雨にでもぬれたのか 金属がさびて色が赤くなってしまっていると書いてあった。どこで読んだか忘れたが、藤井旭先生の本だったかに、(「隕石は生もの」早く、博物館に持ち込んで調べてもらう方が貴重な情報が保持されていていいのだ~)と書いてあった。
この隕石は、日本国内の記録では、53番目の隕石という。一覧がココにあったが、これは種類別になっているので、ちょっと分かりづらい。でも、石の種類を関係なくみていくと、確かに国内で53番目の隕石となるようだ。予想より、とても少ない。勿論、同じ火球で落ちてきた隕石は幾つあっても○○隕石として数えるので、隕石の数が53個というのではないので、誤解しないように。今回も、実はこれからさらに大きな隕石がでてくる可能性もあると言われている。というのも、計算を動画などからしてみたら、元の隕石の大きさは50cmくらいあるのではないかと考えられているのだ。
さて、先ほどの一覧表にちょっと話をもどす。見ると、「落下」と「発見」というのに気づくと思う。どういうことか? 基本的には隕石は、空から落ちてくる瞬間をみたら、落下した隕石として、落下日が特定できる。藤井旭:著「隕石の見かた調べかたがわかる本」には、どうやって見つかったのかが結構具体例で書かれていて面白い。
見ないまでも、屋根を突き抜けて、ドスンと落ちてきたら、家の人も気づいて、隕石と分かる。落下日がしっかり記入され「落下」となる。ところが、(偶然に隕石っぽいぞ)と後になって見つかって隕石と分かると、例えば天童隕鉄などは、1977年になって見つかったものだが、隕石がいつ落ちたかは簡単にはわからない。そこで、放射線などの分析を行うことで、1910年頃に落下した隕石だろうと推測した。そのため、確定した落下日は不明なので、「1910年頃」の隕石として、「発見」とされているようだ。
面白いのは、日本最古の「直方(のおがた)隕石」(861/5/19)や日本最大の135kgの「気仙隕石」(1850/6/13)がしっかり日付が分かって書かれていること。これは、しっかり記録がついた状態で、地元で神社などに保管されていたのが知られるところとなって、記録になったようです。なるほどぉ~。
実は、だから、国内に落ちたものでも、発見されずにまだ隕石はどこかにたくさん眠っている。神社とか、どこかで保管されている可能性もあるかもしれない。テレビの鑑定団に突然登場して、「発見」と記録に割り込んでくることもあり得るか???
さて、そんな隕石のあれこれ、今時代はどう変化しているか。今回の7月2日の隕石をみつけるまでの話を巻き戻してみよう。最初に真夜中に大火球が発生した。(夜中だったので、見る人は極めて少なかった)と書いたが、見ていた人はいた。かの「銀河鉄道の夜」のイラストレーターで映像作家。その時の様子が、【15日目】7月2日未明に関東上空に火球出現!Twitterで2000万回再生を超えた動画を撮影した星景写真家KAGAYAさんに当時の様子を聞いてみた】という動画に15分半ほどにまとめられていた。自身のスタジオにいるKAGAYAさんとオンラインでインタビューして、実際にどんな風にしてみたかを聞いていて、リアルに状況が分かる。
起きて仕事をしていたKAGAYAさんの右上の天窓と、自動で動いたものを捕らえるカメラが同時に満月のように明るい大火球を映し出して思わずビックリしたKAGAYAさん。ちゃんと今の大火球が撮れただろうかと気になり心を奪われていたら、「ドーン」とものすごい音が聞こえて、後になって(あれだけの大火球だから、映っていたかの確認より外に出て、流星痕や聞こえた衝撃波の音を録音すべきだった)と思ったそうだ。
大火球の動画をみて、音がないと思ったが、雷と一緒で、音は遠い空の上から来るので、数分後にきたそうなのだ。KAGAYAさんが、この時ツイートした大火球映像には、だから音は入っていない。
動画も動く光に反応して記録するので、音はとらない。残念だったと後で思ったが後の祭りだったそうだ。なるほど。(大火球の映像は、KAGAYAさんのツイッターに名前をクリックしていって、2020年7月2日をご覧下さい。)KAGAYAさんは、ベランダに2台のカメラを全天が映るようにセットして、原則1年中稼働させているそうだ。2台で全天をカバーするというのだから、相当広角なのだろうか? そして、すでに書いたように、動くものを検知すると録画を少し前からしてくれるソフトを使用して、大火球も撮れたし、実は、他のいろいろな流星などの写真もアップしている。もうピークを過ぎたけれど、KAGAYAさんのツイッターにはネオワイズ彗星も、7月11日12日頃にアップしてくれている。天体ファンには堪えられない。
ところで、火球動画を撮ったのは、KAGAYAさん以外にもいる。特に注目をあびたのが、平塚市博物館の学芸員の藤井さんだ。藤井さんは、カメラを専門に静岡の大学の工学部で勉強し、大学院では暗い流星を研究していたという天文のプロ。自作の8台のカメラを自宅の屋根に取り付けて、KAGAYAさんと同じく「動体検知ソフト」と繋げて、24時間、365日ここ2年前くらいからズッと録画して、主要なものをツイッターのココにアップしてきた。
そして、KAGAYAさんとの違いは、藤井さんは普段はプラネタリウムの解説もしているので、一般の人に分かりやすく天体のことを伝えたいという気持ちでロケットのこととか、火星探査とか、色々な天体上方もツイッターで分かりやすく説明してくれていることだ。このツイッターをみていると、天体愛好家に皆がなってしまうのではないかと思える。7月2日の大火球の後にも、さらに7月中に2つの火球をアップしている上に、ネオワイズ彗星の映像も見られる。
さて、そんな藤井さんも会員で、KAGAYAさんも動画データを提供したというアマチュアからプロまで370人ほどの天文家がネット上で情報をやりとりする「SonotaCo Net work」という任意団体が、今回の隕石の軌道計算やら、隕石の落下地点予測に非常に貢献し、テレビも新聞もその情報を使って報道がされていた。それも非常に注目に値する。
ココをみると、その隕石の追跡の様子が、これまたネットで刻々と終えるようになっていたが、読んでいて、難しいがワクワクするような思いに駆られた。今の世の中データが隠されたり、操作されたり、いろいろだが、こんなにあっけらかんと、手の内を公開しながら分析を進めていく「SonotaCo Net work」のやり方が、凄い!!! 理系の人は、面白さがさらに倍におもえるのではないだろうか。
さて、今日は、この前の7月2日の大火球とその隕石の話で、世も更けて終わりにしないとならなそうだ。そこで、子ども用の本の装丁ですが、今回「巨大隕石から地球を守れ」(高橋典嗣:著)を読んだら、隕石の興味はさらにさらに深まったので、ここで書こうとおもっていたが、それは第2弾として書くことにしようと思う。
そうそう、題名の宇宙から無料で届くサンプルについても、書くところまでいかなかったが、このSonotaCo Network の中で、(イトカワとかリュウグウまで多大なお金をかけてサンプルを取りに行くやり方も大事だが、隕石は謂わば、宇宙が向こうから無料でサンプルを地球にプレゼントしてくれる贈り物)というような表現をしていた。隕石が、どんなプレゼントと、それと共に地球に危険をもたらすかの話が、この高橋さんの本には、子どもにも分かるように、やさしく書いてあり、地球の誕生とか、いろいろ非常に面白かった。
私が、のんびりアップするのを待ちきれない方は、是非、「巨大隕石から地球を守れ」を読んでみてください。では、続きを待てる方は、お楽しみに!!!
そして、今日も無事に1日を終えられたことに感謝して、おやすみなさい。