隕石の話を、このブログの「8月2日」に書いた。その時に、「巨大隕石から地球を守れ」という本の名前だけ少し書いて、時間のできた時に第2弾を書きますと予告しました。これ以上伸ばすと、書かないで終わってしまいそうなので、今日頑張ります(笑)
「巨大隕石から地球を守れ」(高橋典嗣:著)は、正直小学生から読める本ですが、中身は子どもだけでなく大人にも隕石から深い学びをえられる内容になっています。児童書を大人だけで開くのに抵抗がある人は、もったいないですよ。忙しい社会人にとって、優れた児童書は簡単に基礎知識を得られる素晴らしいアイテムですからね。この本もまさにそれです!
先日大火球が関東上空を横切って、習志野市内に隕石をもたらした話を書きましたが、その後船橋市にも落ちているのが見つかりました。どちらも拳の大きさくらいのが2つに割れてみつかりました。
写真は、国立科学博物館のリリースしたネットから転載。写真をクリックすると、説明も付いた博物館のオリジナルページへ行けます。
さて、今回の大火球は、1つ目の石はほとんど廊下の手すりに小さい傷をつけた、2つ目は瓦屋根をちょっと破壊した位で、重大な人の命を奪うようなことはありませんでした。でも、それは偶然そうだっただけで、突然の地震、台風、津波、大雨による洪水と同じで、隕石だって いつどこからやってくるか分かりません。
実際、大きな隕石は2013年ロシアのチェリャビンスク州に落ちた隕石では、死者は幸いにいなかったものの、衝撃波で割れたガラスの破片を浴びたり、衝撃波で転ぶなどして、1491人の怪我人が出たとのことで、建物その他も含め被害総額は30億円に及んだと言われています。
恐竜が滅んだのは、巨大隕石が地球に落下して地球の環境を一変させたしだと言われているのはご存じと思います。この前の大火球が、本体が50cm程度と言われていますが、それが、巨大隕石だったら・・・
直径100mの小惑星が巨大隕石になって落下すると、勿論、直接的な被害も甚大でしょうが、地面が粉々に砕けて100km四方にとびちり、軽い塵は高さ50kmぐらいまでのぼり、地球全体に回り、何年にもわたって太陽の光の数%を遮り、地球の温度を下げ「衝突の冬」という現象を起こすこともあるかも知れません。
ここで、隕石の怖さを落ちてくるスピードで説明しています。今回のは小さい隕石で大きな被害をもたらしませんでしたが、筆者は宇宙の中で地球を含む惑星がどの位のスピードで移動しているかについて言及します。地球の公転運動は誰もが知っていますが、地球は時速10万km ジャンボジェットの100倍以上、秒速30kmのスピードで太陽の周りを回っているそうです!!!早いスピードの地球と、これまた早いスピードの小惑星が衝突すると、大きなエネルギーとなります。それは自動車事故とかを思えば想像がつきますね。ただ、ぶつかる角度や方向、隕石の重さでこれはだいぶ違う。
実は、この前のも軽い物は空気抵抗で意外とソフトに落ちてくるらしい。重い物はもっと先の方に落ちているのではと言われている(八千代市、花見川区あたり?)隕石が大きく数十m以上になると、空気にぶつかってもスピードが落ちないそうで、チェリャビンスク(本体が直径17m、重さ1万トンと推定されている)のように大きな被害をもたらす。
世界で1番大きな隕石として確認されているのは、アフリカのナンビアに8万年前頃に落ちたと推定される66トン(横2.7mX高さ90cm)。そして、実は今、隕石が1番たくさん見つかっているのは、南極だそうです!世界の隕石の75%は南極で見つかっています。それは、南極にたくさん落ちるからではなく、隕石がまとまって見つかりやすい自然の条件が南極には揃っているからのようです。
隕石は、太陽系が誕生した46億年前に生まれた主に火星と木星軌道の間にたくさん存在する小惑星(70万以上確認されている)由来のものといわれています。
流星になる宇宙塵も含め、宇宙からはいろいろな物が知らない内にやってきていて、今回の隕石だって気づかないだけで、まだ残りがどこかに落ちているだろうし、海に落ちたり1日に100トンほどの物質が宇宙から地球に降り注いでいると考えられています。ビックリですね。
隕石も今回のが国内53番目の隕石というと凄く珍しいものと思われますが、実は私も持っています!!!
夏休み終わり頃のイオンで、こういう子ども用の観察セットとかセールをしていて、前に買いました。本物です! 磁石がつきましたよ。雨のように降る隕石もあるようですし、これはアフリカのサハラ砂漠の北、モロッコのタウズという待ちの郊外で発見された本物だそうです。隕石とネットで検索してみると、結構 販売しているのにも驚きます。ほしい方は、ネットで探して見て下さい。
さて、大好きで日々 お月様を見上げている私。月にはたくさんのクレーターがあり、それが地下からの噴火によるものでなく、隕石による傷跡だというのは、見ていると感じられていました。隕石の衝突は25億年くらい前まで続いていたようです。凄い数みられます。
では、地球にはなぜクレーターが少ないのでしょう*。地球の中心にマントルがあり、地殻変動して、大陸ができたりの移動の中でクレーターが消えた。7割が海で、海底にあってみえない。などが理由に挙げられていました。なるほどぉ~。
*少ないと言っても、例えば アリゾナ州のメテオ・クレーターは、「メテオ」の名の通り、隕石の衝突によって作られた物と立証されており、カナダの北東部にも多くのクレーターが存在しているそうだ。
太陽系は、今から46億年前、銀河系の中にただよっている宇宙空間にわずかに含まれるちりや水素ガスの集まった分子雲の中で生まれたそうです。この水素ガスがたくさん集まっているところでは、重力によって分子雲がうずをまいて回り始め、円盤のような形が生まれます。これにより、水素ガスは中心に引き寄せられ、上下の方向に吹き出します。中心の密度が高くなると、温度があがり、圧力も高まり、水素の核融合という働きが起こり非常に大きなエネルギーをだして輝きはじめます。すると、中心の近くのガスが吹き飛ばされ、原子太陽が姿を現したと考えられるそうです。
回転する円盤の中では、細かいちりがぶつかり、分裂と合体をくりかえし、合体した塵が大きくなり「微惑星」が生まれます。その「微惑星」がさらにぶつかり「原子惑星」に成長。46億年前に、太陽と8惑星を始めとする天体からなる、太陽系が誕生したといわれます。その時、惑星になりきれなかったのが、小惑星と言われるもので、これが隕石の元になっています。
(隕石は、46億年前の記憶をそのままもって、宇宙から届く贈り物といわれています。小惑星、イトカワやリュウグウに行ってサンプル採取を試みるのは、新鮮なサンプルを持ち帰ることで、地球のなりたちや太陽系のなぞを解く手がかりがえられるからなのですね。でも、お金を莫大にかけないでも、自分から飛び込んできてくれるので、隕石は 危険のない適度な大きさのものなら、実にありがたい<贈り物>と言える訳です)
隕石の分類
・始原的な隕石 石質隕石の中のコンドライトという種類。丸い粒(コンドリュール)のような組織が見られます。始めから変わらない46億年前から熱や強い力を受けていないものです。これは小惑星にだけ見られる特徴。
・分化した隕石 原始惑星がぶつかって内部の物質がドロドロ溶けたりして、やがて地球のような原始惑星は、中心に重たい鉄やニッケルなどの金属が沈んで「核」をなし、鉄やマグネシウムなどの重い岩石はマントルをつくり、軽い岩石は冷えて表面の「地殻」となった。この原始惑星の地殻やマントル部分から出たと思われる隕石は、石質隕石のエコンドライトといい、1度は溶けているのでコンドリュールはない。核の部分から出たものは、鉄とニッケルの合金からなる鉄質隕石と言われ、切った表面をみると、規則的な模様(ウィッドマンシュテッテン構造)がでてくる。地球深くは見られないが、きっと地球の核も同じ作りになっているのではないかと思われ、ここから地球の様子も想像できるという意味で大切な存在。
月の成り立ちも石から知ることができます。アポロが持ち帰った月の石。地球のマントルや地殻の岩石と似ていたのだそうです。それで、今から44.5億年前に、地球に火星ぐらいの大きさの原始惑星が衝突して、地球の表面の地殻も深いところからえぐられて宇宙空間に飛び出し、衝突と合体を繰り返し月になったという説を裏付ける証拠とされているそうです。地球の地軸の傾きはこの時の大衝突によるとも言われているそうで、これはとても興味深いコメントでした。
さて、地球上の生命は38億年前から生まれたと言われていますが、恐竜は今から2億5000万年前から約1億6000万年の間 栄えていたそうです。猿人が400万年前に出て来て、人間が文明をもったのが、この5000年位とすると、恐竜の時代の長さは凄いですね。
イタリアのアルバレズ親子は、恐竜が巨大隕石の落下で起こったことを証明するために、ある粘土質に含まれるイリジウムという元素を使いました。地球の地殻の岩石にはないイリジウム。それが隕石の証拠になるのではないかと考え、イリジウムと衝撃石英(隕石衝突で変形して傷ついたと思われる粘土質の中の石英)を含む地層の厚さが衝突現場にいくほど厚くなるのではないかと思いついて、世界で比較して巨大隕石の衝突現場を探しました。そして、1991年に、ついに恐竜絶滅の原因と思われる直径10kmほどの隕石が作ったと思われる直径180~280キロのチクシュループ・クレーターがユカタン半島の先の海の底に見つかりました。
隕石、大きいと人類も滅び、地球自身の存立も危うくなるかもしれません。そんな中で、宇宙から飛んでくるものを見張っている人たちがいます。日本でもスペースガード協会というのが、岡山の「美星スペースガードセンター」を拠点に2000年から観測が続けられているそうです。すでに1000個以上の小惑星を発見しているそうです。そして、実は、この本を書いた高橋さんは、日本スペースガード協会の理事さんでした。
今は、大きい隕石のくるのが分かっても、隕石を阻止する方法は具体化はしておらず、その前の小惑星や隕石の研究をしているところですが、それが対策への1歩になることは間違いありませんね。
と言うわけで、この本で分かるのは、人間は宇宙の歴史の中で、ほんとうに束の間の一瞬を生きている存在であること。宇宙を「静止しているイメージ」でとらえるのは間違いで、地球の自転も公転も、凄いスピードでまわっていること。次の瞬間のことだって、人間には予見できないという現実。
ただ、今は予見できないことを、将来予見可能にするために、また宇宙の長い歴史を知るために、地道に世界を歩いて研究を重ねたアルバレズ親子を始めたくさんの人々がいるから、今、隕石のこと、小惑星のこと、宇宙の始まりなど、教科書や新聞で当たり前に語られている知識を共有させてもらえていること・・・。
なかなか、たくさんのことを学べた凄い本でした。隕石への興味が広がりましたね。
コロナ騒ぎが少し収まってきたら、是非 上野の国立博物館へ行って、大きな隕石を確かめてみたいと思います。