峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

内なる自分と向き合う

2008年07月23日 | 私塾
昨日は午前7時に小学6年生の男の子がやって来た。前の晩、彼から電話が入り、明日は午前10時からドッジボールの練習があるので、朝の7時に行ってもいいかと言う。こちらはきついが、彼の主体性が育ついい機会だ。もちろん「いいよ」と答えていた。

塾に来ても「無理!」などと言い、1問も解かず「お腹すきました」と空腹を訴え、パンをやると、さも美味しそうに食べ、食べた後は横になって眠り、お母さんが迎えに来るまでそのままというようなことの多々ある子供だが、この日ばかりは、自分の方から無理を言って、先生に付き合ってもらっているのだという思いが働いているものだから、頑張って問題に取り組んだ。彼らに、内なる自分と向き合わせることは彼らの周囲の大人の大切な役割である。

その後、定刻9時少し前に他の小学6年生がやって来、午後からは中学生の夏期講習、そして夜は通常の授業と、いよいよいつもの夏休みの時間割に入った。

先週の土曜日、日が傾いてから夏休みのラジオ体操が始まるのに備えて集会所前の空き地の草刈をした。ついでに小浦自然公園の草刈も行った。汗の出方が尋常【じんじょう】ではない。

翌日曜日は日が高く昇らないうちにと早朝からお隣の草刈を行った。雑草が20~30cm伸びている。ご主人が高齢になり芝刈りができなくなられた。美しかった芝庭がコケ庭のようになった。年に2度、職人さんが入る。しかし、それだけでは芝の管理は無理だ。それでもなお無理なのだが、いつの頃からか、我が家の草を刈るとき、ついでに勝手に刈らせていただくようになった。
折々、御萩【おはぎ】や赤飯をいただく。約束事とか決め事でなく、互いの好意でお付き合いのできる関係が嬉しい。
夕食時、おじいちゃんが缶ビールと焼きたてのアツアツの食パンを提げてお礼にみえた。パンはおばあちゃんの特製だ。おばあちゃんは何でも上手に作られる。

翌月曜日は、くるみさんの通う高校の三者面談に大村まで出かけた。
前期の中間テストの結果と7月の模試の結果が出たところで、2年生に向けての文理選択及び志望大学・学部・学科についての話し合いといったところだ。
事前にくるみさんは九大・薬学部・創薬科学科を志望していたが、模試の結果が目標点をはるかに上回ったことで、担任は京大を目標にしたらと水を向けられた。
しかし、偏差値で大学を選ぶことを含め、学習時間の短さや勉強のやり方、受験の際の設問へのアプローチの仕方など、担任の話は入試に合格することが大前提であり、そんなことばかり考えて勉強やったって、ちっとも楽しくないだろうというように感じられた。

「そんなこと言ったって」と反論があちらこちらから聞こえるようだが、それに乗っかり、元も子も失ってしまった若者たちが決して少なくなくいることを、そして、それが社会に暗い影を落としていることを、そろそろ私たちは逃げないで本当のことを語り合うべきときにきているのだ。これは決して、担任の先生個人の問題ではない。

くるみさんの今の学びに対する構えは、今やっている勉強が受験のための手段ではなく、今の学びが目的であるよう私が導いてきたことだけをお伝えした。
もし、くるみさんにとがめられるところがあるとすれば、それは私のせいなのだ。

生物をとるか、それとも物理にするか、これについてもいろいろ話し合った。
それについても、くるみさんは相当考えていた。二転三転した後、生物をとる決意を固めている。それは将来、何をやりたいのか、自分の中でのイメージがハッキリしてきたことによる。
担任は、物理をとることのメリットを話され、くるみさんの決意の度合いを盛んに確かめておられたが、くるみさんは揺るがなかった。

くるみさんは、ここ数ヶ月の間、ずっと彼女の内なる自分と向き合ってきた。自分の中から発せられる声にじっと耳を傾けてきたのだ。そして、彼女の命が彼女に何をさせたがっているのかをようやく知ることができたのだろう。

担任は、まだ若く初めて学級を受け持つということも手伝ってか、微笑ましいくらい熱心にいろいろとお話いただいた。
この日の三者面談は私たちが2組目で、かつ最後であった。十分にお話を伺った後、教室を出て時計を見ると1時間が経っていた。これほど丁寧にお話をいただけるのも橘香館が他の高校とは異なる点だろう。

くるみさんに校舎の玄関まで送ってもらい、帰途に着いた。
くるみさんが高校に入学して4ヶ月、橘香館で大きく成長しているのを感じることのできた三者面談であった。
級友や寮生、そして先生方に恵まれて、くるみさんは今を精一杯生きている。

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