峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

美しい人たち

2009年02月24日 | 暮らし
先の土曜日、町内会のお宅の法事に招かれた。20人ほどの出席者だった。法事の後の、御斎【おとき】の席で、残された奥様のご挨拶があった。その言葉が心に沁みた。

「私どもは親戚が少のうございます。ここにいるのが主人の妹、そして、そちらにいるのが、私の子供のように思っている姪【めい】です。この3人だけです。
だから、きょうお集まりいただいたみなさまは、私にとって、大切な、大切な方ばかりです」
あらまし、このようなご挨拶だった。

間もなく、故人に献杯【けんぱい】して御斎が始まった。私は、すぐに隣の席の方に声をかけた。
彼は私より1つ年下で、郵便局にお勤めということだった。故人、ならびに奥様とは仕事を通して、お付き合いが始まったが、その後、仕事を超えてのお付き合いになったという。
出席者の多くが女性だったということもあったが、彼と私の膳にだけ徳利が並び、私たちは杯を重ねた。杯を重ねるにつれ、故人との想い出話に花が咲いた。そして、不思議なご縁があることも分かった。
後での話、2人が飲兵衛【のんべえ】だということを先刻ご承知の奥様が、私たちの席を隣り合わせにされていた。

奥様がお話になった、大切な、大切な方ばかりだというのが分かる、穏やかで、和やかな、いい法事だった。

昨日・今日、映画「おくりびと」がアカデミー賞の外国語映画賞をとったと、メディアが大騒ぎして伝えている。
亡くなった人を送る美しい所作や、穏やかで、厳かな儀式、死者との心の絆を大切にする私たち日本人の死生観が、今日の暴力的で殺伐【さつばつ】とした社会に生きる米国人の心をとらえたのだろう。

しかし、日本の映画がアメリカの映画賞を受賞したからといって驚くことはない。私たちの国は、美しい自然に恵まれた風土にあって、長い歴史を誇り、かねてより優れた文化・芸術を生み出してきた。さらに、私たちの先人は、感謝・寛容・正直・誠実といった精神を涵養【かんよう】してきたのだ。

その脈々と続く美しい心を引き継ぐ人たちが、少なからずいることに一筋の光明を見出す。
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