手本

昨日の長崎新聞・郷土文芸欄「ジュニア歌壇」に掲載された、くるみさんの短歌です。

◇どこからか聞こえてくる声ホーホケキョ鳴き返してみてまた耳澄ます

「ウグイスの声を聞いた喜びが作者の反応の中にあふれている」
選者・西津健二郎さんの評です。

我が家は、国道から少しだけ入り込んでいる所にあります。もちろん、町道がすぐ傍を通っていますが、今、こうしてパソコンの画面に向かっている間、もうどのくらい経つでしょうか、自動車のエンジン音一つ聞こえてきません。開け放した窓から聞こえてくるのは、ただ、小鳥のさえずりだけです。
キリキリキリキリとかチッチョ・チッチョなど、さまざまな鳴き声が聞こえてきます。そんな中、この時期になってもまだウグイスの声を聞くことができます。

晴れ上がっている朝、洗濯物を干しているとき、庭の高い木に来たウグイスが声高らかにさえずると、私は口笛で応えます。洗濯物を干している間中、ホトトギスと私のおしゃべりは続きます。

ある日曜日の朝、家族が居間にそろっているところへウグイスが近くに来て鳴いたことがありました。私は、すぐさま口笛で応えます。すると、彼女も応えます。そのやり取りを傍で見ていたくるみさん「ウワッ、すごい！」と、早速、私を真似【まね】して口笛でウグイスとの交歓を始めたのでした。

子供は、親の言うことを聞いて育つのではなく、親のすることを見て育つようです。

写真は、玄関前のモッコクの若葉です。朝日を受け、キラキラと命を輝かせ、私に生きる喜びを教えてくれています。