振り返れば、彷徨うのが当然の5年間だった。目標を見失いそうになるのも無理なかった。いや、そもそも明確な目標など無かったのだ。
佐々町で十二分に一つの人生を演じ切ったと感じた時、その先に待ち構えている残りの人生がつまらなく思えた。
そこで、住み替えを考えるようになったのだが、とにかく、此処ではない所で新たな暮らしを一から始めたいという一心からだったように思う。
そんなことから、当初は海が見える場所を求めて、川棚町から大村市にかけて、大村湾沿いにずいぶんと車を走らせた。
やがて、無垢材や漆喰など自然素材からなる家屋に惹かれるようになり、各地で催されるオープンハウスによく出かけた。
そんな中、古民家をリノベーションしたと或る物件のオープンハウスで古民家の佇まいに魅せられることとなった。