のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

φは壊れたね/森博嗣

2006年05月19日 00時51分14秒 | 読書歴
■ストーリ
 おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に
 芸大生の宙吊り死体が・・・。現場は密室状態。
 死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで
 録画されていた。タイトルは『φは壊れたね』。
 D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。

■感想 ☆☆
 今回の作品は完全に流し読みしてしまいました。
 正確にはミステリ部分を流し読み。ミステリ作品なのに。。。

 SMシリーズ、Vシリーズまでは発行されるたびに
 楽しみに読んでいた森作品ですが、四季シリーズごろから
 少し食傷気味です。しばらく遠ざかってました。

 が、西之園萌絵さんは私にとって特別な存在のです。
 萌絵さん登場シーンのみを探し出して読んでしまうほど
 森作品の中で大好きなキャラクターです。
 信じられないようなお金持ちで世間知らず、だからなのか
 ほんの少し世間とも一般人の思考からもずれていて天然。
 かと思いきや計算能力にすぐれ、論理的な思考を有する彼女。
 しゃべり方は優雅なのにスピード狂でボーイッシュ。
 何もかもが魅力的です。

 というわけで、あらすじを見て萌絵さん出演と知り
 即効借りました。
 彼女のかっこよさ、かわいらしさは今回も健在です。
 オレンジのメッシュです。ピンクのスーツです。かっこいい。

 ただ、大好きだからこそ。
 彼女が登場しているのに中途半端な活躍(とも言えない登場)
 のみ、という状況がちょっぴり不満です。
 彼女の頭のよさであればもっと真相に肉薄していいはずなのに。

 解決するのは当たり前のことながら今シリーズの主人公。
 しかもシリーズが始まったばかりだからでしょうか?
 今ひとつこの主人公の魅力が伝わってこない。

 このシリーズの次回作で魅力を図りたいと思います。
 萌絵さんは次回からもこういう中途半端な出演なのかしら?

だめ天使ところころ魔女/ア-シュラ・モレイ・ウィリアムズ

2006年05月19日 00時26分55秒 | 読書歴
■ストーリ 
 ベラベリンダおばさんは魔女。
 その力を生かして、みどりのおばさんをしています。
 或る日、おばさんは、まだ小さく未熟なために子供を守る
 守護天使の役目を果たせずにいる天使を見つけました。
 おばさんは天使を家に連れ帰り、仕事を手伝ってもらうことにしました。
 みどりのおばさんは大変な上、フォッグルバッチ家の3人兄弟と来たら
 天使のようにかわいいのに、悪魔のようにいたずら好きだからです。

■感想 ☆☆☆
 本選びは表紙とタイトルを見て直感で「これ」と思ったものを
 手に取り、中身をぱらぱらとめくって文章を読んで決定します。
 なんて大雑把で偶然に頼った本選び。
 まあ、こういう偶然の出会いが「縁」ですから。
 調子が良いと10冊しか借りれないのに17冊ぐらい
 手にとってしまい、そこから選定作業に入ることになります。

 それなのに、今回手に取ったのは、見つけたら必ず読む作家さんの
 作品1冊のみ。 脳が疲れているのか、図書館を一周しても
 目に留まる背表紙と出会えませんでした。

 こういうときこそ、赤川次郎さんと児童書。
 というわけで児童書のコーナーをぐるぐる回りました。

 この作品はタイトルに惹かれて手に取ったものです。
 大好きな童話「ぐうたら王とちょこまか王女」のタイトルと
 似ているなぁと思って手に取ったところ、両作品とも
 「新しい世界の童話シリーズ」のラインナップでした。
 他には「りんごの木の上のおばあさん」や「スプーンおばさん」
 など何回も借りて読み直した懐かしい作品ばかりです。

 やんちゃなちびっこフォッグルバッチ家の3人兄弟と
 まだまだ半人前の天使のどたばた騒ぎですが
 彼らを大きな目で見守るベラベリンダおばさんがとても魅力的。
 「子供は嫌いだよ。」と言ってはばからないし、悪いことを
 したときのおしおきはかなりきついものです。
 けれども、その厳しい言動の底辺にはちゃんと愛情があることが
 ちびっこたちにはちゃんと伝わっていて、つっけんどんなおばさんの
 まわりにはちょこまかとじゃれ付いてくるちびっこばかり。
 そんなちびっこたちとおばさんの関係がとてもほほえましい作品でした。

いま、会いにゆきます/市川拓司

2006年05月19日 00時25分45秒 | 読書歴
■ストーリ
 父子家庭に起こる愛の奇跡。
 雨の季節になったら戻ってくる、という言葉を残してなくなった澪。
 ある雨の日、本当に澪が父親たくみと息子ゆうじの前に現れる。
 しかし、澪はすべての記憶を無くしていた。

■感想 ☆☆
 映像化された作品がある場合、映像から見るべきか
 原作から読むべきかはかなり悩ましい問題である。
 ただ、人の想像力はかなり奔放で個性的なために、文字から得た
 イメージがものの見事に他人のイメージと一致することは少ない。
 というよりも絶対にありえない。

 だからこそ、私はどちらも未見の場合は映像作品から
 見ることにしている。映像化してから読むと、自分の想像が
 固定されているため、覆されることがない。
 だから、どちらかというとこの順番のほうが
 がっかりする確率も低いような気がするのだ。

 しかし、この作品は違った。見事に映像作品が勝ってしまった。
 映画化もドラマ化もされた作品だが、私には映画の印象が強すぎて
 映画のヒロインが文章の世界を文字を越えてしまった。
 読んでも読んでも映画の中でのシーンが映像として流れてくる。
 あまつさえ、映画オリジナルの場面を「あの場面の描写がない。」と
 恨めしく思ってしまう。
 それぐらい映画の中の澪と匠はこの作品のイメージとよく合っていた。
 そして映画オリジナルの小さなエピソードがこの作品の
 延長線上にあるものとして探してしまうくらい、この作品の雰囲気を
 よくつかんだものだったのだろう。

 市川さんの作品の不思議な雰囲気、透明感溢れる文章は
 この作品でも健在だ。なのに映画のほうを懐かしく思い返してしまう。
 映画を先に見るか、原作を先に読むか。難しい問題だ。