のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

やる気だけでは無理なこともある

2006年05月20日 14時10分48秒 | 日常生活
振り返ること一ヶ月前。
労働組合イベントで植林活動に行って来ました。
結局、激しい雨のため、植林はおろか
山に入ることさえ叶わなかったのですが
バーベキューとその後の交流会は実施されました。

交流会のメインイベントは「片足立ち大会」。
ネーミングを聞くだけでなんだか楽しそうなイベントです。
ルールも実にシンプル。

「片足で何秒立ち続けることができるか。」

たったこれだけです。
但し、これだけだと勝負がつかないため
1分が経過したらみんなで目をつぶります。

・・・ええ、これだけだと勝負がつかないはずなんです。
馬鹿にしてました。

あっけなく勝負つきます。(のりぞう限定)
片足立ちなんてちょろいんじゃないのー?
最後はじゃんけん大会だよねー、きっと。
なんて余裕発言をかましていましたが
最初に与えられた練習時間で悟りました。




豊後牛は無理。(きっぱり)

1分も片足立ちなんて無理ー。
つーか、30秒も無理ー。

周囲の新人さんものりぞうのへなちょこぶりに
思わずため口になってました。

「嘘やん!」
「いや、それ、冗談でしょ?」
「ありえんっ。」
「本気出してそれだけ?!」

・・・・屈辱的。
えーい!のりぞうはいつだって本気モードで勝負に挑んどるわー!





という出来事から一ヶ月経ち。
明日も本気モードで勝負に挑むつもり満々のソフトボール大会です。
同じチームの新人さんとも叱咤激励しあってきました。

「明日、がんばろうね!
 目指すはホームランよ!」←激励

「いや、あのバランス感覚では絶対無理です。」←叱咤

・・・なんて、つれない。。。。

くそう。見ておれ。

ソフトボール大会の主旨は「新人歓迎」ですが
のりぞうの心は既に「打倒!新人!」にシフト中。
がんばるぞー。

不安なお年頃

2006年05月20日 13時52分30秒 | 日常生活
明日は新人歓迎ソフトボール大会です。
数日前より福岡は雨が続いていたので
開催が危ぶまれていましたが、本日より快晴。
無事に実施できる運びとなりました。

研修終了後。
まだまだ会社の空気がつかめてない新人は
様々なことを不安に思ってのりぞうのところにやってきます。

「のりぞうさん、服装ってジーンズでもいいですか?
 行きはスーツのほうがいいですか?」

・・・・いやいや、ソフトボール大会だから。
日曜は休日だから。あくまでもイベントだから。
運動しやすい服装で来てくださいな。

「でも、ジャージじゃないと
 やる気なく見えませんか?」

大丈夫っ。そんな真剣にやるものでもないから。
あくまでも新人歓迎イベントなんだから。

「のりぞうさん、このソフトボール大会って
 どこまで真剣にやるものなんですか?
 真剣に頑張りすぎるとひかれますか?」

いやいや、新人らしく爽やかに頑張ってくださいよ。
その姿を見てひいたりらんてしませんことよ?
但し、運動不足の先輩方も多いので
そんなに真剣に頑張らなくてもよろしいかとは思いますが。

「のりぞうさん、僕、ソフト苦手なんです。
 新人なのに打てなかったら
 ナサケナイって思われませんかねー。」

・・・・・・。
この時期の新人さんたちって心配事がたくさんで
精神的にとっても大変そうですわ。

のりぞうが新人の頃、
こんな不安を抱えた記憶ないけどなぁ。
これが個人差というものでしょうか。

なにはともあれ、明日は頑張ってきます。

顔は見られてません

2006年05月20日 13時43分55秒 | 日常生活
ゴールデンウィーク明けより制服姿ののりぞうです。
って、ついこの間もこのお話したばかりですが。

ここ数日、いろんな方に言われる言葉。

「のりぞうさん、制服になったのね。
 席に行ってものりぞうさんが見当たらないから
 探し回っちゃったよー。制服姿だとわかんないねー。」

・・・そういうものなんすかねー?
すいません、探し回らせちゃって。。。。

「のりぞうさん、制服になったのね!
 人材開発課に新しい人が来てる!って興奮しちゃったら
 のりぞうさんでびっくりしたよー。」

あらら。そんなに驚きました?

「のりぞうの制服姿にようやく慣れたよ。
 もう制服着ててもお前を見つけられるぞ。」

・・・・・ちょっと待て。
さては、皆様。
今までのりぞうの顔なんてちっとも見てませんでしたわね?
制服になって分かることって多いですわー。

犬はどこだ/米澤穂信

2006年05月20日 12時28分40秒 | 読書歴
■ストーリ
 何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのは
 お好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって
 叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。
 この事務所“紺屋S&R”が想定している業務内容は、ただ一種類。
 犬だ。犬捜しをするのだ。それなのに、開業した途端舞い込んだ依頼は、
 失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつは
 なぜか微妙にクロスしていく。いったいこの事件の全体像は?
 犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。

■感想 ☆☆☆☆☆
 物語の世界にぐいぐいと引き込まれていき、あっという間に
 読み終えることができた。それぐらい魅力的な登場人物たちと
 物語展開だった。
 ほのぼのとした描写に似合わないダークな展開は、今までの
 米澤作品通り。闇の濃さはますます色濃くなっている。

 目標を見失って無気力な探偵 紺野とやる気に満ち溢れている
 押しかけの探偵助手ハンペー。持ち込まれた事件をきっかけに
 少しずつ生きる活力を取り戻し始める紺野の変化が爽快だ。
 少しずつ脳を動かし始める紺野。事件に興味を持ちはじめ、
 パズル(謎)を組み立てる速度をゆっくりとあげていく紺野は
 目標を見失っていなければ優秀な人材だったことを感じさせる。

 一方、ハンペーは最後まで未知数。できるのかできないのか
 底が知れない。探偵に憧れ続けて押しかけ探偵助手となった彼は
 イマドキのちょっと情けない兄ちゃんかと思いきや、意外にも
 読書好きで、読みやすく相当な量の報告書もさらりと書いてみせる。
 これは余程の切れ者かと思いきや、その次の瞬間には思いっきり
 ズレた発言をして、拍子抜けさせる。
 その妙に力の入っていないキャラクターがおもしろい。

 そして、ネット上で紺野を支援するGEN。
 その正体はこの作品では明かされない。
 文章だけの登場なのに、その文章から思慮深さや聡明さを
 感じさせられる。彼の存在だけで続編を期待してしまう。
 いつか彼と紺野が直接会う日は訪れるのだろうか。
 そういった続編を期待するほど面白い作品だった。
 
 肝心の事件はラストで信じられないような幕切れをする。
 この終わり方に後味の悪さを感じる人はいるかもしれない。
 けれども私はこれでいいとおもった。ヒロインのそれまでの
 恐怖を考えると、むしろ、この終わり方が最良だと思った。
 そしてこのビターな終わり方こそ、米澤作品だと満足した。
 しばらく米澤作品の魅力から抜け出せそうにもない。

君を送る/赤川次郎

2006年05月20日 12時27分33秒 | 読書歴
■ストーリ
 石塚深雪、23歳。OL生活も四年目を迎えた彼女の心の支えは、
 営業部長の矢沢晃二。新人の頃、ミスをした深雪を救ってくれたことが
 あったのだ。その矢沢がワンマン社長と対立して、突然辞職に
 追い込まれた。裏には何か事情があるようなのだが。
 自分の立場を気にして動こうとしない男たちに愛想をつかした深雪は、
 一人で送別会を企画するが、事態は意外な方向へ進展していく。
 特別対談「伝えたい想い」と「伝えられない想い」 赤川次郎×奥菜恵

■感想 ☆☆*
 赤川次郎さんの作品は、私にとって「大人の階段」だった。
 小さい頃、通っていた図書館は「子供図書館」と「大人図書館」とに
 別れていて、違う建物だった。初めて父親について大人図書館に
 足を踏み入れたときの高揚感、誇らしげな気持ちは今も忘れられない。
 そのとき、初めて借りた本が赤川次郎さんの文庫本だった。

 既に友人に借りて読んだことがあったため、赤川さんの作品の
 面白さは知っていて、軽いユーモアと身近で魅力的な登場人物に
 わくわくしながら読み漁った。
 そして、赤川作品を経て、私は大人図書館の別の作品にも
 手を出し始め、少しずつ赤川作品と別れていった。

 刷り込みのようなものだろうか。
 疲れたとき、文字を見たくないときなど、無性に赤川作品を
 読みたくなるときがある。今、読んでも、あの頃のように
 赤川作品を楽しむことはできない。それでもあのわくわくを求めて
 本を楽しむ面白さを探して赤川作品に戻ってみる。

 今回もそういった流れで借りた一冊。
 そして久々に赤川作品を純粋に楽しんだ一冊となった。
 特別対談のタイトルになっている
  「伝えたい想い」と「伝えられない想い」
 この言葉がなによりもこの本のテーマを表していると思う。

 奥さんがいる人に対して抱いてしまった主人公深雪の
 ほのかな想いが淡く優しく表現されている。
 しかし、深雪自身が自分の想いに気付かない。
 気付かないふりをする。節度を守る。
 だから言葉にできない想いがありすぎて切ない。

 想いを寄せられる部長 矢島も深雪に好意を持ちながら
 そして、その想いをそこはかとなく行動に出しながらも
 超えてはいけない一線は超えない。壊せないものを
 きちんと分かっている大人の男性だからこそ
 深雪が惹かれたのにも納得できる。

 想いを伝えることもなく迎えたラストの別れの場面で
 ようやくふたりは電話越しに想いを伝え合う。
 ふたりの会話はどこまでも二人らしく、
 抑えた感情の伝え方で少し胸が痛くなる。

 けれども最後まで節度を守り通した二人の姿は
 決してハッピーエンドとは言えない物語を爽やかなものに
 してくれたと思う。

陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎

2006年05月20日 12時25分24秒 | 読書歴
■ストーリ
 市役所で働く成瀬は確実に他人の嘘を見抜く。
 シングルマザーの雪子は正確な体内時計の持ち主。
 喫茶店主の響野は演説の達人、20歳の青年久遠は天才スリ師。
 ちょっとした特技を持つ4人は、成瀬をリーダーとした
 「ロマン」を求めつつも確実に成功銀行強盗ギャング団。
 しかしある日、横浜の銀行を襲撃した彼らは4千万円をせしめたものの
 逃走中に他の車と接触事故を起こしてしまう。なんとその車には、
 同じ日に現金輸送車を襲撃した別の強盗団が乗っていた。

■感想 ☆☆☆*
 張り巡らせられた伏線が最後の最後に一気に目の前に
 出てくる。それを見渡す爽快感を味わえる作品だった。
 
 二転三転するストーリーにはらはらさせられっぱなしだった。
 それでも全く動じることのない成瀬と響野が頼もしく
 ひたすらかっこいい。
 「銀行強盗」は悪いことだと分かっている。
 ロマンを探すためにするようなことではない。

 それでも「ロマンはどこだ?」と言いながら、
 楽しそうに銀行強盗を実施する彼らを見ていると、
 銀行強盗が犯罪ではなく、大人も楽しむことができる
 ゲームのような気がしてくる。

 それは、彼らの価値判断が決してお金ではないからだろう。
 お金のためだけに銀行強盗をするわけではない。
 勿論、手に入るお金はきちんといただく。
 それは彼らが自分たちの能力と知恵とで
 「自分たちのもの」にしたものだから。
 そんなやんちゃ坊主のような、プロの職人のような四人が
 徹頭徹尾魅力的な作品だ。

 「お話を読む幸せ」をじっくりと味わえる小説だった。

塩狩峠/三浦綾子

2006年05月20日 12時24分26秒 | 読書歴
■ストーリ
 結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が
 塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れて暴走し始めた。
 声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくように
 ハンドブレーキに手をかけた。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、
 自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の
 愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。

■感想 ☆☆☆☆☆
 初めて手にとった三浦作品に図書館で再会し、懐かしく読み返した。
 何度読み返しても一気に読ませられる。
 ただひたすらにまっすぐ生きる信夫の歩みがまぶしい。
 いやみとも取られかねないまっすぐな生き方
 正しい生き方に憧れる。

 信じるものがある人の強さ、芯の通った生き方に
 そういった強い思いを持ったことがない私は憧れる。
 どうすればその強さを身に付けられるのだろう。
 何があれば、そこまで強く神を信じられるのだろう。
 信じたいと思いながらも、一歩を踏み出せずにいる私には
 信夫の生き方が羨ましくて仕方がないのだ。
 
 作者はこの作品で「犠牲」を描きたかったという。
 「今は耐えてしまった「犠牲」や「礼節」というものについて
  改めて考えて欲しかったのだ。」という。
 そう考えて作者がこの作品を書き上げたのは昭和40年代。
 私が生まれる少し前だ。

 そこからまた時が経った。「犠牲」という言葉が
 日常で使われることはない。私たちは権利を主張し
 豊かで便利な生活を手に入れた。そして何かを失った。

 今の私たちを三浦さんが見たら、何をテーマに作品を
 書きたいと思うだろう。
 あとがきを読み終えた後、そんなことに想いを馳せた。

寝ずの番

2006年05月20日 12時13分21秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 上方落語界の稀代の噺家・笑満亭橋鶴(長門裕之)は、今まさに
 臨終のときを迎えようとしていた。見守る弟子たち。
 なんとか師匠のいまわの願いを叶えようと、耳を近づけ
 聞き取ったのは「そ○が見たい」との言葉。
 一同驚きつつも、おとうと弟子・橋太(中井貴一)の嫁
 茂子(木村佳乃)を説得。茂子は師匠をまたぎ、
 そそをお見せしたが・・・。
 通夜には師匠ゆかりの人々がわんさわんさと集まり、
 「寝ずの番」をしながら、尽きること無い想い出話をする。
 俳優・津川雅彦初監督作品。

■感想 ☆☆☆☆
 味わい深い上質なユーモアたっぷりの作品。
 「品がよい」「粋な」といった形容詞がよく似合う。
 しかし、その笑いのテーマは徹頭徹尾下ネタである。
 「寝ずの番」をする生前、縁があった人たちは死者の
 性にまつわるエピソードの数々をあっけらかんと
 楽しそうに話し、思い出にふける。
 話が盛り上がると「寝ずの番」の最中に歌いだし、踊りだす。

 そこに見えるのは残された人たちの死者への愛情。
 充実した一生を送った死者にたくさんの愛情をもらった人たちが
 愛情を込めて死者を送り出す姿である。彼らは楽しく生きた死者を
 すぐそばで見てきて、そんな死者を愛していたから、
 彼らの「死」を悲しまない。

 勿論、喪失を寂しがってはいる。
 もう会えないことを、もう声が聞けないことを辛くは思っている。

 しかし、彼らの死は不本意なものではなく、思う存分
 生を全うした後に訪れたものだと納得もしている。
 だからこそ、笑顔で送り出せる。

 怒涛のように繰り広げられる猥談をここまで上品に
 表現できる日本語の美しさ、話芸の素晴らしさに感動した。
 そして、それらに対する監督や出演者たちの愛情が伝わってきた。
 改めて「落語」や「長唄」や「芸者遊び」の作法を見直したい。
 そういった古くから伝わるものを知って、
 粋に、上品に、そして欲望に正直に、年を重ねていきたい。
 そんなことを思った。

陽気なギャングが地球を回す

2006年05月20日 12時12分19秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 市役所で働く成瀬(大沢たかお)は確実に他人の嘘を見抜く。
 シングルマザーの雪子(鈴木京香)は正確な体内時計の持ち主。
 喫茶店主の響野(佐藤浩一)は演説の達人、
 20歳の青年久遠(松田雄太)は天才スリ師。
 ちょっとした特技を持つ4人は、成瀬をリーダーとした
 「ロマン」を求めつつも確実に成功銀行強盗ギャング団。
 しかしある日、横浜の銀行を襲撃した彼らは4千万円をせしめたものの
 逃走中に接触してきた車に現金を全て奪われてしまう。

■感想 ☆☆☆*
 原作ほどの爽快感は味わえない。
 けれども原作で感じた「仲間とロマンを追い求める楽しさ」は
 映画でも十分に味わえた。
 なんだかよく分からないけれど、楽しげなかんじ。
 
 但し、原作のあとがきに「90分の映画が好きだ。そんな作品が
 作りたい。」と書いてあったことを考えると、残念な部分が
 たくさんある。
 映像化を前提とした作品にしてあるにも関わらず
 原作から大幅にストーリーを変えていること。
 中途半端にCG処理をしていて、かえってちゃちな印象を
 もたらしてしまったこと。
 原作では常に冷静沈着に行動する成瀬が焦ったり走ったりすること。
 「銀行強盗の際には、スーツが一番目立たないんだ」と
 理性的な判断を示す成瀬がものすごくド派手な衣装を着ていること。

 納得のいかないちょっとしたことが多すぎる。
 原作を読まずにこの作品を見ていたら
 もっともっと楽しめただろうな、と思わずにいられない。

 とはいえ、私は思う存分、楽しんだ。
 もとからキャストを知った上で原作を読んでいたことが
 大きく影響しているかもしれない。私の脳内イメージでは
 既にこの4人が騒動を繰り広げていたし、この4人の姿に
 特に異存はなかったのだ。
 何より、私の暴走気味の妄想は原作にそんな記述が
 微塵もないにも関わらず、成瀬と雪子ってお似合い・・・と、
 少女漫画チックな展開を夢見ていたため、映画の展開にも
 まったく戸惑わなかった。

 ・・・・訂正。暴走気味の妄想はしていたものの
 この軽快な作品にロマンチックな展開は妙に浮いていて
 いつも以上に気恥ずかしく、ふたりのラブシーンを正面から
 見ることはできなかった。

 などなど、細かいところを気にしだすと止まらないが
 クライマックスの音楽と映像が与えてくれた爽快感は
 まさに原作どおりだったと思う。
 「ロマンはどこだ?」とつぶやく響野を演じる佐藤さんも
 終始、楽しそうだった。彼のいたずらっ子のような表情も
 原作どおりだったと思う。

 見終わった後、彼ら4人とまた会いたいな、と素直に思った。

かもめ食堂

2006年05月20日 12時11分34秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 ハラゴシラエして歩くのだ。
 ぷっくり太ったカモメたちがユルリと青空を飛ぶ、
 北欧の港町ヘルシンキ。
 その片隅にひっそりとたたずむ小さな食堂が「かもめ食堂」。
 店主の日本人女性サチエ(小林聡美)は、純朴なヘルシンキの人々に
 純朴な日本の「おにぎり」を食べてもらいたいと、
 今日もアツアツのご飯を握るけれど、客足はからっきし。
 それでもめげないサチエのかもめ食堂に訳ありげ気な
 日本人女性ふたり(もたいまさこ、片桐はいり)が転がり込んできた。

■感想 ☆☆☆☆☆
 見終わった後、かもめ食堂のおにぎりにかぶりつきたい、と思った。
 見ている途中からお腹がすいてきた。お味噌汁やお漬物、
 定食といったメニューをゆっくりと味わいたくなった。

 「おにぎりは日本人のソウルフードだから」
 
 どれだけ味わっても飽きることないもの。
 弱っているときほど食べたくなるもの。
 それはまさしく私にとっての「ふるさと」。
 おそらく国外に出ている人にとっての日本。

 そんなおにぎりを提供しているサチエがなぜフィンランドに来たのか、
 なぜここで食堂を経営しているのか、作品内ではまったく説明されない。
 カメラが追うのはお客が来ないにも関わらず、凛としたたたずまいで
 お店を維持する彼女の姿である。

 彼女の凛としたたたずまいが雰囲気がお店に人を引き寄せる。
 少し弱ってる人、参っている人、迷っている人が彼女と
 彼女のお店に集い、おいしいご飯にほっと一息をつく。
 暖かい珈琲でゆっくりとくつろぐ。
 そこから伝わってくるのはシンプルなメッセージ。
 
 どんなに参っていても、迷っていても美味しい食事は笑顔を
 つれてくる。食事は人生の基本。
 そして、ゆっくりとたっぷりと栄養を補給したら
 どんなに迷っていても一歩、前に踏み出さなくてはいけない。

 「人は変わっていくものだから」

 もたいさんの存在感は圧倒的。
 セリフもしゃべらずに表情だけでここまで観客を笑わせられる
 この独特のたたずまい、間は一体なんだろう。

 小林さんのどこまでも自然体の存在感も印象的。
 映画の中、という自然ではなく作られた場所でここまで
 演技をしていない素の自分を作れるってすごいと思う。
 そして、その作られた「自然体」がまた魅力的なのだ。

 そして、小林さんと対極に位置する片桐さん。
 彼女が発するとごくごく普通のセリフも「ユーモア漂う一言」になる。
 体が笑わなければ、と反応する。自然体なのにパワーが溢れている。

 エンディングテーマが流れる間、彼女たち三人の写真が流れる。
 決して美人女優とは言えない三人。
 けれども清々しいほどに美しい三人。
 顔に、表情に、立ち姿に、その人が送ってきた人生が表れる。
 それを実感できる写真の数々。この写真だけでも充分に楽しめる
 贅沢な作品だとエンディングで改めて感じた。