のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

最重要確認事項その2

2006年09月27日 21時28分02秒 | 日常生活
先日、部長からイケメンの男性職員をお勧めされました。
本日はその男性職員の仕事場にて打ち合わせが行われ
無事、再会を果たすことができました。

さて、再会を果たした部長は重要事実発見!

「のりぞうくん、のりぞうくん。
 あの人、薬指に指輪しとうばい。
 こりゃ、いかん。結婚しとるんですね。」

ええ。実はのりぞう、先日から気付いてました。

「そうだったんですか?
 いかん、いかん。まったく気付かんかった。

 ・・・残念ですね。また失恋ですよ。」

・・・・また?
・・・失恋?
・・・・残念?

もう、どこから突っ込めばいいのか分かりませんが
とにかく一言言わせてください。

人の失恋記録を勝手に塗り替えないでいただきたい。

クライマーズ・ハイ/横山秀夫

2006年09月27日 20時51分58秒 | 読書歴
■ストーリ
 1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。
 衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が
 全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は
 病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の
 謎めいた言葉、報道の使命について考えさせられる作品。

■感想 ☆☆☆☆☆
 1985年、小学校一年生の夏休みを私は今も鮮明に覚えている。
 その年の夏休みは夏目雅子さんが若くして白血病で亡くなり
 御巣鷹山で起こった航空機事故で500人以上の人々が
 亡くなった。子供心にそのどちらのニュースからも
 「命がなくなる」ということについて真剣に考えさせられた。
 その年の夏休み。私は母親と共に食い入るようにワイドショーを
 そしてニュースを見続けた。

 本作品を読んで、あのときの夏休みを鮮明に思い出した。
 改めてあの事故が世界でも類を見ない大きな事故だったこと
 あのニュースを伝えるために、どれだけ多くの人が奮闘し
 戦い、迷ったのか。あの頃、私たちが食い入るように見ていた
 テレビや読み漁っていた新聞の裏でどれだけの葛藤が
 繰り広げられていたか。

 そういったことを考えさせられたし、
 改めてあの事故のことを思い出し、目頭が熱くなった。
 私にとって、あの事件は生まれて初めて「死」を
 現実世界で意識したものだったからなのだろう。
 今もあの事件に関するものを読むだけで、
 胸がぎゅっと掴まれているような感触を味わう。

 まして、横山さんの文章は感情に走りすぎていないにも
 関わらず、いや、感情に走りすぎていないからこそ
 伝わってくるものが多く、あっという間に
 読み終えることができた。
 読み次がれてほしい作品だと思う。
 報道に携わる人たちに。
 命を預かる立場にいる人たちに。

 そして、読みついでいきたい作品だとも思う。
 情報を与えられている私たちが。
 興味本位で情報を必要とすることもある私たちが。
 現代の便利さを享受している私たちが。

重力ピエロ /伊坂幸太郎

2006年09月27日 20時50分43秒 | 読書歴
■ストーリ
 半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。
 春は、主人公の母親がレイプされたときに身ごもった子だ。
 ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う主人公の勤め先が、
 連続放火事件の的となる。町のあちこちに描かれた落書き消しを
 専門に請け負っている春は、連続放火事件の現場近くに、必ず
 スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づき
 そして・・・・。
 無意味な言葉の羅列に見える落書きは、一体何を意味するのか?
 キーワードは、放火と落書きと遺伝子のルール。

■感想 ☆☆☆☆
 うまく自分の中の感想を言葉にできなかったため、読み終わって
 しばらく放置していた。その感触は未だに変わらない。

 母親がレイプされたことによって生まれた弟。
 家族を取り囲む二重三重の差別。心無い言葉の数々。
 末期癌に侵されている父親。
 
 重苦しいテーマを取り上げつつも、作品全体を覆う雰囲気は
 軽快で前向きだ。
 それは、作品タイトル「重力ピエロ」の意味をあらわす
 春の言葉からも伝わってくる。

 「深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ。
  空中ブランコを飛ぶピエロが、重力を感じさせないように。」

 事実、兄弟の父親は自分の末期癌を深刻に受け止めず
 冗談の種にもしてしまう。
 彼のその軽やかさが本書に与える影響は大きい。
 周囲の人をむやみに気遣わせない明るさ、
 自分にとって大事なものを決して見失わない思慮深さ
 自分の信じる道をただまっすぐ行き続けることができる
 意志の強さ。どこまでも魅力的な父親だ。

 おそらく彼は兄弟の抱える葛藤も悩みも怒りもすべて
 見通している。見通した上で見守ることを選択している。
 不用意に口出しするのではなく、分かったようなふりをして
 説教をするのではなく、ただ見守り続ける。
 温かい目を注ぎ続ける。そういった生き方を選択する。
 だから、この作品はこんなにもあたたかいのだと思う。

 けれど、私は疑問に思ってしまうのだ。
 本当に彼らが下した結論は正しいのだろうか、と。
 正しいと思ってしまう自分がいる。彼らの行動を
 爽快に思う自分もいる。
 何をどうやっても変わらない人、変われない人はいる。
 改心できない人、自分が傷つけられたら痛いように
 他人も傷つけられたら痛いのだ、という簡単なことが
 理解できない人。そういった人をぎゃふんと言わせたい
 やりこめたい、という想いを持ってしまう自分がいる。
 でも、そのためだったら何をしてもいいのか、という
 迷いもある。そのために何をしてもいいほど
 偉い人間、正しい人間がいるのだろうか、という迷い。

 おそらくこの疑問に答えはでない。
 私なりにこの疑問と向き合っていき、自分なりの
 考えを見つけていくしかないのだと思う。

 それでも、私が彼らの選択を不愉快に思わなかったのは
 彼らが傷ついていたから。決断し、実行した後も
 ずっと傷つき、迷っていたからだと思う。
 そして、彼らの行動の理由が「自分」ではなく
 「家族の痛み」だったからなのだと思う。


 関係ないが、伊坂作品には他の作品の登場人物が
 必ず横断出演を果たすが、この作品に出演した彼の人は、
 私の中で伊坂作品のお気に入りキャラBEST3に
 入るぐらい好きなキャラクターだったので、
 分かった瞬間に叫びだしそうになってしまった。
 こんなに再会を果たせて嬉しい登場人物を作れるところが
 伊坂作品の魅力のひとつなのだと思う。 

陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎

2006年09月27日 20時49分14秒 | 読書歴
■ストーリ
 人間嘘発見器、成瀬が遭遇した刃物男騒動。
 演説の達人、響野は「幻の女」を探し出す。
 正確無比な体内時計の持ち主、雪子は謎の招待券の真意を追い
 そして天才スリの久遠は殴打される中年男を救う。
 強盗4人組が巻き込まれた一見、バラバラの事件の数々。
 だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した
 「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖をし始める。

■感想 ☆☆☆☆☆
 ここ最近、割と重めの作品を読んできたためか
 爽快感漂うこの作品世界にどっぷりとつかることができた。
 軽妙な会話、はりめぐらされた伏線、絡み合う登場人物
 そのどれもがクライマックスに向けて作品を盛り上げていく。
 最後の最後にすべてのピースが埋まり、ひとつのパズルとして
 絵が完成する瞬間の爽快感がすばらしい。

 強盗をしていないときの四人の日常も軽やかで
 何も考えずに楽しむことができた。
 映画作品は今ひとつ感がぬぐえなかったものの
 それぞれのキャラクターは(祥子さん以外)私の中で
 ぴったりと当てはまっていて、今回の作品も読みながら
 すべて彼らの声で姿で再現されていた。

 そういう意味では、やはり「映像」の影響は
 大きいのだと思うし、だからこそ、「違う」と思ったときの
 がっかり感はどうしても大きくなってしまうのだと思う。

 あまりに伏線が張り巡らされているので、
 ぜひ手元において何度も味わいたくなる。
 このシリーズは、そんな素敵な作品だ。