■内容
たとえば万葉集をひもとけば、千年以上前の言葉がそこにある。
私が口ずさめ、千年の時空を越えて、鮮度を落とすことなく
言葉は蘇る。言葉は、永遠なのだ。けれどもきのうの「好き」と
きょうの「好き」は違う。言葉は、いまの気持ちを伝える
一瞬のものなのだ。
読むこと、詠むこと、口ずさむこと。言葉を観察し、発見する
エッセイ集。
■感想 ☆☆☆*
第一部は現在の若者が使う言葉について、作者の考察と
想いが綴られている。1999年発刊当初の雰囲気が
伝わってくる。いまや当たり前のように使われている言葉や、
既に死語となってしまった懐かしい言葉が8年間という時の
流れを多様に感じさせてくれる。
第二部は古いものから新しいものまで、様々な短歌や
短歌作家や作品集を作者独特の視点で鑑賞している。
短歌に積極的に触れる機会をあまり持たない私にとっては、
親切極まりない入門書だった。
短歌は極めて短い詩の形式だ。だからこそ、「一部」では
なく「まるごと」琴線に触れ、心に残すことができる。
何度も繰り返し味わい、魅力と本質を味わいなおすことが
できる。そういった短歌自身の魅力を優しく教えてくれる
一冊だった。
また、鑑賞の視点が備わっていない私にとっては
それぞれの短歌に対する考察が素直に嬉しかった。
短歌を読むことに慣れていない私は、ついつい短い言葉を
読み飛ばしてしまい、言葉をじっくり味わうことができない。
だからこそ、それぞれの歌の味わい方を丁寧に伝えてくれる
本書のような存在はありがたい。
今回の一冊で最も心に残った歌
老ふたり 互に空気となり合ひて
有るには忘れ 無きを思はず
互いに空気のような存在となった老夫婦がお互いの存在を
「あたりまえ」だと感じている様子を優しく暖かい視点で
捉えている。「空気のような存在」になれる幸せを感じた
一首だった。「いなくなるなんてことを考えられない」と
思えるまでの間には、単に一緒に年月を重ねただけではない
何かがあるのだろう。そういったものをたった31文字で
伝えられるすごさ、31文字だからこそ伝わってくるすごさ。
日本語の美しさをしみじみと感じた。
たとえば万葉集をひもとけば、千年以上前の言葉がそこにある。
私が口ずさめ、千年の時空を越えて、鮮度を落とすことなく
言葉は蘇る。言葉は、永遠なのだ。けれどもきのうの「好き」と
きょうの「好き」は違う。言葉は、いまの気持ちを伝える
一瞬のものなのだ。
読むこと、詠むこと、口ずさむこと。言葉を観察し、発見する
エッセイ集。
■感想 ☆☆☆*
第一部は現在の若者が使う言葉について、作者の考察と
想いが綴られている。1999年発刊当初の雰囲気が
伝わってくる。いまや当たり前のように使われている言葉や、
既に死語となってしまった懐かしい言葉が8年間という時の
流れを多様に感じさせてくれる。
第二部は古いものから新しいものまで、様々な短歌や
短歌作家や作品集を作者独特の視点で鑑賞している。
短歌に積極的に触れる機会をあまり持たない私にとっては、
親切極まりない入門書だった。
短歌は極めて短い詩の形式だ。だからこそ、「一部」では
なく「まるごと」琴線に触れ、心に残すことができる。
何度も繰り返し味わい、魅力と本質を味わいなおすことが
できる。そういった短歌自身の魅力を優しく教えてくれる
一冊だった。
また、鑑賞の視点が備わっていない私にとっては
それぞれの短歌に対する考察が素直に嬉しかった。
短歌を読むことに慣れていない私は、ついつい短い言葉を
読み飛ばしてしまい、言葉をじっくり味わうことができない。
だからこそ、それぞれの歌の味わい方を丁寧に伝えてくれる
本書のような存在はありがたい。
今回の一冊で最も心に残った歌
老ふたり 互に空気となり合ひて
有るには忘れ 無きを思はず
互いに空気のような存在となった老夫婦がお互いの存在を
「あたりまえ」だと感じている様子を優しく暖かい視点で
捉えている。「空気のような存在」になれる幸せを感じた
一首だった。「いなくなるなんてことを考えられない」と
思えるまでの間には、単に一緒に年月を重ねただけではない
何かがあるのだろう。そういったものをたった31文字で
伝えられるすごさ、31文字だからこそ伝わってくるすごさ。
日本語の美しさをしみじみと感じた。