のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ムーミン谷の冬/ヤンソン

2007年05月29日 23時59分10秒 | 読書歴
■ムーミン谷の冬/ヤンソン
■ストーリ
 まっ白な雪にとざされたムーミン谷。パパとママといっしょに
 冬眠に入ったのに、どうしたわけか春がこないうちにたった
 ひとり眠りからさめてしまったムーミントロール。はじめて知る
 冬の世界で彼のすばらしい冒険がはじまった。

■感想
 ふと目覚めて眠れなくなってしまったムーミントロールの孤独
 と寂しさは遠い昔のちびっこ時代を思いだす。夜中、ふと目が
 覚めてしまい、暗闇におびえてしまったちびっ子時代。
 両親の布団にもぐりこんで、母親にしがみついた夜。
 そういった記憶の断片がよみがえってくる。

 みんながおきていないからといって、世界がなくなるわけでは
 ない。みんなが眠っていても、世界は存在し、誰かがそこで
 生活し続ける。今までの自分には「存在していなかった」世界を
 垣間見て、また大人になっていくムーミン。
 冬の終わりには、必ず春が訪れる。暖かい春が訪れ、家族と
 再会を果たすラストは静かな感動を呼ぶ。
 他の作品と比べても叙情豊かな作品だった。

ムーミン谷の夏まつり/ヤンソン

2007年05月29日 23時58分39秒 | 読書歴
■ムーミン谷の夏まつり/ヤンソン
■ストーリ
 ジャスミンの香りにつつまれた6月の美しいムーミン谷をおそった
 火山の噴火。大水がおしよせてきて、ムーミン一家や動物たちは
 流され、ちょうど流れてきた劇場に移り住むことにした。
 ところが、劇場を知らないみんなが劇をはじめることになって。

■感想 ☆☆☆*
 読み進めるたびに驚くのだが、ムーミンは決してほのぼのとした
 ファンタジーではない。登場人物はみな破天荒、かつ自分の意見を
 しっかり持ち、自分の信じるままに行動する自分勝手さんばかり。
 起こる事件も彗星衝突に火山噴火とほのぼのとしていないことばかり
 なのだ。それでも、悲壮感漂わずにのんびりとした雰囲気が
 残っているのは、自分の信じるままに行動するムーミン谷の住民
 の力が大きいだろう。

 住民たちは何がおこってもあたふたしない。
 打ちひしがれたりしない。自分の普段の生活を守り、常に
 余裕を持ち続ける。
 言いたいことを言って、やりたいことをやって、
 行きたいところに行って、愛する人と会話する。
 当たり前のことなのに、とてつもなく難しいことを軽々と
 やってのけるムーミンたちだから、こんなにも愛しいのだろう。

 個人的に、今のところ「夏まつり」が一番好きだ。
 漂流を終えて、ムーミントロールとスノークのお嬢さんが
 仲間たちと再会を果たすところは、大きな爽快感を得た。