のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

オメデタイとメデタイの違い

2007年07月02日 21時48分07秒 | 日常生活
仕事をしていると違うフロアの秘書さんと目が合いました。
にこっと笑いながら「お疲れ様です。」と挨拶をすると
秘書さんもにこっと笑いながら
「今日、かわいいね。」
とおっしゃってくださいました。



へ?!
突然、そんなことを言われるとてれちゃいます。
ぐふふぅ。

と、在りし日の篠原ともえさんを思い出すような
不気味な笑い声をたてたのりぞうを
秘書さんがものすごーく不思議そうに見つめました。

「のりぞう、なんでそんなに照れてるの?」

・・・え?
かわいいね、っておっしゃいましたよね?
え?もしかして、これってたいした褒め言葉じゃない?
挨拶代わりのようなもの?いちいち照れるほどの言葉でもない?
でもでも!
ワタクシ、ストレートな褒め言葉をかけられることなんて
滅多にないんで、まったくもって慣れてないんです。
「かわいい」で十分、てれちゃいます。

「・・・・。のりぞう。
 アタシ、かわいいだなんて一言も言ってない。」





えー!!!!
じゃあ、今ののりぞうは言われてもない褒め言葉に
勝手に照れた自意識過剰オンナってことでしょうか?

「あんたってほんとーに幸せな脳細胞を持ってるのね。」

・・・いや、ここまで来ると、幸せなという形容動詞よりはむしろ
「オメデタイ」という形容詞がしっくり来る気がします。

あきれ果てて教えてもらえませんでしたが
本当はなんて声かけられたんだろう。
ほんの少し、気になります。

王道はいずこ?

2007年07月02日 21時38分38秒 | 日常生活
週末、おばさんがのりぞうの部屋に泊まりに来て下さいました。
このおばさん、のりぞう母のすぐ上のお姉さん。
のりぞう母は今では珍しい7人姉妹の下から2番目。
おかげでおじさんひとり、おばさんは6人います。
従姉妹も従姉妹のちびっこもうようよいます。
典型的な女系家族です。
その中で、もっともシニカルかつ非女性的な視点をお持ちの
おばさまはさばさばしていて、一緒に話していてとても楽しい方です。

土曜日は一緒に天神をうろうろと歩き
のりぞうのバーゲン参戦に付き合わせたり
結局、ふたりでバーゲンの人込みに疲れ果てて
DVD売り場で昔のドラマや映画を懐かしがって過ごしたりしておりました。
DVD売り場では、世代を超えて大盛り上がり。

「これ!懐かしい!」
「このドラマってどんなんだっけ?」
「あ!これ土曜21時のドラマ!」
「あー!!これ、誰だっけ?!」
「これ絶対!主人公ってばあの人よ!」

ドラマっ子のりぞうの役に立たないと思われた知識も
世代を超えた話題の盛り上がりに大貢献いたしました。
ほほほ。ワタクシのドラマ知識ってば、母世代ぐらいまでは
余裕でついていけるみたいです。

若者の街、天神にいるとは思えないような
ネクラな楽しみ方で土曜の昼下がりを過ごし
のりぞうの家に帰宅。
帰宅した途端、伯母上はのりぞうの本棚やCDの棚を物色し始めました。

どうぞ、どうぞー。
のりぞう自慢のコレクションです。
図書館派ののりぞうが購入してまで持ちたいと思った作品たちですから。

ひととおり物色しながら伯母上がしみじみとつぶやいた言葉。
「あんたの母さんともよく話すけど
 あんたって本当にかわっとうよね。
 売れた本とかCDはほとんどないんやね。
 聞いたこともないようなCDや本ばかりやん。」

・・・・聞いたことないことないもん。
本好きさんなら、絶対に分かってくれる本ばかりやもん。
ていうか、のりぞう、本に関しては
マイナーな本にはほとんど手を出せていないはずなのに。

「王道」の基準は難しいもんです。
母上や伯母上にとっての「王道」とはいずこにあるのか?
「国家の品格」とか「鈍感力」とかベストセラー系?
そもそも本が売れてないのに、本の「王道」なんてあるのか?
謎はつきません。

しかし、明確に分かっていることがひとつ。
母と母の姉妹にとって、どうやらのりぞうは
噂になるぐらい「変わった子」らしいです。

アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

2007年07月02日 21時07分26秒 | 読書歴
■アヒルと鴨のコインロッカー
■ストーリ
 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の
 長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に
 本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的はたった一冊の
 広辞苑。そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか
 僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまった。

■感想 ☆☆☆☆
 今年の始め、2月頃に一度読んだものの、あまりに読後感が辛く
 そのまま感想を書けずにいた。文庫化されたものを購入し、再読。
 やはり読後は辛い。言葉にできないようなやりきれなさに襲われる。

 起こるはずもない奇跡と起こってほしいと願ってしまった奇跡、
 そして、ささやかながらも2年という歳月を超えて起こった奇跡。
 何かが少し変わっていれば、と祈るような気持ちでページをめくり続けた。

 物語は2年前と現在が交互に語られる。
 ペット殺し事件に巻き込まれた女性琴美と
 隣人から書店襲撃に誘われた大学生、椎名。
 2年前があるからこそ、現在の事件が起こる。
 その背景は徐々に明かされていく。
 「現在」しか知らない椎名が淡々と経験するひとつひとつの出来事は
 2年前の事件にいたるまでの過程と照らし合わせると、
 きちんと意味を持っていて、その両方を知っている河崎が
 どんな気持ちで過ごしているのだろうと思うと
 読み終わった後にまた切なくなる。

 奇跡は起こらないけれど、河崎も琴美がバイトをしていた
 ペットショップの店長も、事件を境として確実に変わる。
 そういった変化と最後の最後に起きた小さな奇跡が
 ほんの少しだけやりきれなさから私を救い出してくれた。

チルドレン/伊坂幸太郎

2007年07月02日 21時03分45秒 | 読書歴
■チルドレン/伊坂幸太郎

■ストーリ
 こういう奇跡もあるんじゃないか?
 まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。
 信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。
 ばかばかしくて恰好よい、「五つの奇跡」の物語。

■感想 ☆☆☆*
 こちらも文庫化に伴っての再読。
 伊坂作品は北村薫さん、宮部みゆきさん、加納朋子さんに次いで
 「文庫を見かけたら購入」リストに名を加えました。
 久々のリスト更新です。それぐらい好きな作家さんです。

 はちゃめちゃに見える(だけではなく、実際にはちゃめちゃな)主人公、
 陣内がとても魅力的。実際にこんな人が同僚にいたら、とても困ったことに
 なるだろうとも思うけれど、いつだって自分の感情に正直で
 周囲の目や偽善とは無関係な陣内はやはり魅力的だと思うのだ。

 気分次第で意見がころころ変わったり、
 矛盾したことも平気で言い連ねたり、
 そこから本心を掬い取るのはとても困難だけれど
 それでも陣内を許せてしまうのは、なおかつ魅力的に見てしまうのは
 どんなときもゆらがず「自分に正直」だからだと思う。
 人の目を意識して、期待されているきれいごとや常識を口にしない
 陣内は、矛盾があろうがなかろうが、そして意見がころころ変わろうとも
 一本、まっすぐ芯が通った人なんだろう。
 周囲の人たちがいとおしそうに、眩しそうに、そして困ったように
 彼を囲む姿がとても暖かい。

星影のワルツ/2006年日本

2007年07月02日 20時54分56秒 | 映画鑑賞
■星影のワルツ
■ストーリ
 浜松の実家に帰省した信人(山口英人)は、
 祖父・琢次(喜味こいし)のスナップをさりげなく収めていた。
 家族、友人たち(渥美英二、磯部弘康)との淡々とした日常を過
 ごしていた彼だったが、ある日、祖父の兄(吉井裕海)が
 突然自殺したという知らせが届く。写真家・若木信吾が、
 自身と祖父・琢次をモデルに、人生の哀歌を描いたドラマ。

■感想 ☆☆☆
 好きな漫才コンビを尋ねられたとき、数年前までは必ず
 「夢路いとし・喜味こいし」と答えていた。
 軽妙洒脱で品のある語り口。「分かる人」だけを相手にするのではなく
 できるだけ多くの人を楽しませようとする姿勢。家族だからこその
 そして長年コンビとして連れ添ってきたからこその温かみある突っ込み。
 そのどれもが好きだった。残念ながらいとしさんが2003年に亡くなり
 彼らの漫才活動は終了した。

 今回、こいしさんが映画主演と知り、どうしても行きたくなって鑑賞。
 寝不足の中のレイトショーだったため、うとうとしながらの
 鑑賞になってしまったが、それでも心に残る映画になった。

 監督はもともとが写真家さんであり、今回初の監督業となる若木信。
 彼は20年近く、祖父を写真に撮り続けており、祖父の写真を
 一冊にまとめた写真集も出している。
 そんな彼が「晩年寝たきりだった祖父ができなかったけれど、
 させてあげたかったこと」を映像にしたのが本作品だ。

 監督を投影したと思われる若者が祖父と、そして幼馴染と共に
 故郷での休暇を楽しむ。「楽しむ」というほど、能動的ではない。
 彼は故郷で祖父と、そして幼馴染と毎日を過ごすだけだ。
 けれども、彼は実に楽しそうに、幸せそうに
 祖父と、そして幼馴染と対峙する。
 会話が弾むわけでもない。特別な何かをするわけでもない。
 ぽつりぽつりと話しながら一緒に何かを眺めたり、家路についたりする。
 そんな生活へのいとおしさが画面全体から伝わってくる。

 一緒に酒を楽しんでいた兄が自殺してしまったおじいちゃんは
 人生についてぶっきらぼうに話す。
 「死ぬことはないんや。」
 「畑仕事やったり、お酒飲んだりしたら一日終わるんや。」

 私は今まで生きてきて、自殺をしようとしたことも
 自殺をしたいと思ったこともない。
 けれどもそれはこのおじいちゃんのように確固とした自分があったり
 精神的な強さや信じられるものがあったりするからではなく
 ただ単に運がよかっただけに過ぎない。
 運よくそんなに辛いことに遭遇しなかっただけ。
 運よく周囲の人に恵まれただけ。
 辛いことがあっても、目の前にあるしなければいけないことから
 眼をそらさずに誠実にこなしていくこと。
 これはおそらくそんなに難しいことではなく
 誰にでもできることだからこそ、
 着実にやり遂げることが意外と難しいのではないのかと思う。
 人は無意識に「特別」を望んでしまうから。
 「日常」よりも「非日常」に眼を向けてしまうから。
 平凡と思える人生を楽しそうに誇り高く生きていける人
 そして、そういった人生の中で自分に自信が持てている人こそ
 本当に強い人なんだろうと思った。

 おじいちゃんのぶっきらぼうな語り口と
 孫への溢れんばかりの愛情、そしてその孫に対して胸を張って誇れる
 自分の人生に対する自信。
 暖かくて強くてゆるぎない感情が映画の底辺を貫いている。
 こいしさんのアップの表情と
 「たいしたもんだろ」と孫に対して語りかける口調が忘れられない。
 見終わった後に思い返せば思い返すほど
 しみじみとした気持ちが蘇ってくる。
 もう一度、きちんと見直したい作品だ。

舞妓Haaaan!/2007年日本

2007年07月02日 20時46分39秒 | 映画鑑賞
■舞妓Haaaan!
■監督:水田伸生
■脚本:宮藤官九郎
■ストーリ
 鬼塚公彦(阿部サダヲ)は東京の食品会社で働く平凡な
 サラリーマン。ただひとつ普通じゃないのは、修学旅行で
 京都を訪れて以来、熱狂的な舞妓ファンだということ。
 そんな公彦に転機が訪れる。念願の京都支社に転勤が
 決まったのだ!死に物狂いで仕事して、最高峰の壁
 「一見さんお断り」を強引に乗り越え、やっとの思いで
 お茶屋デビュー!だがそこでお茶屋常連の野球選手・内藤(堤真一)
 と出会った公彦は、内藤に異常な競争心を燃やし・・・。

■感想 ☆☆☆*
 思う存分笑った前半。畳み掛けるように笑いどころが押し寄せてくる。
 やはりクドカンはすごい人だとひたすら笑いながら思った。
 「笑い」に勢いがあって、なおかつ知性が感じられる。
 やりたい放題にやっているように見えて、どこまでも計算しつくされた
 客観的な眼が感じられる。

 しかし、もっとすごいのは、そんな脚本の魅力を失うことなく、
 見事に演じきった役者陣たちだとも思うのだ。
 トーク番組で一度見た素の彼からは想像も出来ないような
 テンションの高さを最後まで維持し続ける阿部サダヲ。
 かっこいいのに嫌みったらしくて、癖のある男が
 とてもよく似合っている堤真一。
 花街での生き様に誇りを持っている女将を
 これでもか、というくらい色っぽく、かっこよく演じる真矢みき。

 「一見さんお断り」という伝統ある風習と
 「それでも入りたい、舞妓さんと野球拳がしたい」という
 シンプルな野望を持ち続ける主人公との攻防を
 ミュージカル風に壮大に歌い上げたレビュー風の場面が
 私にとって、この作品の最大の山場だった。
 どうせなら、ラストも阿部サダヲと堤真一の芸者姿などではなく
 こういった中盤の盛り上がり部分をうまく使った終わり方に
 すればよかったのに、と思う。
 ラストの堤真一と阿部サダヲの唐突な芸者姿は、
 着地点を見つけることが出来ずに
 とりあえず芸者姿にさせて無理矢理「ラストです!」と
 言い放っているような印象を受けた。
 なんだか明確なオチがなく、セットがどんどん壊れて
 舞台上の人物がわたわたして終わるドリフの舞台のような印象。
 それが悪いというわけではないんだけれど、
 せっかく途中までは色々と練りつくされていたのに
 勿体無いなぁ、と思ってしまうのだ。

 多くの日本人が主人公と同じように「舞妓」に対して
 憧れのような特別な思いを抱いていると思う。
 だからハイテンション炸裂で、普通であれば到底共感できるとは
 思えないような主人公の行動も、分かるかも、と思わせられるのだと思う。
 だからこそ、もっと「伝統」と「現状」の葛藤に
 深く足を踏み入れてほしかったな、とも思った。
 中盤以降、話が「舞妓」におさまりきれていないのがとても残念。
 とは言え、思う存分笑わせてもらった。
 元気になりたいとき、何も考えずに楽しみたいときにお勧め。

 わずか1シーンしか出番がないにも関わらず
 ひょうひょうとしたたたずまいで見事に場面をしめた植木等さんに
 そして、映画のラストで出された植木さんに対する弔辞には
 思わずしんみりとしてしまいました。