86.配達あかずきん~威風堂書店事件メモ~/大崎梢
■ストーリ
「いいよんさんわん」―近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。
コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。
配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真。
駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と勘の良い
アルバイト店員・多絵のふたりは、さまざまな謎に取り組んでいく。
元書店員が描く本格書店ミステリ。
■感想 ☆☆☆*
うっかりシリーズ3作目から読んでしまった「威風堂」。
第1作目、2作目を見つけたため、喜び勇んで借りてきた。
カテゴリは「日常の謎」。本屋の店員が遭遇したちょっとした謎に挑む話。
「殺人」も「盗み」もないけれど、シリーズ1作目の第1話は見事、
犯罪に結びついていた。その結びつき方が見事で、第1話から威風堂の
世界にすっかり入り込んでしまった。
けれど、この本の主役は、「謎」ではなく、あくまでも「本屋」や
「本屋店員」。本好きには身近な存在の「本屋」について、またそこで
働く人々について、私はまったく知らなかったことを思い知らされる。
本屋の店員さんは、本が好きでこの職業を選んだ人がほとんど。
本が好きだけれど、本が好きという気持ちだけでは成り立たない本屋さん。
「本を売っているところ」という認識以上に、様々な仕事があふれている
本屋さんの魅力をあますところなく伝えてくれた。
読書離れだの、大変な出版不況だのと言われ続けているここ数年、
雑誌の廃刊も相次いでいて、一読者にすぎない私でさえ、その不況ぶりを
肌で感じることも多い。それでも、本が好きだからこそ、続けられる
本好きのための職業なんだろうな、とヒロイン杏子さんを微笑ましく
見守った。
読み終えた後、本や雑誌は、コンビニではなく、本屋で買おう、とか
お気に入りの本屋をひとつ決めて、そこで本を買うようにしよう、とか
そういった小さな決意をいくつかした。
本屋さんを心から応援したくなる本。
本好きさんには、ぜひ読んでほしい。
また、ラストのおまけ、書店員さんたちの座談会もお勧め。
本屋さんが読んだこの本の感想によって、この本がかなり現実の
書店業界を反映させていることが分かる。書店員さんの
フィクション抜きの経験談も、本編とは別に1冊にまとめてほしいほど
おもしろい。この作品のサブタイトルが決まっていく過程も読めて
お得な気分にさせられるおまけでした。
■ストーリ
「いいよんさんわん」―近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。
コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。
配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真。
駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と勘の良い
アルバイト店員・多絵のふたりは、さまざまな謎に取り組んでいく。
元書店員が描く本格書店ミステリ。
■感想 ☆☆☆*
うっかりシリーズ3作目から読んでしまった「威風堂」。
第1作目、2作目を見つけたため、喜び勇んで借りてきた。
カテゴリは「日常の謎」。本屋の店員が遭遇したちょっとした謎に挑む話。
「殺人」も「盗み」もないけれど、シリーズ1作目の第1話は見事、
犯罪に結びついていた。その結びつき方が見事で、第1話から威風堂の
世界にすっかり入り込んでしまった。
けれど、この本の主役は、「謎」ではなく、あくまでも「本屋」や
「本屋店員」。本好きには身近な存在の「本屋」について、またそこで
働く人々について、私はまったく知らなかったことを思い知らされる。
本屋の店員さんは、本が好きでこの職業を選んだ人がほとんど。
本が好きだけれど、本が好きという気持ちだけでは成り立たない本屋さん。
「本を売っているところ」という認識以上に、様々な仕事があふれている
本屋さんの魅力をあますところなく伝えてくれた。
読書離れだの、大変な出版不況だのと言われ続けているここ数年、
雑誌の廃刊も相次いでいて、一読者にすぎない私でさえ、その不況ぶりを
肌で感じることも多い。それでも、本が好きだからこそ、続けられる
本好きのための職業なんだろうな、とヒロイン杏子さんを微笑ましく
見守った。
読み終えた後、本や雑誌は、コンビニではなく、本屋で買おう、とか
お気に入りの本屋をひとつ決めて、そこで本を買うようにしよう、とか
そういった小さな決意をいくつかした。
本屋さんを心から応援したくなる本。
本好きさんには、ぜひ読んでほしい。
また、ラストのおまけ、書店員さんたちの座談会もお勧め。
本屋さんが読んだこの本の感想によって、この本がかなり現実の
書店業界を反映させていることが分かる。書店員さんの
フィクション抜きの経験談も、本編とは別に1冊にまとめてほしいほど
おもしろい。この作品のサブタイトルが決まっていく過程も読めて
お得な気分にさせられるおまけでした。