89.アカネちゃんと涙の海/松谷みよこ
■ストーリ
もうすぐ1年生になるアカネちゃんに、とてもうれしいことがありました。
なかよしのくつしたの、タッタちゃんとタアタちゃんが、帰ってきたのです。
かなしいのは、おわかれです。モモちゃんとアカネちゃんは、
パパといちばんかなしいおわかれをします。
■感想 ☆☆☆☆☆
何度も読み返している「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズ。
特にパパとママがお別れをする第3作とシリーズ最終回のこの作品は
もっとも頻繁に手にとって読み返している。今回も寝る前に読む本を
選ぼうと本棚を眺め、久々に手を取った。
モモちゃんもアカネちゃんも大きくなり、その興味は自分の身の回りの
ことだけでなく、地球環境問題や戦争といった広い世の中の問題にも
向けられ始め、ふたりの成長を具体的に実感することができる。
だからといって、物語は声高に正義をふりかざしたりはしない。
物語を小難しくすることもない。あくまでも読者にわかりやすく
身近な感覚と言葉で作者の思いを伝えてくれる。
そして、物語はふたりが父親の死を理解し、受け入れるところで、
静かに終わりを迎える。あたたかく優しい言葉で描写されている
この短い話は、何度読み返しても、ふたりの悲しみ、寂しさに
胸がぎゅっとつかまれるような痛みを覚える。
シリーズを通して、ふたりは少しずつ大きくなった。
その間に父親と母親は別れ、別居することになったが、
父親は折にふれて物語に登場する。「パパおおかみ」として
ふたりと共に過ごし、ふたりを慈しんでいる。
シリーズは全6作。しかし、第1作から6作まですべてが揃うまで
実に20年。そういった長い年月をかけて、ふたりと共に過ごし
パパとママとモモちゃんとアカネちゃんの姿や絆を追ってきたからこそ、
ふたりの寂しさがまるで実在の友達のことのように迫ってくるのだと思う。
児童向けのお話なので、一編はわずか5、6ページほどと短い。
父親がなぜ亡くなったのか、どんなふうに亡くなったのか、
ふたりにどんなふうに伝えられたのか、など詳細な情報や
過剰な描写は全くない。
物語は、モモちゃんとアカネちゃんの様子を眺める地球さんの
ひとりごとで構成される。
シンプルな言葉だからこそ、伝わるものは多いことをしみじみと
感じさせてくれる掌編だ。
■ストーリ
もうすぐ1年生になるアカネちゃんに、とてもうれしいことがありました。
なかよしのくつしたの、タッタちゃんとタアタちゃんが、帰ってきたのです。
かなしいのは、おわかれです。モモちゃんとアカネちゃんは、
パパといちばんかなしいおわかれをします。
■感想 ☆☆☆☆☆
何度も読み返している「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズ。
特にパパとママがお別れをする第3作とシリーズ最終回のこの作品は
もっとも頻繁に手にとって読み返している。今回も寝る前に読む本を
選ぼうと本棚を眺め、久々に手を取った。
モモちゃんもアカネちゃんも大きくなり、その興味は自分の身の回りの
ことだけでなく、地球環境問題や戦争といった広い世の中の問題にも
向けられ始め、ふたりの成長を具体的に実感することができる。
だからといって、物語は声高に正義をふりかざしたりはしない。
物語を小難しくすることもない。あくまでも読者にわかりやすく
身近な感覚と言葉で作者の思いを伝えてくれる。
そして、物語はふたりが父親の死を理解し、受け入れるところで、
静かに終わりを迎える。あたたかく優しい言葉で描写されている
この短い話は、何度読み返しても、ふたりの悲しみ、寂しさに
胸がぎゅっとつかまれるような痛みを覚える。
シリーズを通して、ふたりは少しずつ大きくなった。
その間に父親と母親は別れ、別居することになったが、
父親は折にふれて物語に登場する。「パパおおかみ」として
ふたりと共に過ごし、ふたりを慈しんでいる。
シリーズは全6作。しかし、第1作から6作まですべてが揃うまで
実に20年。そういった長い年月をかけて、ふたりと共に過ごし
パパとママとモモちゃんとアカネちゃんの姿や絆を追ってきたからこそ、
ふたりの寂しさがまるで実在の友達のことのように迫ってくるのだと思う。
児童向けのお話なので、一編はわずか5、6ページほどと短い。
父親がなぜ亡くなったのか、どんなふうに亡くなったのか、
ふたりにどんなふうに伝えられたのか、など詳細な情報や
過剰な描写は全くない。
物語は、モモちゃんとアカネちゃんの様子を眺める地球さんの
ひとりごとで構成される。
シンプルな言葉だからこそ、伝わるものは多いことをしみじみと
感じさせてくれる掌編だ。