のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

明日に向かって走れ/エレファントカシマシ

2008年11月22日 12時21分01秒 | 音楽鑑賞
一度、アルバムを聴き始めたら、ひたすら同じものを繰り返します。
せっかくのiPodなのに。
百曲どころか、千曲だって余裕で入っちゃうのに。

今は、ようやくクルリの「ブレーメン」熱が少しおさまり(長かった!)
このアルバムに収録されている「昔の侍」のみ繰り返しています。
とにかくイントロからかっこいい!
好みドンピシャな曲は、始まった瞬間に分かるもんだなあ、と
初めてこの曲を聴いたときに思いました。

曲に負けず劣らず、歌詞にも力があって、
メロディだけが頭に残るわけではないところがまたイイのです。

いかにもエレカシ!なオトコの世界を醸し出す歌詞と
文語体が入り混じったちょっぴり堅さも感じさせる言葉がすごく合っていて
その堅さ、潔さ、ぴんとはりつめた感じが冬の朝にぴったりだと思う曲。

「たなびく雲 沈み行く夕日よ
 さよならさ、滅びし日本の姿よ
 さよならさ、我らが青き夢よ
 さよならさ、青き日々よ

 昔の侍は、自ら命を絶つことで
 自らを活かす道を 自ら知ってたと言う」

冬の夕べに聴いてると寂しくなります。
司馬さんなんて読んでると特に。

七瀬ふたたび/筒井康隆

2008年11月22日 09時54分52秒 | 読書歴
91.七瀬ふたたび/筒井康隆
■ストーリ
 生まれながらに人の心を読むことができる超能力者。美しきテレパス
 火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事を
 辞め、旅に出る。その夜汽車の中で、生まれて初めて同じテレパシーの
 能力を持った子供ノリオと出会う。その後、次々と異なる超能力の
 持ち主とめぐり合った七瀬は、彼らと共に超能力者を抹殺しようと
 たくらむ暗黒組織と血みどろの死闘を展開する。

■感想 ☆☆☆
 七瀬三部作2作目。
 第一部「家族八景」では、七瀬はあくまでも「傍観者」であり
 七瀬が主体的に何かをすることはない。
 しかし、第二部に入り、七瀬は突如、自分の人生に積極的になる。
 超能力者であるが故に狙われる自分の身と仲間たちの命を守るべく、
 正体の見えない相手と懸命に戦い始める。

 第一部であれだけ人間のいやな部分、醜い部分を見続けた七瀬だが
 第二部で仲間を得て、仲間と過ごす中で、人として当たり前の生活を
 初めて楽しむことができる。そんな彼女の姿をみていると、人間は
 そう簡単に人間に絶望できないし、人間を嫌うことができないのだと
 実感できる。
 そして、「孤独」の辛さにも思いを馳せることができる。
 「テレパス」として、特異な能力を持ちながらも、
 能力を活用することなく、世間の片隅で目立たぬように生きてきた彼女が
 初めて能力を駆使したのは「仲間」を守るため、
 「仲間」が存在したため、だ。彼女は仲間を得ることで初めて
 テレパスとして「生きる」ことを始めたのだと思う。

 だからこそ、ラストの彼女の虚無と孤独に胸が痛む。
 
 現在、NHKでドラマ化されていますが、三部作の中でこの作品が
 もっともドラマ化されることの多い作品だということは読んでいて
 よーく分かります。視覚化しやすいし、話に華がある気がします。
 そして、さすがNHKさん。色々、細々と設定は変えているのに
 作品の持つ雰囲気自体は壊されていないな、と思うのです。
 (ヒロイン、七瀬は私の想像している「美人」とはかなり
  違ったけれど。ああいった寂しげな雰囲気の美人ではなく、
  かなり華やかな美人さんを想像していたので。)
 だからこそ、ドラマのほうでは、ぜひ七瀬にもう少し救いのある
 結末を用意してあげてほしいな、と思ってしまうのです。

家族八景/筒井康隆

2008年11月22日 09時24分37秒 | 読書歴
90.家族八景/筒井康隆
■ストーリ
 幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心を
 すべて読み取ってしまう美人のお手伝い、火田七瀬。
 彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄って
 マイホームの虚偽を抉り出す。

■感想 ☆☆☆
 自宅にあった七瀬三部作を久々に見つけ、読み直した。
 定価220円だったので、驚いて奥付を見ると、発行が昭和49年!
 かなりの年代モノ。そういった「時の流れ」を随所に感じる。
 それは「お手伝いさん」の存在自体にも感じるし、彼女が転々とする
 家庭の調度品だったり、家族の言葉遣いだったりからも感じさせられる。
 「時代の流れ」を如実に感じられるからこそ、「人間」の本質や
 人間たちの抱えている問題の変わらなさを実感できる。
 もしくはこの時代の人たちが作り上げた「時代」が「今」に
 大きく影響していること、同じときの流れに乗って「現代」が
 あることを強く感じることができる。

 「テレパシー」という切り口やコミカルで軽い文調のおかげで、
 とても読みやすいが、それでも読んでいるうちに、連続して見せられる
 「人間」の闇に、心が少し悲鳴をあげてしまう。疲れてしまう。
 だからこそ、七瀬が自分の能力を疎ましく思っている様子にも
 この力を悪用しようとしない様子にも共感できるのだと思う。