のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

2011年8月の読書

2011年09月24日 22時54分40秒 | 読書歴
久々に本をたくさん読みました。
いろんな人から借りた本がたまりにたまっていて追いつくのに必死です。
でも、「この本、面白いよ!」と貸してくださる方々のおかげで
いろんなジャンルの本に出会え、充実した読書生活を送れた1ヶ月でした。
しかしながら、9月24日現在、未だに借りている本に
私の読書ペースが追いついていません。
現在借りている本は漫画を含めて13冊。10月末までに追いつくぞ!

77.星を帯びし者/マキリップ
■ストーリ
ヘドの若き領主モルゴンは幽霊との謎かけ試合に勝って、大国アンで王冠を手に入れた。だがアンの王女と結婚すべく偉大なる者の竪琴弾きと共に船出するや、船は難破しモルゴンは海に投げ出される。モルゴンの額にある三つの星。はるか昔、すでに彼の出現を予期していたかのように造られた、三つの星をはめ込んだ竪琴。執拗に彼の命を狙う不気味な変身術者たち。数多の謎の答えをもとめ、星を帯びし者モルゴンは偉大なる者のもとへ。「イルスの竪琴」三部作第一弾。

78.海と炎の娘 /マキリップ
■ストーリ
ヘドの領主にして星を帯びし者モルゴンが、偉大なる者に会うためにエーレンスター山に向かったまま消息を絶って一年、領国支配権が弟に移ったという知らせが入る。モルゴンを殺したのは誰か? 偉大なる者はどうして何もしてくれなかったのか?モルゴンに同道していた竪琴弾きはどこにいったのか?モルゴンの許嫁レーデルルは全ての答えを求めて偉大なる者のもとへ旅立つ。シリーズ第二弾。

■感想 ☆☆☆*
三部作のうち二作品、つまり三分の二を読み終えたというのに、謎はまったく解明しません。この壮大な話がどうまとまるのか。いたるところに置いてきている「謎」はすべて解明されるのか。何より、主人公モルゴンとレーデルルは穏やかな「ふたりの生活」を始めることができるのか。早く続きが読みたい!・・・のに、まったくこのシリーズの最終作にたどり着けません。お借りして手元にあるっていうのに!9月は少しピッチをあげて本を読みます。

79.ああ言えばこう食う/阿川佐和子・壇ふみ
■感想 ☆☆☆☆☆
食欲のダンフミと愛欲のアガワによる交友録。この作品も何度、読み返したか分からないくらい、疲れたときに必ず手にとっています。文字を見るのも億劫だな、とかなんか気分が沈んでいるな、元気になりたいな、というときにふたりの文章を読むと、身体の内側から元気になる気がします。この作品を読んでいると、華やかな世界で生きているはずの阿川さんと壇さんがまるで古くからのお友達のように身近に感じられます。彼女たちの気負わない姿、気負っては大きな失敗をしてしまい、なぜかどたばたとしてしまう毎日の話を聞いていると、「あ。私だけじゃないんだな。みんな落ち込んだり舞い上がったりしながら毎日を乗り越えてるんだな。」と思えます。

80.夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

■感想 ☆☆☆☆☆
この3カ月で3回読み返しました。どれだけはまってるのやら・・・。読み終えるたびに、また冒頭に戻り、再度始めから読み返す。こんな作業を三度も続けています。わー!好きだー!
よくよく考えて、私はこの作品の主人公のひとり「先輩」の「石橋をたたいて割ってもまだ渡るかどうか考える」ぐらい慎重な恋愛に対するスタンスや、「外堀を埋めて埋めて、
もはや平地になっている」のに本丸に突入できない臆病っぷりが好きなんだろうな、という結論に落ち着きました。ひとりで右往左往しているのに少しずつ距離が縮まっていく先輩と乙女の距離感は「ご都合主義」だなと思いますが、元来がご都合主義大好き派。「ファンタジー」的展開も含めて、そういった現実感の乏しいところが微笑ましくて、大好きです。

81.ストーリーガール/モンゴメリ
82.黄金の道~ストーリーガール2~/モンゴメリ

■ストーリ
父の仕事の関係で、トロントからプリンス・エドワード島にやってきたベバリーとフェリックスの兄弟。キング農場で個性豊かないとこたちと一緒に暮らすことになった彼らが出会ったすらりと背の高い大人びた少女。虹のような声音でお話を語る不思議な魅力のストーリー・ガールと過ごした多感な10代の日々を、夢のように美しい島の四季と重ね合わせて描く、もうひとつの『赤毛のアン』。

■感想 ☆☆☆
10年ぐらい前(もっと前?)にNHKで放送されていた「アボンリーへの道」という海外ドラマの原作です。ヒロインのセーラがとてもかわいらしい、という理由と「あのモンゴメリ!」というネームバリューだけで見始めましたが、子どもたちの毎日が微笑ましく、でもモンゴメリらしい毒や皮肉も盛り沢山の作品でのめりこんで楽しんでいました。・・・ということをこの作品を読んで思い出しました。「そういえば!夕方に放送されてた!!」と思い出した瞬間に興奮しました。面白かったのに、あれっきり再放送もなく・・・。やはり赤毛のアンほどには定着しなかったんだろうな。
「子ども」の時代の長い長い1日、日が落ちるまで遊んでいたあの頃の記憶をしっかりと留めているモンゴメリのストーリーテラーとしての魅力が遺憾なく発揮されている作品です。だからこそ、ラストで子どもたちが迎える「大人への入り口」の向こうに待ち受けている寂しさが迫ってきます。

83.霧笛荘夜話/浅田次郎
■ストーリ
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。誰もが始めは不幸に追い立てられ、行き場を失ってこのアパートにたどり着く。しかし、霧笛荘での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気づき始める。

■感想 ☆☆*
普段は短編より断然長編派ですが、浅田さんに限っては、長編よりも短編のほうが好きです。この作品は、連作短編集。古いアパート「霧笛荘」に住む人たちの成功とは無縁で、幸せとも縁遠い人たち、でも彼らの人生は決して「不幸せ」ばかりではない。たくさん泣いた人たちの、でも人としてのぬくもりを忘れないまっとうな生き様に胸が熱くなりました。

84.月島慕情/浅田次郎
■ストーリ
「泣かせる作家」浅田次郎の短編集。物心の付いた頃から遊郭にいるミノに身請け話が舞い込み、束の間の幸せを手に入れるが・・・「月島慕情」。20年前に別れたかつて夫の骨を拾って欲しいという連絡を受けた初江が出会ったのは・・・「供物」。自衛隊駐屯地で当直が聞いた師団長の鰻にまつわる過去を描く「雪鰻」。学生運動の影響でアルバイトに明け暮れる悟とその隣人との出会いと別れを描く「インセクト」。かつての恋人の息子と過ごす事になったお通夜での一晩を描く「冬の星座」。温泉街でマッサージ師をしている時枝と一夜の客を描く「めぐりあい」。第二の職業に就いたお抱え運転手が知った雇い人の馬主と下町の靴磨きとの戦後。(「シューシャインボーイ」)

■感想 ☆☆☆*
「泣かせる」作品はあざとさを感じさせるものが多いために、苦手ですが、浅田さんの作品はその「あざとさ」をまったく感じさせず、心地よく読めました。心地よく、というにはあまりに胸が痛い作品ばかりでした。特に心に残ったのは「月島慕情」と「シューシャインボーイ」。誰かが誰かを思いやる優しさがあるからこそ生じるすれ違いに胸がぎゅっと締め付けられました。そして「雪鰻」。私たちはあの戦争を忘れてはいけない。改めてそう思いました。

85.バイバイブラックバード/伊坂幸太郎
■ストーリ
「理不尽なお別れはやり切れません。でも、それでも無理やり笑って、バイバイと言うような、そういうお話を書いてみました」(作者談)太宰治の未完にして絶筆となった「グッド・バイ」から想像を膨らませて創ったまったく新しい物語。

■感想 ☆☆☆*
誰にでも優しくて、その優しさが男としてどうしようもない。どうしようもなく情けないけれど、なんとなく愛しい。そんな主人公が借金のかたにとんでもなくひどい罰をうけることになり、5股かけてきた女性たちひとりひとりに別れを告げに行く話。
主人公は本当にどうしようもなく情けない。「好きだな」と思った女性と付き合っていたら、いつのまにか5人と付き合っていただけ、という状況からして情けない。でも、彼女たち全員をみなそれぞれに好きだと思っていて、大切にしている。だから「突然自分がいなくなったことを悲しまないようにちゃんと別れを告げたい」と5人の女性たちひとりひとりに律儀に挨拶をしてまわる。彼女たちと誠実に向き合う。彼はとことん優しくてあったかい。愛しくて憎めない。
彼は絶望的な状況に巻き込まれる。その経緯も、これから後のことも一切、描かれていない。描かれているのは絶望のすぐ傍にある希望。どんなに絶望的な状況でも、目の前にいる人に対して誠実に生きていたら、小さな小さな希望の光は見える。その希望の光が絶望を晴らしてくれるわけではないけれど、でも、真っ暗闇だけではないはず。そう思った。

86.たまごボーロのように/華恵
■内容
大人の世界に踏み出そうとしている18歳の毎日。「小学生日記」から6年。12歳だった少女の世界は、少しずつ「学校」から離れて、自分の世界を見いだしていく。

■感想 ☆☆☆
「小学生日記」は知っていて興味をひかれていたものの、彼女の文章を読むのはこの作品が初めてでした。心のどこかで「芸能人」や「小学校6年生」という付加価値がもの珍しがられての評価だったんじゃないのかな、と失礼なことを思っていました。本当に本当にごめんなさい。静謐で落ち着きある文章はまったく年齢を感じさせず、美しさすら覚えました。18歳という思春期ならではの生真面目さ、気の強さが感じられる文章と彼女の感受性に12歳の彼女や20歳の彼女と再会したい、そう思いました。

87.つくも神さん、お茶ください/畠中恵
■内容
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞時の挨拶や、愛する本や映画、音楽のこと。修業時代の苦労話に中国爆食ツアー、創作秘話やあっと驚く意外な趣味の話。そして、書き下ろしの随筆まで。ベストセラー作家の日常。

■感想 ☆☆*
うーん。私は畠中さんの「しゃばけ」シリーズが大好きなんだな、と思いました。「しゃばけ」シリーズのキャラクターたちに愛情を抱いているけれど、畠中さんの文章は苦手なのかもしれない、と「しゃばけ」シリーズ以外の作品や今回のエッセイを読んで思いました。何が苦手なんだろう、どこが苦手なんだろう。そこがよくつかめていません。

88.村上堂はいほー/村上春樹
■内容
せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー!と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエッセンス。

■感想 ☆☆☆*
村上さんがやっぱり好きです。彼の小説も好きだけれど、エッセイはより一層好き。たまに矢も盾もたまらず読み返したくなります。今回、久々に手にとってやっぱり好きだな、と思いました。

89.働かないアリに意義がある/長谷川英拓
■内容
女王バチのために黙々と働く働きバチや、列を成して大きな荷物を運ぶアリたちに共感を覚えた経験はあるだろうか。しかし、実際に観察すると、アリもハチもその7割は悠々自適で暮らしており、約1割は一生働かないことがわかってきた。また、働かないアリがいるからこそ、組織が存続していけるというのである。アリやハチなどの集団社会の研究から動物行動学と進化生物学の最新知見を紹介しながら、人間が思わず身につまされてしまうエピソードを中心に最新生物学を紹介する。

■感想 ☆☆☆
久々の新書。顧問に「読みやすいから読んでみるといいよ。面白かったよ。」とお奨めいただいて手に取りました。本当に面白く興味深い内容で、珍しくあっという間に読み終えることができました。生物学の研究結果とその結果に対する見識、および推察を分かりやすい言葉で読みやすくまとめてくれています。
学問は「役に立つこと」「利益につながること」を学んだり研究したりするものではなく、利益など関係なく、「気になること」「知的好奇心が刺激を受けること」を追求し、調べていくことなのだということを思いました。利益など考えずに物事を調べたり考えたりする人が世の中には必要だし、その結果、分かった結果も推察も決して「無駄」ではないし、やはり世の中には「必要なこと」なんだな、と思いました。

90.女のしくじり/ゴマブッ子
91.お気は確か?/ゴマブッ子
■内容
大人気の辛口ブログ「あの女」のゲイブロガー・ゴマブッ子の恋愛相談。「愛が重い女」「飽きられてる女」「漂流する女」「余命数カ月の女」「肉食的に前のめる女」「初めてフラれた女」「告白したい女」ほか「前のめり」している女たちの恋愛相談45件。

■感想 ☆☆☆
大人気のブログ「あの女」が書籍化された本なんだそうです。まったく知りませんでしたが、友人から「ぜひ読んで!絶対に役に立つから!!」とお奨めされて借りました。おもしろかったー!歯に衣着せぬ内容を言われたい放題言われているのに、不愉快な気持ちにならないどころか、読んでいて痛快な気持ちになる本でした。なんでサバサバとばっさり言い切っているのに、人を不愉快な気持ちにさせないんだろう、と不思議に思いながら読みふけり、ぜひこの話術を手に入れたい、と切望しました。・・・読んで役立たせようと思う箇所とか目標とする立ち位置が間違っている気がしないでもありませんが。