いくつかの店舗が集まっているショッピングセンターに、夫の運転で出かけた。
夫は空きの駐車スペースがないかをさらっと見てから、「I don't care」とつぶやきながら
Reserved
と書かれた場所に車を停めた。
「え、ここはダメだよ」
「停めるところがない」
「あるよ、あっちにもこっちにも」
夫は私の反対を押し切って、店の方に歩き出した。
そこでの買い物を済ませて、買ったものを車に入れ、もう1件の店に歩いて行こうとする夫を、私は止めた。
「車を移動してよ」
「Are you serious??(マジで???)」
夫はアメリカ人的な大げさなジェスチャーをしながら、めんどくさそうに車を移動し、
「Are you happy?」
と言い捨てたので、
「Yeーーーーーーーーーs!!!!」
と怒鳴り返してやった。
夫と結婚し、日本で最初に住んでいたアパートの隣に、月極駐車場があった。
管理しているのはすぐ隣の家の人で、がみがみとうるさいオバサンだ。
アパートの駐車スペースは1台しか置けないので、友達の車はコインパーキングに停めてもらうしかない。
あるとき、夫がお客の車をアパートに置き、平気で自分の車を月極駐車場の空いたところに停めようとしているのを見て、私は驚いた。
「ダメだよ!そこは」
すると夫は不思議そうな顔で言ったのだ。
「なんでー?空いてるじゃん。30分ぐらいだし、なにがだめなのさ」
短時間ではあっても、そこは誰かが毎月お金を払って買っている場所。
なんでって、こっちが聞きたい。
夫の友人たち(外国人)も皆、似たようなもので、その家のオバサンも目を光らせているのだ。
夫は、ほぼ一般常識の範囲内で生きていると思うが、いくつか私には理解できないところがある。
夫に言わせれば、規則にぴりぴりしながら暮らしている私は理解ができないのだろうと思う。
誰かが見ていて、レッカーされたらどうしよう、とひやひやするぐらいなら、
遠くても安心できるところに停めたほうがいい。
「レッカー場所まで他の車で受取に行って1万円以上現金で払うことを思えば、少しぐらい遠いところに停めるぐらい何でもないでしょ!」
言っても無駄と知りつつ、説教してやろうと、
私は自分の車が修理中のときに、叔母の車を借りてホノルルに出かけた際に、レッカー移動された苦い経験を思い出しながら言った。
(その記事「鬼門」はコチラ)
しかし、
「そんなに規則を守って暮らしてて、どうしてレッカー移動されるのかわかんないけどね」
と、痛恨の反撃をくらってしまい、ぐうの音も出なかった。