これまで何度か映画化されてきた名作が、フレッシュに蘇った。四姉妹が昔のコスチュームを脱ぎ捨てれば何ら現代と変わらない欲求を持ち、自身の生き方を模索する女性として描かれる。
愛する人に添い遂げることを願う長女。
小説家になり自立することを一心に目指す次女。
病弱だが繊細な感性と芯の強さを持った三女。
画家を目指しながらも現実主義な末っ子。
四人四様のキャラクターがそれぞれに引き立っている。
現代的な感覚が、このテーマをパワフルに、カラフルに作り直す。
なかでも強力なのは主役でもある次女。
負けん気が強くエネルギッシュ。
生き生きとスクリーンに躍動する。
ニューヨークの街を疾走するシーンは、この時代の女性たちへの圧力を蹴散らすかのような爽快感に満ちている。
出版社に自身の小説を持ち込む次女は不本意な言葉を浴びせられる。
「女の幸せが結婚だけなんて間違っている」と信じる次女はプロポーズもはねつける。
そんな純粋で突っ張って生きている次女が、ひとり置き去りにされたとき、「なんて孤独」と脆さをも見せる。
しかし自分よがりになった表情を見せても、やはり周りへの配慮が必要だと改心する。そんな人間形成はドラマ中の父であり母の生き方が知らず知らずのうちに、彼女たちへ伝わっているのだろう。
コロナ渦中で多少の人間関係がギスギスしだした昨今、平時ではできるであろう配慮が有事でもできる人間こそに、本当の芯の強さを感じずには得られない。
視覚的豪華さ、人間的なドラマを構築する演出、オールスターキャストがもたらすキャラクターの魅力、それぞれにハイクオリティな要素が調和を生み出している。
総合芸術としての面白さを堪能させてくれる。
3姉妹以上の環境下で育たれた方々へはぜひともお勧めしたい。