原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

独身のオーラ

2011年06月25日 | 自己実現
 一昨日(6月23日)のNHK昼間のトーク番組「スタジオパークからこんにちは」のゲストは、宝塚出身の女優 真琴つばさ氏であった。

 クラシックバレエ観賞を趣味とする原左都子にとって、我が国において絢爛豪華な舞台を世に展開して歴史が長い宝塚歌劇団に興味がないという訳ではないのだが、宝塚出身の女優が世に溢れている現状においては、誰がどなたなのやら把握できていないというのが正直なところである。
 今回のゲスト真琴つばさ氏に関しても、「宝塚出身者の中にはそういう人もいるのだな」程度の認識でこのトーク番組を見始めた。

 ところが、真琴つばさ氏のトークの世界ににどんどん惹きつけられるのだ。 トーク内容が特段物珍しいという訳でもなく内容濃いトークを展開しているという事でもないのだが、司会者とのやりとりのテンポが小気味よく、何よりもご本人が至って自然体なのがよい。 「私言葉が分からないの」とのご謙遜の言葉とは裏腹に頭の回転が速いことを見て取れる聡明感が漂い、会話にズレがなく人を惹きつけるオーラを番組終焉までの50分間放ち続けたのである。

 原左都子はこの番組を昼間在宅している時に見聞する機会が結構ある。
 この人のトークこそは聞きたい!と前もって期待していたゲストに限ってその内容の薄さに失望することもよくあり「あ~~、この程度のレベルの人物だったんだ…」との落胆感と共に途中でテレビを消したりもする。 あるいは、トークはまあまあかな?の範疇だが、司会者の質問を聞かずして自分勝手に喋り続けるゲストの客観性の無さに失望して、辟易としたりもする。
 そんなこんなで、この番組を最後まで見続けるのは私にとっては稀な事なのである。


 それに耐える対談を展開してくれたのが、一昨日のゲストの真琴つばさ氏であった。
 宝塚歌劇団において男役トップの座を手中にしつつ輝かしい現役を全うした後退団し現在に至っているというその外見からして、私の好みの“高身長スリムタイプ”であられる。

 それよりも何よりも、真琴つばさ氏が現在40歳を過ぎて尚独身を貫いておられるその何気ない日常に関するトークこそが、原左都子にとっては何とも素晴らしかったのだ!
 
 例えば、真琴つばさ氏は日頃“おひとり様”の立場でファミレスやカウンター中心のラーメン屋や立ち食い蕎麦店にもよく立ち寄られるのだと言う。
 これに関して現在50代半ばを過ぎている原左都子の場合、この年齢に至って“おひとり様”を満喫できる立場にようやく辿り着いたという現状だ。
 独身が長かった私の独身時代とは、つばさ氏のごとく“おひとり様”を堪能しようとて周囲の目が許してくれない時代背景だった。  そのため、それが昼飯とて(昼飯くらい一人でさっさと食べたいのに)普段の行動は不本意にも交友関係を頼る事が無きにしもあらずだったものだ。

 我が長き独身時代には上記のごとくの“周囲の目を気にせねばならない”との時代背景により、「外食」を志す場合はやむを得ず“どなたかと一緒”との形態を取らざるを得ないのだが、その多くは当時付き合っている彼氏であり、仕事帰りに誘いを受ける職場仲間との付き合いであったりしたものだ。

 それに加えて私の場合、一般人から見れば“一種特異的”であろう人間関係が存在したことも、今回の真琴つばさ氏のトークにより懐かしく思い出させてもらえたものである。
 当時の私には大先輩年上独身女性の知り合いが存在した。 その女性とは生き方もタイプも全く異なるのだが何故か仲がよかった。 彼氏や職場の仲間との会合がない夜は、“合鍵”をもらっているその独身女性の部屋を訪れ夜遅くまで滞在したり、2人で外で飲み食いする日々だったものだ。
 そんなこんなで、特に30代を過ぎて後は仕事の帰りにまっすぐ我が家に帰ったことがない私の独身時代とは、様々な周囲の人々にバックアップされつつ成り立ち充実していたと言えるのだ。

 そのような我が思い同様の趣旨発言を真琴つばさ氏もこの番組において発したのである。
 NHKアナウンサーの質問に答えて曰く、「なぜ私が日々“おひとり様”を堪能できるのかというと、それは背後で支えてくれている様々な人物が存在するから故です!」

 その通りであろう。
 人間がある程度健全に独身を貫ける背景には、それを支えてくれる人物が必ずや背後に存在するはずなのだ。

 それだからこそ、真琴つばさ氏は“あと(後)フォー”(40歳を既に通り過ぎているという意味)である今尚輝きを放たれているのであろうと、“前還”(還暦に近づきつつある年齢)の私は同感するのである。 


 今回NHK「スタジオパーク」で真琴つばさ氏の談話を聴かせていただいた原左都子は、今に至って改めて、結婚を急ぎ過ぎたか??との感覚すら抱いたものである。
 番組において70歳が結婚適齢期と断言された真琴つばさ氏の「独身志向」に、私も独身時代には同じ思いだったからに他ならない。
 (私の場合は女性の“出産限界年齢”が頭の片隅に過ぎったのが、晩婚にして結婚に至った理由の第一だったものと振り返るのだが…)

 もちろん子どもが存在する今現在の日常も捨て難く、私に大いなる幸せを届けてくれている事を認めつつ日々を暮らす原左都子である。

 だが、40歳を過ぎて素晴らしい独身を貫いておられる真琴つばさ氏のオーラを放つトークに触れた今、私は遠い日に我が輝かしき独身時代を捨て去って今に至る過ちを犯しているのか??との無念感も、正直なところ少しばかり漂うのである…。  
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