(写真は、昨日訪れた上野動物園内で買い求めた 「旅の風景シリーズ第15集 東京 上野 浅草・墨田川周辺」切手。 本文とはさほど関係ありません。)
昨日私は、大都市東京の交通網を利用して上野方面へ所用があって出かけた。 そのついでに、現在パンダの赤ちゃん誕生ブームに沸く上野動物園内を一見したく思い立って、入園した。
平日のためかさほどの賑わいはないものの、子供連れ親子が父親になったばかりのリーリーを見物していたり、上記の写真のごとくパンダの図柄入り切手売り場が特設されていたりした。
本日(7月11日)昼間NHKテレビをつけていたところ、1時半過ぎに突然ニュース速報が入り「上野のパンダの赤ちゃんが死亡」とのテロップである。 どうやら赤ちゃんの死因は肺炎らしいのだが、昨日まで赤ちゃんは元気な様子で、活気付いた動物園内を見てきたばかりの私はびっくり仰天意気消沈である…
(上記のパンダ切手類には、今回の赤ちゃん誕生を祝ったパンダ絵葉書、ファイル付セットも特別販売されていたのだが、あれは今後廃棄処分となるのだろうか??)
さて、今回の表題に掲げたテーマの本筋に入ろう。
東京にお住まいではない皆さんも、東京都心の幹線鉄道路線であるJR「山手線」はご存知の方が多い事であろう。
それでは、そんな皆さんに原左都子からクエスチョンである。
「山手線」は二重の環状線となっているのだが、一体、どちらの方向が「内回り」でどちらが「外回り」か即答できるであろうか?
上京して以来30数年の長きに渡り「山手線」には頻繁にお世話になっている私だが、実は昨日までそんなことを考えようとすらせず乗車していた。
昨日、その答えを初めて知る運命に出くわしたのだ。
上記上野動物園からの帰り道の夕刻、JR上野駅から山手線に乗車した。
田端駅を過ぎた頃からだろうか、いつになく電車が徐行し始める。 山手線の徐行は珍しいなあと感じつつ、やっとこさ次の駒込駅に着いたら今度は電車が発車しない。
しばらく経って車内放送があった。 「巣鴨駅にて人身事故発生のため、山手線“内回り線”は電車の運行を休止します。 尚、“外回り線”に関しては現在のところ運転を続行しています。」
(んっ?? 今私が乗っているのはどっち回り線なのだろう?)
同じく戸惑っていそうな乗客が多い中、そそくさと電車から降り立つ人も多い。
(ちょっとJRさん、「この電車は“○○回り線”です。」くらいはアナウンスしてよ。知らない乗客だっているんだから!)と多少イラついていると、相変わらず、
「内回り線の再開は17時ナンタラ分頃となります。 振替え輸送を行っていますので、そちらのご利用をお願いします。」
(だからJRさん、私が今乗っている電車はどっち回りよ?! 振替え輸送が何なのかもよう分からんし…)とイラつきを倍増させていると、やっとこさ、
「この電車は“内回り線”です。 メトロ南北線に振替え輸送可能ですので、そちらをご利用下さい。」
(早く言ってよ!) と怒りつつも、この「振替え輸送」自体も何十年来都心で暮らしている私にとって初体験である。
と言うのも、私が日々交通網を利用して通勤していた過去の時代にも「振替え輸送」システムとやらは存在していたのだろうが、さほど整備されていなかった記憶がある。
加えて、これ程までに鉄道関係の「人身事故」も激発していない時代背景だった。
電車が何らかの事由で遅延した場合、雇用者側が既にそれを承知していて「遅刻」扱いとはならなかったような記憶もある。 帰宅時間帯の電車遅延に関しては、誰の責任ともならず単に乗客が自宅に着く時間が遅くなるのみで、鉄道側の責任の程は消え去ったものだ。
当時は滅多に勃発しない事象だった故に、そんな無責任体制が成り立っていたのだろうと今解釈する。
さて昨日に話を戻すが、自分が乗っている山手線が“内回り”か“外回り”か分からなかったが故に「振替え輸送」体制に移行するのに出遅れてしまった私は、アナウンスのままにメトロ南北線方向へと急がされる事と相成る。(お年寄や体のご不自由な方々はさぞや大変だろうなあ…)
夕刻の帰宅時間帯のためか、物凄い数の人間が怒涛のごとく移動している。 それに私もついて行きながら、(運賃の扱いはどうなるのか? それにしても迷惑な話だ!)などと相変わらず内心怒りつつ、JR駒込駅の改札付近で「振替え輸送証」なる白色切符を受け取りメトロ南北線乗り場へと急ぐ。
(この証書はまさか自動改札機には投入できないだろうから、駅員氏がいる改札を通るのだろうか?) と判断したら周囲の皆がそうしていて無事メトロ南北線に乗り込めた。 車内は案の定混んでいる。
そうしたところ、メトロ電車内にも早速車内放送が流れた。
「本日16時何分頃、JR山手線で人身事故が発生しました。現在“内回り”“外回り”共に運転を休止していて振替え輸送中です。 そのためメトロ線に於きましても運行時刻が乱れていますことをお詫び致します。 山手線運転再開は現在未定です。…」
次に乗り換えたメトロ丸の内線に於いても、やはり「山手線」事故流れの乗客で満杯である。 それでも、上記のメトロ南北線同様に懇切丁寧な車内放送が流れたため、私はとにかく安心できた。
そして、もう一本メトロ路線を乗り換えて私は帰宅せざるを得ない。
今回のJR山手線の「人身事故」により私が無駄にした時間は、ほぼ50分程度だったであろうか?
やっと我が家最寄の東京メトロ駅に到着し、私はJR駒込駅で手渡された「振替え輸送証」を駅員氏に提示した。 ここでも駅員氏は、今回のJR山手線事故に基づく運休を承知しておられた。
駅員氏は「そのまま素通りして結構です」と言って下さったのに、私は訳が分からずいつものごとくスイカを改札機に“ピッ”と反応させてしまった。 あわてた駅員氏曰く、「乗車料金が発生してしまいましたので、返金致します。」
その返金作業(要するに振替え輸送中の運賃は無料のようだ)をしてくれつつ東京メトロの駅員氏は、「本日は“振替え輸送体制”となりご迷惑をお掛け致しました。」と深々と頭を下げ続けて下さったのだ。
これに私が感動しない訳がない。
JRと東京メトロとは都心に於いては競合大手企業同士の関係である。
現在は世の中の種々の事情により、鉄道網が運転不能事態に陥る事が数多く勃発せざるを得ない時代である。 そういった場面で競合他社の垣根を乗り越えて、緊急時に相互援助体制をここまで構築できている現実に直面し、私は実に感激である。
「人身事故」が多発している現状においてそれが勃発する事由も様々であり、それこそを最優先して撲滅するべく社会であるべきなのは当然の事である。 (またの機会にでもその課題を「原左都子エッセイ集」で取り上げることにしよう。)
それにしても大都会東京に暮らす1千万人超の人々を日々無事に遅延なく輸送するべく使命を担っている交通網に於いて、有事の際の事故対策を公共鉄道各社が連携プレーしつつ全社を挙げて取り組んでいる実態の一端に、昨日触れられたような気もする。
昨日私は、大都市東京の交通網を利用して上野方面へ所用があって出かけた。 そのついでに、現在パンダの赤ちゃん誕生ブームに沸く上野動物園内を一見したく思い立って、入園した。
平日のためかさほどの賑わいはないものの、子供連れ親子が父親になったばかりのリーリーを見物していたり、上記の写真のごとくパンダの図柄入り切手売り場が特設されていたりした。
本日(7月11日)昼間NHKテレビをつけていたところ、1時半過ぎに突然ニュース速報が入り「上野のパンダの赤ちゃんが死亡」とのテロップである。 どうやら赤ちゃんの死因は肺炎らしいのだが、昨日まで赤ちゃんは元気な様子で、活気付いた動物園内を見てきたばかりの私はびっくり仰天意気消沈である…
(上記のパンダ切手類には、今回の赤ちゃん誕生を祝ったパンダ絵葉書、ファイル付セットも特別販売されていたのだが、あれは今後廃棄処分となるのだろうか??)
さて、今回の表題に掲げたテーマの本筋に入ろう。
東京にお住まいではない皆さんも、東京都心の幹線鉄道路線であるJR「山手線」はご存知の方が多い事であろう。
それでは、そんな皆さんに原左都子からクエスチョンである。
「山手線」は二重の環状線となっているのだが、一体、どちらの方向が「内回り」でどちらが「外回り」か即答できるであろうか?
上京して以来30数年の長きに渡り「山手線」には頻繁にお世話になっている私だが、実は昨日までそんなことを考えようとすらせず乗車していた。
昨日、その答えを初めて知る運命に出くわしたのだ。
上記上野動物園からの帰り道の夕刻、JR上野駅から山手線に乗車した。
田端駅を過ぎた頃からだろうか、いつになく電車が徐行し始める。 山手線の徐行は珍しいなあと感じつつ、やっとこさ次の駒込駅に着いたら今度は電車が発車しない。
しばらく経って車内放送があった。 「巣鴨駅にて人身事故発生のため、山手線“内回り線”は電車の運行を休止します。 尚、“外回り線”に関しては現在のところ運転を続行しています。」
(んっ?? 今私が乗っているのはどっち回り線なのだろう?)
同じく戸惑っていそうな乗客が多い中、そそくさと電車から降り立つ人も多い。
(ちょっとJRさん、「この電車は“○○回り線”です。」くらいはアナウンスしてよ。知らない乗客だっているんだから!)と多少イラついていると、相変わらず、
「内回り線の再開は17時ナンタラ分頃となります。 振替え輸送を行っていますので、そちらのご利用をお願いします。」
(だからJRさん、私が今乗っている電車はどっち回りよ?! 振替え輸送が何なのかもよう分からんし…)とイラつきを倍増させていると、やっとこさ、
「この電車は“内回り線”です。 メトロ南北線に振替え輸送可能ですので、そちらをご利用下さい。」
(早く言ってよ!) と怒りつつも、この「振替え輸送」自体も何十年来都心で暮らしている私にとって初体験である。
と言うのも、私が日々交通網を利用して通勤していた過去の時代にも「振替え輸送」システムとやらは存在していたのだろうが、さほど整備されていなかった記憶がある。
加えて、これ程までに鉄道関係の「人身事故」も激発していない時代背景だった。
電車が何らかの事由で遅延した場合、雇用者側が既にそれを承知していて「遅刻」扱いとはならなかったような記憶もある。 帰宅時間帯の電車遅延に関しては、誰の責任ともならず単に乗客が自宅に着く時間が遅くなるのみで、鉄道側の責任の程は消え去ったものだ。
当時は滅多に勃発しない事象だった故に、そんな無責任体制が成り立っていたのだろうと今解釈する。
さて昨日に話を戻すが、自分が乗っている山手線が“内回り”か“外回り”か分からなかったが故に「振替え輸送」体制に移行するのに出遅れてしまった私は、アナウンスのままにメトロ南北線方向へと急がされる事と相成る。(お年寄や体のご不自由な方々はさぞや大変だろうなあ…)
夕刻の帰宅時間帯のためか、物凄い数の人間が怒涛のごとく移動している。 それに私もついて行きながら、(運賃の扱いはどうなるのか? それにしても迷惑な話だ!)などと相変わらず内心怒りつつ、JR駒込駅の改札付近で「振替え輸送証」なる白色切符を受け取りメトロ南北線乗り場へと急ぐ。
(この証書はまさか自動改札機には投入できないだろうから、駅員氏がいる改札を通るのだろうか?) と判断したら周囲の皆がそうしていて無事メトロ南北線に乗り込めた。 車内は案の定混んでいる。
そうしたところ、メトロ電車内にも早速車内放送が流れた。
「本日16時何分頃、JR山手線で人身事故が発生しました。現在“内回り”“外回り”共に運転を休止していて振替え輸送中です。 そのためメトロ線に於きましても運行時刻が乱れていますことをお詫び致します。 山手線運転再開は現在未定です。…」
次に乗り換えたメトロ丸の内線に於いても、やはり「山手線」事故流れの乗客で満杯である。 それでも、上記のメトロ南北線同様に懇切丁寧な車内放送が流れたため、私はとにかく安心できた。
そして、もう一本メトロ路線を乗り換えて私は帰宅せざるを得ない。
今回のJR山手線の「人身事故」により私が無駄にした時間は、ほぼ50分程度だったであろうか?
やっと我が家最寄の東京メトロ駅に到着し、私はJR駒込駅で手渡された「振替え輸送証」を駅員氏に提示した。 ここでも駅員氏は、今回のJR山手線事故に基づく運休を承知しておられた。
駅員氏は「そのまま素通りして結構です」と言って下さったのに、私は訳が分からずいつものごとくスイカを改札機に“ピッ”と反応させてしまった。 あわてた駅員氏曰く、「乗車料金が発生してしまいましたので、返金致します。」
その返金作業(要するに振替え輸送中の運賃は無料のようだ)をしてくれつつ東京メトロの駅員氏は、「本日は“振替え輸送体制”となりご迷惑をお掛け致しました。」と深々と頭を下げ続けて下さったのだ。
これに私が感動しない訳がない。
JRと東京メトロとは都心に於いては競合大手企業同士の関係である。
現在は世の中の種々の事情により、鉄道網が運転不能事態に陥る事が数多く勃発せざるを得ない時代である。 そういった場面で競合他社の垣根を乗り越えて、緊急時に相互援助体制をここまで構築できている現実に直面し、私は実に感激である。
「人身事故」が多発している現状においてそれが勃発する事由も様々であり、それこそを最優先して撲滅するべく社会であるべきなのは当然の事である。 (またの機会にでもその課題を「原左都子エッセイ集」で取り上げることにしよう。)
それにしても大都会東京に暮らす1千万人超の人々を日々無事に遅延なく輸送するべく使命を担っている交通網に於いて、有事の際の事故対策を公共鉄道各社が連携プレーしつつ全社を挙げて取り組んでいる実態の一端に、昨日触れられたような気もする。