原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

“天才” は一日にして成らず。

2018年06月03日 | 学問・研究
 今回のエッセイは、朝日新聞2018.06.03 別刷「The GLOBE」を引用して論ずる内容であることを最初にお断りしておく。


 早速以下に、上記朝日新聞別刷より「環境が花開かせる『天才』」との部分を要約引用しよう。
 「天才」に対し、私達は「生まれつき常人とは隔絶した存在」とのイメージを抱きがちだが、本当にそうなのか。
 アルバート・アインシュタインは言葉の発達が遅く、学校が大嫌いだった。 一方で、10歳の時に叔父が「代数はxという動物を捕まえる狩り」というたとえ話で数学の魅力を教えてくれた。 家に出入りしていた医学生は幾何学を教え、「光の速さは常に不変」との後の相対性理論につながる科学書を与えてくれた。 これらの出会いなしに、アインシュタイン少年が「天才・アインシュタイン」になるのは難しかったかもしれない。 「天才」とは実は天賦の資質だけでなく、「その資質を100%開花させる生育・教育環境に恵まれた人々」のことではないか。 
 人がその才能を十分に伸ばせる子育て、教育方法とは何か。 現代の学校教育はその条件をどの程度満たしているのか。
 (以上、朝日新聞別刷記事より一部を要約引用したもの。)


 一旦、私事に入ろう。

 何度も同じ話題を当エッセイ集内で公開して(自慢して)恐縮だが。
 この原左都子は今から遡る事60年近く前の幼稚園児時代に、園内で実施された「IQテスト」に於いて所属していた幼稚園の歴代記録を更新する “IQ168” を打ち立てている。
 何故私自身がその具体的過ぎる事実を熟知しているのかと言えば、当時はその情報が幼稚園側からオープンにされていたからに他ならない。 親が幼稚園での親面談時にその話題が出て「何か特別な教育でもしているのか?」と幼稚園教諭から尋ねられたらしい。 親としては「何らの教育も無していない」事実を正直に伝えたとの事だった。
 いやいや、この時の「IQテスト」の様子は私本人こそが明瞭に覚えている。 どうも幼き頃より“集団嫌い”の資質があった私だが、あの「IQテスト」が何にも勝り面白くて面白くて熱中した記憶があるのだ。 こんな面白いことを何故幼稚園はいつもやらせてくれないのだろう?と、後で怨念を抱いた程だった。
 その後も、私は過疎地にて公立小学校・中学校と進学する訳だが、どの場でも教員どもが何故か我が「高IQ値」を公開していた様子で、友人達からその事実を知らされたものだ。

 ただ残念な事に我が両親は本人どもが自覚している通り、決して「教育熱心」な輩ではなかった。
 いや、おそらく持って生まれた頭脳には恵まれていたのかもしれない。 戦争との時期を乗り越える過程に於いて両家の事業が失敗との不運を辿り、父母共に「長子」であったが故に若き時代にはその後始末の処理及び“家”の復興に翻弄させられたようだ。 その後、両人共に“地方公務員”との道程を定年退職まで歩む選択をしたようだが…。


 それに引き換えアインシュタイン氏の生育環境の恵まれようが、私には羨ましい限りだ。
 何ですって?  叔父が「代数」を直接指南してくれるのに加えて、家に出入りしていた医学生が「幾何学」を個人指導してくれたのだと!??
  
 いえいえ、この私も中学生時代に「数学」が実に面白かった話題は、本エッセイ集 学問・研究カテゴリー バックナンバー「1か0かの世界」に於いて綴っている。 (“点と線”の概念や、“2進法”の論理が当時中学生だった私にとって実に斬新だった事実を記載しているため、よろしければご覧下さい。)
 あの頃に「数学」に興味を抱いた私が、その後理系に進学するのは必然的だっただろう。

 結局、世紀の科学者であるアインシュタインも、発達過程に於いて自宅に出入りする人材等々周囲環境に恵まれていたとの事実が浮き彫りになったとのことだ。


 当該「GLOBE」には、現在世界規模で活躍中のわずか27歳の日本人物理学研究氏にも触れている。

 その人物に関しては、私は今回が初耳だった。
 実名を挙げると、姫岡優介氏とのことだが。

 以下に、「BLOBE」よりその経歴を紹介しよう。
 アインシュタインの相対性理論と共に、現代物理学の双璧を成する量子力学。 その創設者の名を冠したコペンハーゲン「ニールス・ボーア研究所」の研究員に抜擢され、4月から研究生活をスタートしたのがこの人物であるらしい。
 姫岡氏の何が優秀と判断されたのかと言えば。 現代の主流である分子生物学が再生医療分野で大きな成果を上げて来たのに対し。 「生命の謎が分かった!」との実感を得るには、複雑さの背後に存在する「生命現象の法則」を、物理学や数学を駆使して追う方が有効ではないか。 
 と、姫岡氏が公言したことに遡るらしい。


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 ここで、姫岡氏の大学進学後の略歴を紹介するに。
 AO入試で東北大学生物学科に入った後、物理学科に転科。 その後東大大学院へ進学し、氏の独自の理論論文発表によりこの度世界をリードする研究者にならんとし、上記コペンハーゲン研究者として招かれた様子だ。
  
 いやはや、この姫岡氏とやらの人物が天才なのか否かに関して、その人物を今の今まで“露知らなかった”私には論じる権利すらない。
 ただ、朝日新聞記事によれば、氏の母親氏がそれを導いたとのことでもある。
 まあ要するに未だ若き姫岡氏に関しては、今後の活躍が待たれるとの事ではなかろうか??


 最後に、我が尊敬するアルベルト・アインシュタイン氏に話題を戻そう。

 アインシュタイン氏に関しては、我が30代より(特に「量子力学的実在論」分野に於いて)、尊敬し続けている人物だ。 
 近年氏が「発達障害」を抱えていたと噂されて久しいが、氏の恵まれた成育歴こそが氏を天才物理学者として後世に名を轟かせるに至った歴史を改めて思い知る次第だ。