原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

5歳の娘を道連れに自死したシングルファーザー

2024年12月27日 | 人間関係
 年の瀬に、暗い話題で恐縮だが…


 概して、男とは女よりもずっと弱い生き物であるような感覚がある私だが。

 そうだなあ。
 もしも私が何らかの事情で亭主に家から出ていかれたり、最悪の場合先立たれたりしても…
 おそらく私ならば、一時の辛さを乗り越えて一人娘と2人で力強くこの世を生き抜くことであろう!!と想像する。 例え、未だ娘が幼少であったとしても。


 事件は、今年の7月に起きたようだ。

 以下に、2024.12.25付朝日新聞夕刊記事「シングルファーザー 出していたSOS 5歳の娘を連れ自死」より一部を引用しよう。

 記録的な暑さとなった今年の夏、その日は「大暑」だった。 セミはもう鳴き始めていた。  
 奈良県南部の下北村。 参観のダム湖にかかる橋の下に、2人の遺体があった。
 52歳の父親、5歳の娘。
 近くには父親が借りたレンタカー。 大阪市の自宅からは、80キロ近く離れていた。
 ひとり親だった。 前日の電話はSOSだったのだろうか。 児童相談所や警察への取材をもとに経緯を辿る。
 大阪市のこども相談センターのホットラインに父親が連絡してきたのは7
月21日の昼過ぎだった。 「死にたい」とも口にしていた。 
 センターには、一時保護の調整を担う職員がいたが、結果として通話は父親の「死にたい」との言葉を聞きながらも、一時時間を置いた。 その理由は、まず落ち着いてもらう必要があると判断した故だ。
 1時間後にセンターが電話をかけると、父親は「レンタカーで外に出ている」。 行先を訪ねると、「人がいないところ、誰もいないところ」。
 職員は「その流れでセンターに来てください。お預かりの話をしましょう」。 また電話は切れた。
 この時はすぐにセンターは電話を掛け直し再びの来所を促したが、通話は途切れた。
 センターは緊急性が高いと判断した。 通報を受けた大阪府警も父子を探し始めた。
 センターはその後も10回程電話をかけたが、つながらなくなった。
 翌22日朝になって、大阪府警から奈良県警へ連絡が入る。 奈良県下北山のダム湖にかかる橋付近の捜査を始める。
 地元の警察官が橋の下で、2人の遺体を見つけた。 奈良県警は、父親が日付が変わる前後に「無理心中」を図ったとみている。

 ちなみに、児童センターと父親との関わりはこれが初めてではなかったようだ。

 (以下略すが、以上朝日新聞記事より一部を引用したもの。)


 
 ここで、原左都子の“やりきれない虚しさ”を述べよう。

 この父娘2人が死を求めて、車で奈良県下北村のダム湖付近を彷徨っている間の5歳の娘さんの心情はどんなものだったのか、が一番気がかりだ。

 新聞報道を読む限り、娘さんに関する記載が一切無い、ということは。
 車内の父娘2人の関係性は、悪くは無かったものと想像する。
 あくまでも 娘さんは唯一頼れる父親を信じ切って、行動を共にしていたことであろう。 まさか、その後無理心中に至るとは思ってもいなかったのではあるまいか??

 相談を受けた大阪中央子ども相談センターが 父親から「死にたい」との言葉を聞いた直後にすぐに対応できれば、二人は自死を免れたのかもしれないが。

 とにかく二人は、父親の自死及び父親による長女殺人に至ってしまった…
 実に悲しく辛くやるせない事件である。



 ここで 我が家の親子関係の様子を語ったところで、何ら埒が明かないことは承知だが。
 我が家の亭主が 晩婚後何年経過しても実に“いい奴”である事実に、今更ながら救われる思いだ。
 これだからこそ、既に外で一人暮らしをしている一人娘が たまにだが喜んで我が家を訪れてくれるのだと感謝感激だ。😃 

 
 まあそれにしても、男とは女よりもずっと弱い生命体であることを実感させられる事件だ。
 妻に逃げられたとて、何も娘を引き連れて無理心中せずして、2人がそれぞれに生きる道の選択肢はいくらでもあっただろうに…

 あるいは 死にたいならば父親一人で死ぬべきだった、と思うのも我が本音だ!😡 
 何も 娘を引き連れる必要はなかったはずだ。 
 こんなところにも、男の“弱さや身勝手さ”を見る思いだ…

 とにもかくにも、父娘お二人の冥福をお祈り致します。