今年のお盆休暇も終盤に近づき、世間では郷里や旅行先からの帰省ユーターンラッシュがピークを迎えているようだ。
日本国内至る地で酷暑に苛まれた今夏のお盆休暇だったが、束の間の夏季休暇を古里や旅先で過ごされた皆さんは、良き思い出作りが叶ったであろうか。
原左都子自身に関してはそもそも混雑を好まない人種であるため、年末年始、5月の連休、お盆の時期はむしろ意識的に遠出することを避け、自宅から通える範囲内の行動を心がけている。
特に今夏はちょうどお盆の8月15日、去る6月27日に壮絶な癌闘病の末に他界した義理姉の49日の法要(納骨)が予定されていたため、猛暑とも相俟って何とはなく一家皆で派手な行動を自粛するべく過ごしてきた。
そんな私も独身時代には仕事の関係で、世間一般の例外ではなくやはり長期休暇のピーク時近辺にまとまった休暇を取る事が多かった。
仕方がないため大混雑と割増料金を覚悟の上で、その時期に郷里帰省や国内外旅行を予約して出かけたものである。
郷里帰省に関しては、決してマメにそれを実行する人種ではなかった。 父母共に定年までフルタイムの仕事を抱えていたこともあり、私の方から何らかの気配りをするべく対象でもなかった。 加えて孫でも連れて帰省するならばともかく、40歳近くまで独身だった私が一人で帰省したとて、両親にとって特段のサプライズもないのが実情であろう。 「この夏は海外へ行くから帰らないよ」と伝えても、「好きにしなさい」で済んだものだ。
帰省が叶った折にも、特段どうということはない。 両親(特に母)は、私が独身の立場でバリバリと仕事や学問に励んでいる事を常に応援する人種であり、下手に早く結婚して妙な苦労を背負い込んでいる女性よりも“あなたは素晴らしい”と、私の事を誇りに思っていたようだ。 そんな母は私の郷里帰省がやはり嬉しい様子で私の滞在に合わせて仕事の休暇を取り、ご近所・親戚や自分の知り合いの所へ、滅多に帰省しない私を引き連れて行っては“娘自慢”を披露していたものである。
ところが私が晩婚・高齢出産後に一家での郷里帰省となると、大きく様子が異なるのは自然の成り行きだったであろう。
特に我が家の場合、(高齢出産時のトラブルにより)多少の事情を抱えた娘を連れての帰省である。 そんな我が一家3人での帰省に際し、実親どもが今までのようには気軽に対応できないであろう事は私の方こそ承知の上だ。 それでもたかが4,5日間の滞在に事無きを得た場合、郷里の父母も世間の親と同等程度に娘一家の帰省を喜んでくれた。
何度目かの帰省の際、娘が高熱を出してしまうとの私にとっては想定内の事件が勃発した。
私は元医学関係者でもあり、娘の突発的不明熱発熱等の異常症状対応に慣れているのだが、祖母である母がパニックに陥ってしまい、解熱剤を飲ませるだの何だのと自分勝手な“ド素人”処置をすると言い始める。 「ちょっと落ち着いて欲しい!」と母をなだめるのだが、孫の病態急変に不慣れな我が母がさらに突拍子もない発言をし始めたのだ! 「○ちゃん(我が娘)の容態が大変な時に帰省してくるな!」
これに唖然とした私は、こちらも売り言葉に買い言葉だ。 「何を馬鹿なこと言ってくれるの! 私の母としての日常とはこれが実態だよ。これに日々耐えて冷静な判断を下しつつこの子を育てているんだよ! 娘の容態が悪い時に帰省するなと言うのは、一生この子と共に実家に帰って来るなと言ってるも同然だよ。 それが理解できないババアなど私の方から願い下げよ!!」 険悪な空気が流れつつも、母は母なりに孫の容態を気遣っていたようだ。
その後娘の熱は下がり回復に向かった。 数日間の実家滞在の後、すっかり元気になった娘と共に我が一家は郷里を後にした。
ただ、この事件を教訓と出来ない私ではない。 医学的観点から、我が娘が実家で異常症状が発現しそうな時には郷里へ帰省するべきではないと本気で悟った。 何分、我が親どもは私には医学を修得させてくれたが、自分らはそれを修得していない素人である点も娘の私の方が勘案するべきだ…。
その後、我が実家に娘を連れて帰省する機会が自ずと減らざるを得ないのは自然の成り行きで現在に至っている。
まさに、たかが郷里帰省にも様々な人間模様があろう。
朝日新聞8月3日付「be」の“悩みのるつぼ”は、20代女性よりの「母が嫌で帰省したくない」との表題だった。
ここでいきなり原左都子の私論に移ろう。
上記相談女性は20代の若き世代であられる事を勘案して、実家の母が嫌いならば何も郷里に帰省せずとて、好き放題バケーションを楽しめばよいであろう… なる感想を、長い独身を謳歌した私が思い描かないはずもない。
ところが相談内容を読み進めると、この相談者の郷里ご実家内人間模様が複雑のようだ。 そうとしたところで、既に家を出て自立して暮らしている20代女性に何らの罪も責任もないと私は結論付ける。
上記朝日新聞“悩みのるつぼ”今回の回答者であられる 歌手・俳優 三輪明宏氏の回答内容の最後の部分を以下に紹介しよう。
相談者の家族のように親子間に距離がなく、密着している状態は危険である。 「親しき仲にも礼儀あり」との心得があれば、一定の境界線からは互いに立ち入らないように出来るはずだ。 「家族は特別なもの」とは勘違いだ。 如何なる関係でも、遠慮しなくなったらお終いである。これは家族とて例外ではない。
最後に原左都子の私論でまとめよう。
たとえ親族・家族間であろうが、人間関係に於いて「特別」なる関係が存在し得るはずがない。 それは三輪明宏氏がおっしゃる通りである。
血縁関係の人間同士であれ、「礼儀」が存在して当然である。
これをわきまえ、自分の感情を抑えて心理的距離を置いてこそ健全に成り立つ親族・家族関係である事に間違いない。
日本国内至る地で酷暑に苛まれた今夏のお盆休暇だったが、束の間の夏季休暇を古里や旅先で過ごされた皆さんは、良き思い出作りが叶ったであろうか。
原左都子自身に関してはそもそも混雑を好まない人種であるため、年末年始、5月の連休、お盆の時期はむしろ意識的に遠出することを避け、自宅から通える範囲内の行動を心がけている。
特に今夏はちょうどお盆の8月15日、去る6月27日に壮絶な癌闘病の末に他界した義理姉の49日の法要(納骨)が予定されていたため、猛暑とも相俟って何とはなく一家皆で派手な行動を自粛するべく過ごしてきた。
そんな私も独身時代には仕事の関係で、世間一般の例外ではなくやはり長期休暇のピーク時近辺にまとまった休暇を取る事が多かった。
仕方がないため大混雑と割増料金を覚悟の上で、その時期に郷里帰省や国内外旅行を予約して出かけたものである。
郷里帰省に関しては、決してマメにそれを実行する人種ではなかった。 父母共に定年までフルタイムの仕事を抱えていたこともあり、私の方から何らかの気配りをするべく対象でもなかった。 加えて孫でも連れて帰省するならばともかく、40歳近くまで独身だった私が一人で帰省したとて、両親にとって特段のサプライズもないのが実情であろう。 「この夏は海外へ行くから帰らないよ」と伝えても、「好きにしなさい」で済んだものだ。
帰省が叶った折にも、特段どうということはない。 両親(特に母)は、私が独身の立場でバリバリと仕事や学問に励んでいる事を常に応援する人種であり、下手に早く結婚して妙な苦労を背負い込んでいる女性よりも“あなたは素晴らしい”と、私の事を誇りに思っていたようだ。 そんな母は私の郷里帰省がやはり嬉しい様子で私の滞在に合わせて仕事の休暇を取り、ご近所・親戚や自分の知り合いの所へ、滅多に帰省しない私を引き連れて行っては“娘自慢”を披露していたものである。
ところが私が晩婚・高齢出産後に一家での郷里帰省となると、大きく様子が異なるのは自然の成り行きだったであろう。
特に我が家の場合、(高齢出産時のトラブルにより)多少の事情を抱えた娘を連れての帰省である。 そんな我が一家3人での帰省に際し、実親どもが今までのようには気軽に対応できないであろう事は私の方こそ承知の上だ。 それでもたかが4,5日間の滞在に事無きを得た場合、郷里の父母も世間の親と同等程度に娘一家の帰省を喜んでくれた。
何度目かの帰省の際、娘が高熱を出してしまうとの私にとっては想定内の事件が勃発した。
私は元医学関係者でもあり、娘の突発的不明熱発熱等の異常症状対応に慣れているのだが、祖母である母がパニックに陥ってしまい、解熱剤を飲ませるだの何だのと自分勝手な“ド素人”処置をすると言い始める。 「ちょっと落ち着いて欲しい!」と母をなだめるのだが、孫の病態急変に不慣れな我が母がさらに突拍子もない発言をし始めたのだ! 「○ちゃん(我が娘)の容態が大変な時に帰省してくるな!」
これに唖然とした私は、こちらも売り言葉に買い言葉だ。 「何を馬鹿なこと言ってくれるの! 私の母としての日常とはこれが実態だよ。これに日々耐えて冷静な判断を下しつつこの子を育てているんだよ! 娘の容態が悪い時に帰省するなと言うのは、一生この子と共に実家に帰って来るなと言ってるも同然だよ。 それが理解できないババアなど私の方から願い下げよ!!」 険悪な空気が流れつつも、母は母なりに孫の容態を気遣っていたようだ。
その後娘の熱は下がり回復に向かった。 数日間の実家滞在の後、すっかり元気になった娘と共に我が一家は郷里を後にした。
ただ、この事件を教訓と出来ない私ではない。 医学的観点から、我が娘が実家で異常症状が発現しそうな時には郷里へ帰省するべきではないと本気で悟った。 何分、我が親どもは私には医学を修得させてくれたが、自分らはそれを修得していない素人である点も娘の私の方が勘案するべきだ…。
その後、我が実家に娘を連れて帰省する機会が自ずと減らざるを得ないのは自然の成り行きで現在に至っている。
まさに、たかが郷里帰省にも様々な人間模様があろう。
朝日新聞8月3日付「be」の“悩みのるつぼ”は、20代女性よりの「母が嫌で帰省したくない」との表題だった。
ここでいきなり原左都子の私論に移ろう。
上記相談女性は20代の若き世代であられる事を勘案して、実家の母が嫌いならば何も郷里に帰省せずとて、好き放題バケーションを楽しめばよいであろう… なる感想を、長い独身を謳歌した私が思い描かないはずもない。
ところが相談内容を読み進めると、この相談者の郷里ご実家内人間模様が複雑のようだ。 そうとしたところで、既に家を出て自立して暮らしている20代女性に何らの罪も責任もないと私は結論付ける。
上記朝日新聞“悩みのるつぼ”今回の回答者であられる 歌手・俳優 三輪明宏氏の回答内容の最後の部分を以下に紹介しよう。
相談者の家族のように親子間に距離がなく、密着している状態は危険である。 「親しき仲にも礼儀あり」との心得があれば、一定の境界線からは互いに立ち入らないように出来るはずだ。 「家族は特別なもの」とは勘違いだ。 如何なる関係でも、遠慮しなくなったらお終いである。これは家族とて例外ではない。
最後に原左都子の私論でまとめよう。
たとえ親族・家族間であろうが、人間関係に於いて「特別」なる関係が存在し得るはずがない。 それは三輪明宏氏がおっしゃる通りである。
血縁関係の人間同士であれ、「礼儀」が存在して当然である。
これをわきまえ、自分の感情を抑えて心理的距離を置いてこそ健全に成り立つ親族・家族関係である事に間違いない。