◎歴史は動き始めると早足になる
本日の日本経済新聞のコラム「大機小機」に注目した。見出しは「反シナトラ・ドクトリン」、署名は、(手毬)。
コラムはまず、「ブレジネフ・ドクトリン」および「シナトラ・ドクトリン」という言葉について説明する。
あの秋の東欧は、ざわついていた。ポーランドでは、独立自主管理労組「連帯」の自由選挙での圧勝を受け、9月に非共産党政権が誕生した。
ハンガリー政府はオーストリアとの国境の有刺鉄線を撤去した。東ドイツ国民が休暇旅行を口実に大挙して押し寄せ、開放された国境から西側へ出国していった。
この事態に東独のホー・ネッカー国家評議会議長ら東欧の守旧派は、ソ連の介入を求めた。68年にはチェコの「プラハの春」の改革をソ連の戦車が押しつぶした。社会主義陣営の利益のために一国の主権は制限できるという制限主権論は「ブレジネフ・ドクトリン」と呼ばれていた。
ところがソ連国内の改革「ペレストロイカ」一で手いっぱいのゴルバチョフ政権は動かなかった。米国のテレビに出演したソ連のゲラシモフ外務省情報局長は、フランク・シナトラの大ヒット曲「マイ・ウェイ」を引き合いに出し、東欧諸国の「わが道」を容認する新方針を「シナトラ・ドクトリン」と呼んだ。25年前の10月25日のことだ。
続いてコラムは、話題を今日の香港情勢に振り、中国政府は、マイ・ウェイを許さない「反シナトラ・ドクトリン」を貫くだろうと予想する。その一方で、中国が香港などの「わが道」を認めるときは、「共産党一党独裁体制の終幕も近い」と指摘する。
こうした情報あるいは分析は貴重だが、今回、このコラムに注目したのは、その点ではない。このコラムの書き出しは、「閣僚の辞任ドミノは止まるのか」であった。また、最後は、「歴史は動き始めると早足になる」という言葉で締め括られている。
すなわち、このコラムは、「反シナトラ・ドクトリン」を話題に掲げながらも、日本の政治情勢について、暗にひとつのメッセージを発しようとしたのではないか。すなわち、「自民党一党独裁体制の終幕も近い」というメッセージである。
そう思って本日の同紙紙面をながめると、「沖縄知事選、公明は自主投票/自民、選挙戦厳しさ増す」、「派遣法改正審議に遅れ/2閣僚辞任で野党攻勢」などの見出しがある。
日経を購読し始めて四、五年。最近ようやく、同紙を読むコツがつかめてきたような気がする。
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