◎鴎のうたに送られて大南洋の船の旅
本日も、藤原草郎編『日本青少年歌曲集』(東邦音楽書房、一九四三)から。本日、紹介するのは、「大南洋唱歌」。この歌は、二二番まであるが、本日は、一番から一一番までを紹介。大南洋は、〈ダイナンヨウ〉とよむ。すでに死語である。
文部省検定済 大南洋唱歌 くろがね会制定
一、富士よ桜よ 朝風に
港を出でて 幾浬〈イクカイリ〉
鴎のうたに 送られて
大南洋の 船の旅
二、やがて香港 過ぎゆけば
雲かと浮かぶ フィリッピン
興亜の風に よみがへり
緑もあらた 大マニラ
三、麻よ煙草よ 砂糖黎
ダバオに拓く 農園に
我がはらからの 意気たかし
日の丸たてて 馬車はゆく
四、堅き護りの 海南島
波間にのこる 思ひ出は
御朱印船か 八幡船〈バハンセン〉
祖先の雄図 しのぶなり
五、すぎし日露の 戦役に
敵艦隊の ひそみたる
カムラン湾の 仇浪も
和みて米の サイゴンや
六、山田長政 名は朽ちず
アユチヤに旧き 寺々や
新興タイの 鐘の音に
花新しき バンコック
七、ともに東亜を 守らんと
盟約かたき 国ゆたか
正義の念に 燃えて想つ
若人タイぞ 頼もしき
八、輸送船団 粛々と
征きしを想ふ 波の上
マレー半島 コタバルの
血染めの熱砂 風なきぬ
九、ゴムの林よ 錫の山
砲煙絶えし 密林に
今宵も清き 月の影
まどかに結ぶ 民の夢
十、不沈誇りし 戦艦を
藻屑と化せし タワンタンや
いさをは薫る こゝかしこ
ジョホール・バハル 空青し
十一、屍山血河の 激戦地
ブキテマの丘 越えゆけば
昭南港の日章旗
厳然圧す 二大洋 【以下、次回】
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