◎橇の音読みは「キョウ」か、それとも「ゼイ」か
昨日の続きである。このブログを始めたころ、「橇の訓読みは『そり』、ではその音読みは?」というコラムを書いた(2012・6・27)。
本日は、そのとき紹介した漢字が、後藤光憲編纂『活版鮮明 広益新撰玉編』(鐘美堂、)に載っているかどうかを確認してみたい。
○印の行では、岩垂憲徳著『漢字声音談』(清水書院、一九四三)に出てくる漢字、音読み(〈 〉は現代語表記〉、その漢字を含む熟語を紹介した。算用数字は、『漢字声音談』のページ数。その次の行は、『広益新撰玉編』におけるその漢字の説明。音読み、【韻】、「意味」の順に示した。【韻】は、プレビューで漢字が表記されない場合があったが(●印)、「ヘンが豊の旧字、ツクリが去の下に皿」という字である。
○廾 ジフ〈ジュウ〉250 『角川漢和中辞典』では〈ニュウ〉
ジフ・ニフ 【緝】「ハタチ」
○奴の下に巾 タウ〈トウ〉(〈ヌ〉でない) 「内□」〈ナイトウ〉251
ド・ヌ 【虞】「ヤツコ・クラ」
○卅 サフ〈ソウ〉251 『角川漢和中辞典』でも〈ソウ〉
サウ・サフ 【合】「ミソジ・三十ナリ」
○齊の下に皿 シ(〈サイ〉でない) 「玉□」〈ギョクシ〉252
シ・シ 【支】「モル」
○山の下に疑 ギョク(〈ギ〉でない) 「岐□」〈キギョク〉255
この字は『新撰玉編』になし
○門ガマエに癸 ケツ(〈キ〉でない) 「服□」〈フクケツ〉258
ケツ・ケチ 【屑】「ヤム・ヲハル・ヲハリ・トヅル」
○若の下に虫が横並びに二つ カク(〈ジャク〉でない) 「毒□」〈ドクカク〉259
カク・カク 【薬】「サス・イタム」
○ケモノヘンに爾 セン(〈ヤ〉でない) 「秋□」〈シュウセン〉258
セン・セン 【銑】「コロス・アキノカリ」
○ウカンムリに九 キ(〈キュウ〉でない) 「姦□」〈カンク〉259
キ・キ 【紙】「カタマシ・ウチヌスビト」
○「勢」の力の部分が土 テン(〈シツ〉でない) 「昏□」〈コンテン〉259
テン・テン 【●】「クダル・オボル・江名」 *『新撰玉編』の字体は、「執の下に土」
○テヘンに取 ソウ(〈シュ〉でない) 「郊□」〈コウソウ〉260
この字は『新撰玉編』になし
○クサカンムリに禹 ク(〈ウ〉でない) 「規□」〈キク〉268
ウ・ウ 【麌】「クサノナ・ミヅナキ」
○クチヘンに胃 キ(〈イ〉でない) 「□然」〈キゼン〉268
キ・キ 【寘】「ナゲク・タメイキ」
○萬の下に虫 タイ(〈マン〉でない) 「蜂□」〈ホウタイ〉268
タイ・タイ 【卦】「サソリ」
○ヘンが武、ツクリが虎 ホウ 「□虐」〈ホウギョウ〉269 虐の読み注意
ハウ・ボウ 【號】「アラシ・スミヤカ・タケシ・オカス」
○木ヘンに施 イ(〈シ〉ではない) 「□架」〈イカ〉269
イ・イ 【攴】「オシマヅキ・コロモサヲ」
○ヘンが高、ツクリが欠 キヤウ〈キョウ〉(〈コウ〉ではない)「□雲」〈キョウウン〉271
ケウ・ケウ 【蕭】「アツシ・イキフク」
○潟 セキ(〈シャ〉ではない) 「潟鹵」〈セキロ〉273
セキ・シヤク 【陌】「カタ」
○ヘンが鼻、ツクリがリットウ ギ(〈ビ〉ではない) 「□刑」〈ギケイ〉274
ギ・キ 【寘】「ハナキル」
○蔵の臣の部分が貝 テン 「□事」〈テンジ〉274
この字は『新撰玉編』に見当たらない
○橇 ケウ〈キョウ〉274 『角川漢和中辞典』では〈ゼイ・セイ〉
ケウ・ケウ 【蕭】「ソリ」