礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

橇の音読みは「キョウ」か、それとも「ゼイ」か

2017-01-22 04:30:14 | コラムと名言

◎橇の音読みは「キョウ」か、それとも「ゼイ」か

 昨日の続きである。このブログを始めたころ、「橇の訓読みは『そり』、ではその音読みは?」というコラムを書いた(2012・6・27)。
 本日は、そのとき紹介した漢字が、後藤光憲編纂『活版鮮明 広益新撰玉編』(鐘美堂、)に載っているかどうかを確認してみたい。
 ○印の行では、岩垂憲徳著『漢字声音談』(清水書院、一九四三)に出てくる漢字、音読み(〈 〉は現代語表記〉、その漢字を含む熟語を紹介した。算用数字は、『漢字声音談』のページ数。その次の行は、『広益新撰玉編』におけるその漢字の説明。音読み、【韻】、「意味」の順に示した。【韻】は、プレビューで漢字が表記されない場合があったが(●印)、「ヘンが豊の旧字、ツクリが去の下に皿」という字である。

○廾            ジフ〈ジュウ〉250  『角川漢和中辞典』では〈ニュウ〉  
ジフ・ニフ 【緝】「ハタチ」 
○奴の下に巾       タウ〈トウ〉(〈ヌ〉でない) 「内□」〈ナイトウ〉251
ド・ヌ 【虞】「ヤツコ・クラ」 
○卅            サフ〈ソウ〉251   『角川漢和中辞典』でも〈ソウ〉 
サウ・サフ 【合】「ミソジ・三十ナリ」 
○齊の下に皿       シ(〈サイ〉でない) 「玉□」〈ギョクシ〉252
シ・シ 【支】「モル」 
○山の下に疑       ギョク(〈ギ〉でない) 「岐□」〈キギョク〉255
この字は『新撰玉編』になし
○門ガマエに癸      ケツ(〈キ〉でない) 「服□」〈フクケツ〉258
ケツ・ケチ 【屑】「ヤム・ヲハル・ヲハリ・トヅル」 
○若の下に虫が横並びに二つ  カク(〈ジャク〉でない) 「毒□」〈ドクカク〉259
カク・カク 【薬】「サス・イタム」 
○ケモノヘンに爾     セン(〈ヤ〉でない)  「秋□」〈シュウセン〉258
セン・セン 【銑】「コロス・アキノカリ」  
○ウカンムリに九     キ(〈キュウ〉でない)  「姦□」〈カンク〉259
キ・キ 【紙】「カタマシ・ウチヌスビト」 
○「勢」の力の部分が土  テン(〈シツ〉でない)  「昏□」〈コンテン〉259
テン・テン 【●】「クダル・オボル・江名」 *『新撰玉編』の字体は、「執の下に土」
○テヘンに取       ソウ(〈シュ〉でない) 「郊□」〈コウソウ〉260
この字は『新撰玉編』になし
○クサカンムリに禹    ク(〈ウ〉でない)   「規□」〈キク〉268
ウ・ウ 【麌】「クサノナ・ミヅナキ」 
○クチヘンに胃       キ(〈イ〉でない)    「□然」〈キゼン〉268
キ・キ 【寘】「ナゲク・タメイキ」 
○萬の下に虫       タイ(〈マン〉でない) 「蜂□」〈ホウタイ〉268
タイ・タイ 【卦】「サソリ」 
○ヘンが武、ツクリが虎   ホウ  「□虐」〈ホウギョウ〉269 虐の読み注意
ハウ・ボウ 【號】「アラシ・スミヤカ・タケシ・オカス」 
○木ヘンに施        イ(〈シ〉ではない) 「□架」〈イカ〉269 
イ・イ 【攴】「オシマヅキ・コロモサヲ」 
○ヘンが高、ツクリが欠 キヤウ〈キョウ〉(〈コウ〉ではない)「□雲」〈キョウウン〉271
ケウ・ケウ 【蕭】「アツシ・イキフク」 
○潟           セキ(〈シャ〉ではない) 「潟鹵」〈セキロ〉273
セキ・シヤク 【陌】「カタ」            
○ヘンが鼻、ツクリがリットウ  ギ(〈ビ〉ではない)   「□刑」〈ギケイ〉274
ギ・キ 【寘】「ハナキル」 
○蔵の臣の部分が貝    テン           「□事」〈テンジ〉274
この字は『新撰玉編』に見当たらない
○橇        ケウ〈キョウ〉274  『角川漢和中辞典』では〈ゼイ・セイ〉
ケウ・ケウ 【蕭】「ソリ」 

*このブログの人気記事 2017・1・22(8・10位にやや珍しいものが)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする