◎ウクライナ問題と軍事ケインズ主義
中野清見『新しい村つくり』を紹介している途中だが、いったん、話題を変える。
先月の三一日から今月の一日にかけて、「軍事ケインズ主義」という言葉をネット検索したあと、当ブログの記事「ニュー・ディール政策の軍事化とケインズ主義者A・ハンセン」(2020/10/16)を閲覧してくださった方があったようだ。光栄なことである。
おそらく、その方は、ウクライナ情勢に関わって、米バイデン大統領が、何を意図しているか(何を意図してきたか)を探ろうとされていたのであろう。
私見によれば、米バイデン大統領は、軍事ケインズ主義者である。かつての米ルーズベルト大統領が軍事ケインズ主義者であったように。
かつてルーズベルト大統領は、帝国日本を挑発し、米国に宣戦させることによって、軍事ケインズ主義を実現した。その背景には、ニュー・ディール政策の行きづまりがあった。
今日、バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、軍事ケインズ主義を実現しようとしている。その背景には、コロナ禍や米中対立がある。
ところで、昨年、私は、牧野邦昭氏の『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書、二〇一八)という本を読んだ。その五〇ページに、小原敬士(おはら・けいじ、一九〇三~一九七二)の名前が出てきた。彼は、日米開戦の前、いわゆる「秋丸機関」に所属していたという。この時代の日本で、ニュー・ディール政策が軍事化に向かうであろうことを予測できた経済学者は、小原敬士以外にはいない。小原は、「秋丸機関」の中で、ルーズベルトが戦争を望んでいること、アメリカの挑発に乗るべきでないことを主張しなかったのだろうか。
なお、昨二日の日刊ゲンダイDEGITALで、立岩陽一郎氏が執筆した「メディアが報じないバイデン米大統領の言動からウクライナ情勢を読み解く」を読んだ。実に読みごたえのある記事だった。
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