◎『明治廿八年 御重寳』という冊子を見つけた
本年に入ってから、神保町の某書店で、『明治廿八年 御重寳』(法木書店)という冊子を入手した。
小型の薄い冊子で、表紙には、「明治廿八年/御重寳 全/函根底倉/梅屋牧太郎」とある。箱根底倉にある「梅屋」という温泉旅館の案内のようだった。帰ってからよく見ると、同旅館の案内のあとに、「全国鉄道汽車発着時刻及賃金表」というものが付いていた。発行は、1894年(明治27)11月20日。
すなわち、この冊子は、汽車の時刻表を「付録」にした梅屋旅館の案内だったのである。
「時刻表」の紹介は、あとにまわして、本日は、梅屋旅館の案内のところを紹介してみたい。
「案内」は、1ページから8ページまで。その2ページから3ページにかけて、次のような文章があるので、これを引いてみよう。改行は原文のまま。
箱 根
底 倉 温 泉 分 折 表 并 御 案 内
神奈川縣足柄下郡温泉村底倉
魁春樓 梅屋 鈴 木 牧 太 郞
弊店儀諸君子ノ御愛顧ヲ蒙リ年々歳々繁榮ニ赴キ難有仕合奉存候猶一層平
素ノ御厚恩ノ萬一ニ報センカ為諸事大改良ヲナシ浴室廣大ニシテ
清浄客室ハ空氣ノ流通宜シク飲食品ハ相洋ノ鮮魚ヲ御意ニ
随ヒ佳美ニ調進シ肉類野菜ニ至ル迄新鮮ヲ撰ミ供進仕リ然シテ極安
直ニ御賄致候又温泉功能ハ本表分折ノ如シト雖トモ新温泉ハ特別
奇効アリ(當時分折試験中ニ付不日追加)氣候ハ冬暖ニシテ極暑朝夕七
十度日中八十五度ニ上ラス常ニ天氣晴朗清風颯々神氣ヲ洗フ實ニ
不二之仙境ト信ス加之新路開鑿竣功シ鉄道馬車及人力車ノ便郵便電信
往復ノ速ナル都会ニ勝ル乞フ御愛顧之諸君子知己之各位御誘
導被成下陸続御来浴ノ程奉待迎候 恐惶謹言
明治廿八年一月 魁 春 樓 主 敬 白
「案内」の最後、すなわち8ページの末尾には、「旅行時間並ニ道筋」という項がある。これも、改行は原文のまま。
旅行時間並ニ道筋
東京ヨリ横濱滊車五十五分間着其ヨリ國府津迄滊車一時間三十五分間人力車着下
車直ニ鐵道馬車ニ乗シ一時廿分間ニシテ湯本着湯本ヨリ當底倉迄人力車
(二人挽凡四十五分間
一人挽凡一 時 間)着(但シ底倉ヨリ湯本ヘ下リ人力車ハ二人挽二十
五分間一人挽凡三十五分間)
当時、箱根の底倉温泉に赴くには、まず、東海道線で国府津駅まで行き、そこから鉄道馬車で箱根湯本まで行き、そこからさらに、人力車に乗る必要があったようである。
本年に入ってから、神保町の某書店で、『明治廿八年 御重寳』(法木書店)という冊子を入手した。
小型の薄い冊子で、表紙には、「明治廿八年/御重寳 全/函根底倉/梅屋牧太郎」とある。箱根底倉にある「梅屋」という温泉旅館の案内のようだった。帰ってからよく見ると、同旅館の案内のあとに、「全国鉄道汽車発着時刻及賃金表」というものが付いていた。発行は、1894年(明治27)11月20日。
すなわち、この冊子は、汽車の時刻表を「付録」にした梅屋旅館の案内だったのである。
「時刻表」の紹介は、あとにまわして、本日は、梅屋旅館の案内のところを紹介してみたい。
「案内」は、1ページから8ページまで。その2ページから3ページにかけて、次のような文章があるので、これを引いてみよう。改行は原文のまま。
箱 根
底 倉 温 泉 分 折 表 并 御 案 内
神奈川縣足柄下郡温泉村底倉
魁春樓 梅屋 鈴 木 牧 太 郞
弊店儀諸君子ノ御愛顧ヲ蒙リ年々歳々繁榮ニ赴キ難有仕合奉存候猶一層平
素ノ御厚恩ノ萬一ニ報センカ為諸事大改良ヲナシ浴室廣大ニシテ
清浄客室ハ空氣ノ流通宜シク飲食品ハ相洋ノ鮮魚ヲ御意ニ
随ヒ佳美ニ調進シ肉類野菜ニ至ル迄新鮮ヲ撰ミ供進仕リ然シテ極安
直ニ御賄致候又温泉功能ハ本表分折ノ如シト雖トモ新温泉ハ特別
奇効アリ(當時分折試験中ニ付不日追加)氣候ハ冬暖ニシテ極暑朝夕七
十度日中八十五度ニ上ラス常ニ天氣晴朗清風颯々神氣ヲ洗フ實ニ
不二之仙境ト信ス加之新路開鑿竣功シ鉄道馬車及人力車ノ便郵便電信
往復ノ速ナル都会ニ勝ル乞フ御愛顧之諸君子知己之各位御誘
導被成下陸続御来浴ノ程奉待迎候 恐惶謹言
明治廿八年一月 魁 春 樓 主 敬 白
「案内」の最後、すなわち8ページの末尾には、「旅行時間並ニ道筋」という項がある。これも、改行は原文のまま。
旅行時間並ニ道筋
東京ヨリ横濱滊車五十五分間着其ヨリ國府津迄滊車一時間三十五分間人力車着下
車直ニ鐵道馬車ニ乗シ一時廿分間ニシテ湯本着湯本ヨリ當底倉迄人力車
(二人挽凡四十五分間
一人挽凡一 時 間)着(但シ底倉ヨリ湯本ヘ下リ人力車ハ二人挽二十
五分間一人挽凡三十五分間)
当時、箱根の底倉温泉に赴くには、まず、東海道線で国府津駅まで行き、そこから鉄道馬車で箱根湯本まで行き、そこからさらに、人力車に乗る必要があったようである。
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