前回、子供が塾と 家庭で顔(態度)を使い分ける事があると書きました。
まじめに前向きに勉強に臨んでいる場合ならよいのですが、そうでない子の方にこうした傾向がありがちです。
保護者の立場としては、そうは言っても子供が言う事は信じてあげたいし、そうそう事実と違うことも言うまいという前提みたいなものもあるかもしれません。
かつて、こんなことがありました。
ある日突然保護者の方から塾に電話があって、そこで仰るには「こんなに勉強しているのに何でテストでこんな点しか取れないんですか」という、これはもう思い切り塾へのクレームでした。
「こんなに勉強しているのに」というあたり、きっと通塾の回数などがその発言のベースに在るのではないかと思いましたが、それはそれとして、私はその生徒の平素の学習情況について、かねてから授業報告書や、別途レターを書いて報告してきた事、ご家庭でも注意して頂きたいといって喚起してきたことを、その電話で取り上げました。
すると、どうでしょう、保護者の方は、授業報告書も別途書いたレターも、何も呼んでおられませんでした。
よくよく聞いてみると、それらは皆生徒が仕舞い込んだり、或いはどこかで破棄してしまっていたのです。
今更という感じでしたが、私はそれらに書かれていた内容を口頭で伝えました。
曰く、出された宿題を殆どやって着ないこと、毎回のように教材や筆記用具すら忘れてくること、いつも授業開始ぎりぎりか、開始後に慌てて駆け込んでやってきて、授業が終わった後も、逃げるように帰ってしまうこと(家では、塾で居残り学習をしてきたと報告していました)等々。
ちなみに、毎回の通塾の際、入退室に送信するタッチメールは意図的にこのボタンを押さず、それすら故障していて塾では修理もしていないなどと嘘の報告をしていたのでした。
これらを初めて聞いた保護者の方はとても驚いたと同時に、それまで子供に嘘を吐かれていたことで、当の子供への見方がここで矯正されたこと、或いは再三塾から連絡がありながら、つい億劫で参加しなかった保護者面談の重要さなどを認識されたようで、それ以後は徐々にではありますが、ご家庭と塾との連絡と連携が密になっていき、それに応じて子供の行動も正しい方向へと変化していった結果、次第に成績面でも上向きの変化が表れてきました。
こういう例は、勿論極少数ではありますが、それでも、油断しているとこういうことも起こり得るのだという事実としては、貴重な例であると思います。