・「残業代など不払い」 バイト3人が「すき家」刑事告訴(朝日新聞)
http://www.asahi.com/job/news/TKY200804080324.html
・働く者の権利守ろう/残業代法律通り払え/「すき家」に抗議宣伝/首都圏青年ユニオン(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-10/2008041005_01_0.html
・「週刊東洋経済」に「すき家」の偽装雇用問題(レイバーネット)
http://www.labornetjp.org/news/2008/1202824210781staff01
・上記新聞記事の詳細について記した首都圏青年ユニオンのHP
http://www.seinen-u.org/index.html
昨年、大手牛丼チェーンの「すき家」で働くアルバイトが、労働組合「すき家ユニオン」を結成して解雇を撤回させ、未払いだった残業代も払わせる事に成功した、というニュースがありました。やがて「すき家」の他の店舗でも、バイトが労組に加入して未払い分の残業代を請求する動きが出てきました。しかしそれに対して会社側は、当時の和解条項もそっちのけに、何と「ここで働く従業員は業務委託契約で働いている人間だ、従って我が社が雇った人間ではないから残業代は払わない、団交にも応じない」と言い出しました。それで裁判になっているのだと。
業務委託契約というのは、この場合で言うと、個人が企業から仕事を受注して働く「個人請負」の様なものです。赤帽・軽急便・バイク便や、個人営業のタクシー、コンビニなどのフランチャイズがその典型で、個人は自営業者として扱われます。企業との関係で言えば、個人はあくまで取引先・下請先の一つでしかない。当然、企業との間に雇用関係は生じません。
では何故、その「自営業者」を、「すき家」の名前でアルバイト募集の広告を出して採用し、社会保険にも加入させたのか? 誰でも直ぐに思い浮かぶこの疑問に、「すき家」は何らまともに答える事が出来ません。こんな「偽装個人請負」の見え透いた嘘を、よくも平然とつけたものです。
しかし、キャノンの「偽装請負」やマクドナルドの「名ばかり管理職」といい、「偽装・違法何でも在り」の日本資本主義の状況からすると、こういう見え透いた嘘も堂々とつきかねない状況です。
派遣法の規制逃れの為に実際には派遣労働者として働かせながら恰も業務請負契約で働かせているかの様に取り繕う「偽装請負」や、実際には部下も権限も何もない形だけの管理職にしておいて残業代を出し渋る「名ばかり管理職」や、あの悪名高いホワイトカラー・エグゼンプションにしても、まだ一応は、企業と従業員との間には雇用関係があります。従って、従業員が業務中に労災に遭えば企業は管理責任を問われます。しかし「個人請負」になればもう、企業と従業員との間には何の雇用関係も無くなります。従業員が業務中に労災にでも遭おうものなら、逆に「下請けの不始末」として切り捨てる口実にもされかねません。
資本家側からすれば、これぞ雇用規制緩和、労働ビッグバンの行き着く先、究極の姿ではないですか。そう考えると、「偽装請負」や「偽装管理職」も、企業と従業員の関係を、最終的にはこの様な「個人請負」の関係に持って行く為の、過渡的な雇用形態ではないか、という気すらしてきます。
・【労働環境】増える「個人請負」という名の過酷な偽装雇用(東洋経済):2ちゃんねるでも話題に。
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1202996665/-100
・労働現場にはびこる「三つの偽装」の実態
http://www.h7.dion.ne.jp/~mm-nd/to216/toyo08.html
・請負/偽装請負/偽装雇用
http://www.arsvi.com/d/uo01.htm
しかし幾ら何でも、流石にこんな直ぐばれる嘘はつかないだろうとは思いますが、そこで気になったのが「契約社員」という言葉です。「アルバイトに毛が生えたもの」ぐらいの意味合いでよく使われる言葉ですが、実際その定義は曖昧模糊としています。実は私も、雇用契約書の上では「契約社員」という身分なのです。その契約書には「身分:契約社員」とあり、「二ヶ月毎の自動更新契約」の形で、賃金・勤務時間・休日・給与支払日その他の事が記載されています。
その「契約社員」という言葉については、私も別段気にも留めずに、今まで何気なく使ってきましたが、よく考えてみればこれもおかしな言葉です。企業と従業員の間には、社員であれパート・バイトであれ、必ず雇用(労働)契約が伴います。直接雇用関係には無いアウトソーシング従業員の場合でも、派遣・請負契約の形で、自分の所属する派遣・請負企業を仲立ちとして、親企業との間には何らかの利害関係が生じます。つまり、どんな働き方であっても、当該企業の関係者である限り、そこには何らかの形で契約関係が生じます。わざわざ「契約」社員とことわらなければならない理由なぞ、本来は何も無い筈です。
以上、少し気になったので一応調べてみました。それによると、「契約社員」という言葉にははっきりした定義は無く、非正規雇用従業員一般の意味合いで使われているに過ぎない事が分かりました。どちらにしろ、正確な用語ではないし、寧ろ誤解を招きかねない様な言葉なので、余り使わない方が良いのかも知れません。
・契約社員とは...労基法の適用あり、あまり、呼称に惑わされないようにしよう(労働安全情報センター)
http://labor.tank.jp/sonota/keiyakusyain.html
「すき家」の件に話を戻すと、会社側の出方としては、傘下に名ばかりの派遣会社か請負会社をでっち上げて、バイトを丸ごとそちらに移籍させるつもりなのかも知れません。「すき家」本体としては、「その偽装アウトソーシング企業から人を受け入れているに過ぎない」という形にする。若し労使紛争で団交という事態になっても、実体も当事者能力もないアウトソーシング企業が相手では、全然埒が開かないという事になるのは、もう目に見えています。でも、そういう偽装は、遅かれ早かれ必ずばれます。建造物の耐震偽装や食品の品質偽装の様に。雪印みたいになりたくなければ、そんな見え見えの嘘なぞ最初からつかない事です。
※添付画像は上記「しんぶん赤旗」記事のもの。
http://www.asahi.com/job/news/TKY200804080324.html
・働く者の権利守ろう/残業代法律通り払え/「すき家」に抗議宣伝/首都圏青年ユニオン(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-10/2008041005_01_0.html
・「週刊東洋経済」に「すき家」の偽装雇用問題(レイバーネット)
http://www.labornetjp.org/news/2008/1202824210781staff01
・上記新聞記事の詳細について記した首都圏青年ユニオンのHP
http://www.seinen-u.org/index.html
昨年、大手牛丼チェーンの「すき家」で働くアルバイトが、労働組合「すき家ユニオン」を結成して解雇を撤回させ、未払いだった残業代も払わせる事に成功した、というニュースがありました。やがて「すき家」の他の店舗でも、バイトが労組に加入して未払い分の残業代を請求する動きが出てきました。しかしそれに対して会社側は、当時の和解条項もそっちのけに、何と「ここで働く従業員は業務委託契約で働いている人間だ、従って我が社が雇った人間ではないから残業代は払わない、団交にも応じない」と言い出しました。それで裁判になっているのだと。
業務委託契約というのは、この場合で言うと、個人が企業から仕事を受注して働く「個人請負」の様なものです。赤帽・軽急便・バイク便や、個人営業のタクシー、コンビニなどのフランチャイズがその典型で、個人は自営業者として扱われます。企業との関係で言えば、個人はあくまで取引先・下請先の一つでしかない。当然、企業との間に雇用関係は生じません。
では何故、その「自営業者」を、「すき家」の名前でアルバイト募集の広告を出して採用し、社会保険にも加入させたのか? 誰でも直ぐに思い浮かぶこの疑問に、「すき家」は何らまともに答える事が出来ません。こんな「偽装個人請負」の見え透いた嘘を、よくも平然とつけたものです。
しかし、キャノンの「偽装請負」やマクドナルドの「名ばかり管理職」といい、「偽装・違法何でも在り」の日本資本主義の状況からすると、こういう見え透いた嘘も堂々とつきかねない状況です。
派遣法の規制逃れの為に実際には派遣労働者として働かせながら恰も業務請負契約で働かせているかの様に取り繕う「偽装請負」や、実際には部下も権限も何もない形だけの管理職にしておいて残業代を出し渋る「名ばかり管理職」や、あの悪名高いホワイトカラー・エグゼンプションにしても、まだ一応は、企業と従業員との間には雇用関係があります。従って、従業員が業務中に労災に遭えば企業は管理責任を問われます。しかし「個人請負」になればもう、企業と従業員との間には何の雇用関係も無くなります。従業員が業務中に労災にでも遭おうものなら、逆に「下請けの不始末」として切り捨てる口実にもされかねません。
資本家側からすれば、これぞ雇用規制緩和、労働ビッグバンの行き着く先、究極の姿ではないですか。そう考えると、「偽装請負」や「偽装管理職」も、企業と従業員の関係を、最終的にはこの様な「個人請負」の関係に持って行く為の、過渡的な雇用形態ではないか、という気すらしてきます。
・【労働環境】増える「個人請負」という名の過酷な偽装雇用(東洋経済):2ちゃんねるでも話題に。
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1202996665/-100
・労働現場にはびこる「三つの偽装」の実態
http://www.h7.dion.ne.jp/~mm-nd/to216/toyo08.html
・請負/偽装請負/偽装雇用
http://www.arsvi.com/d/uo01.htm
しかし幾ら何でも、流石にこんな直ぐばれる嘘はつかないだろうとは思いますが、そこで気になったのが「契約社員」という言葉です。「アルバイトに毛が生えたもの」ぐらいの意味合いでよく使われる言葉ですが、実際その定義は曖昧模糊としています。実は私も、雇用契約書の上では「契約社員」という身分なのです。その契約書には「身分:契約社員」とあり、「二ヶ月毎の自動更新契約」の形で、賃金・勤務時間・休日・給与支払日その他の事が記載されています。
その「契約社員」という言葉については、私も別段気にも留めずに、今まで何気なく使ってきましたが、よく考えてみればこれもおかしな言葉です。企業と従業員の間には、社員であれパート・バイトであれ、必ず雇用(労働)契約が伴います。直接雇用関係には無いアウトソーシング従業員の場合でも、派遣・請負契約の形で、自分の所属する派遣・請負企業を仲立ちとして、親企業との間には何らかの利害関係が生じます。つまり、どんな働き方であっても、当該企業の関係者である限り、そこには何らかの形で契約関係が生じます。わざわざ「契約」社員とことわらなければならない理由なぞ、本来は何も無い筈です。
以上、少し気になったので一応調べてみました。それによると、「契約社員」という言葉にははっきりした定義は無く、非正規雇用従業員一般の意味合いで使われているに過ぎない事が分かりました。どちらにしろ、正確な用語ではないし、寧ろ誤解を招きかねない様な言葉なので、余り使わない方が良いのかも知れません。
・契約社員とは...労基法の適用あり、あまり、呼称に惑わされないようにしよう(労働安全情報センター)
http://labor.tank.jp/sonota/keiyakusyain.html
「すき家」の件に話を戻すと、会社側の出方としては、傘下に名ばかりの派遣会社か請負会社をでっち上げて、バイトを丸ごとそちらに移籍させるつもりなのかも知れません。「すき家」本体としては、「その偽装アウトソーシング企業から人を受け入れているに過ぎない」という形にする。若し労使紛争で団交という事態になっても、実体も当事者能力もないアウトソーシング企業が相手では、全然埒が開かないという事になるのは、もう目に見えています。でも、そういう偽装は、遅かれ早かれ必ずばれます。建造物の耐震偽装や食品の品質偽装の様に。雪印みたいになりたくなければ、そんな見え見えの嘘なぞ最初からつかない事です。
※添付画像は上記「しんぶん赤旗」記事のもの。