腰痛は〈怒り〉である 普及版 | |
クリエーター情報なし | |
春秋社 |
とうとう今日は腰痛で会社を休んでしまいました。
実は数日前から特に右の腰が重だるく、昨日の夕方ぐらいから痛みも出てきました。昨日も仕事帰りに、とりあえず応急処置だけでもして貰おうと、途中駅近くの通りがかりの整骨院に飛び込んで診て貰いました。しかし、そこはどうやら応急処置よりも、東洋医学本来の趣旨に則り気長に治療する事に重きを置く整骨院だったようで、「股関節が固くなっている」とか色々診断はしてくれたものの、余り応急処置はしてくれませんでした。
そして今朝、遂に腰が痛くて起き上がれなくなりました。「ぎっくり腰」という程でもなく、身体を横にすれば一応起き上がれるものの、起床に5分以上もかかってしまいました。靴下も履けなくなり、とうとう朝一番に会社に電話して休む事にしました。そして、どうにか起き上がって近所の整形外科に行きました。診断結果は腰の使痛みという事で、消炎鎮痛剤・胃薬と痛み止めの湿布薬と3日分処方して貰いました。
その後、先日記事にしたメニエール病の2度目の受診に耳鼻科に立ち寄り、こちらは立ちくらみもなくなり快方に向かっているという事で、漢方薬のみ処方して貰いました。
この2ヶ所の受診だけで午前中一杯かかり、午後からはずっと床に伏せっていました。その結果、鎮痛剤や湿布の効果もあり、まだ腰には若干違和感が残ってはいるものの、どうにか起き上がれるようになり、今この記事を書いています。
これで今月の交通費の支給はパーです。うちの会社は、契約社員のバイトにも一応交通費の支給はあります。しかし、それは上限1万円までで、しかも月20日以上出勤しなければ支給されません。この2月は28日までしかないので、そこから週休を引くと1日も休まず出勤しても20日しかなく、今日の休みで今月は交通費が出なくなりました。
何とせこい会社だと思いませんか。別に「有休使うな」と言っている訳ではないので、違法ではないでしょうが、たった1日休んでも交通費なしとは。実質使うなと言っているようなものです。しかも、31日ある月もあれば、今月のように28日しかない月もあるのだから、出勤規定日数の制限を設けるにしても、せめて有休付与の法定制限と同じ条件(2月なら20日の8割で16日以上)にするのが筋でしょう。「有休使うな」とは法律上言えない以上は。
幾らこんな制限を設けても、誰しも病気になる時はなるので、全然歯止めにはなりません。寧ろ、こんな制限を設けている為に、無理して出勤して大怪我したり、余計に病気をこじらせて回復を遅らせてしまったり、他の従業員に感染させて欠勤者を更に増やす事にもなりかねない。労務管理上も有害無益な、こんな交通費支給規定を設けているのは、もう嫌がらせだけが目的だとしか思えません。
そう言えば、この前も朝礼で所長が、「同じ日に同じ部署から当日欠勤者が4名も出た、これでは出勤者でフォローしようにもしきれない、体調管理は自己責任で」と言っていましたが、これもよく考えれば矛盾だらけな訓示です。
「体調管理は自己管理」、つまり「病気になるのはお前が悪い」「病は気の持ちよう」と言う事ですが、「そんな理屈で済むなら医者なぞ要らない」。予防も大事ですが、それだけで病気は防げません。幾らマスクしようが栄養剤飲もうが筋力トレーニングしようが、病気にかかる時はかかるのです。
それも、かかりたくてかかった病気ではない。交通費も出なくなるし、みんなにも迷惑がかかる。でも、誰しも生身の人間である以上、幾ら予防してもかかる時はかかるし、それは「お互い様」で仕方のない事です。
「同じ日に同じ部署から当日欠勤者が4名も出た」のも、会社側の労働安全・衛生管理が不十分だからじゃないですか。長時間・過重労働がはびこる職場に腰痛やうつ病の、過労運転のばびこる運送会社に事故の、アスベストの飛び散る石綿工場に中皮腫の、原発の下請け労働者に白血病やガンの、被災者が多発するのと同じです。
そりゃあ、体力には個人差がありますから、同じ職場でも病気になり易い人となり難い人がいる。でも、なり難い人も、たまたま今は病状が外に出ていないだけであって、後で長年の無理がたたって一気に出てくるとも限らない。そんな中で、誰が休みが多いの少ないのと言い争っても、何の解決にもならない。「お前らたるんどる」と言わんばかりの物言いに至っては、正に「白を黒と言いくるめる」ものでしかない。
「出勤者でフォローしようにもしきれない」のも、会社がコストダウン至上主義で必要な人員も配置せず、カツカツの人件費で回そうとするからであって、労働者には何の責任もありません。
私の腰痛にしても、その幾分かは今の会社の労働環境に原因があるのは明らかです。別に今の会社だけに限らず、過去の職業病だとしても、そんな職業病患者を大量に生み出すような働き方を強いる企業社会の方こそ問題にすべきです。最近とかく槍玉に挙げられる肥満や喫煙などの生活習慣病なども、その大半はストレスや不規則勤務から来るものです。それを労働者の自己責任だけに求める昨今の風潮は、どう考えても異常です。
「病は気から」という精神論・根性論や、「何事も自己管理、自己責任」「それが出来ないお前が悪い」という自己責任論が、何故「百害あって一利なし」なのか。それは、その事によって、過重労働などの真の原因が隠蔽・先送りされてしまう事で、後により酷い事故となって跳ね返り、労働者にも企業にも莫大な損害を与える事になってしまうからです。
そもそも、日本以外の先進国では、病欠は有給休暇の対象にすらなりません。「Sick Leave」などの病欠休暇の名目で、有休とは別に付与されます。勿論、有給で。「取りたくて取る訳じゃない病欠を、取りたくて取る有休と一緒にされる筋合いはない」という理屈です。寧ろ「忌引き」に近い感覚なのでしょうね。日本でも流石に「親の死に目でも仕事に穴が空くから会社に出てこい」なんて理屈は通らないでしょう。但し、一部のブラック企業では、それすらまかり通るようですし、実際にうちの会社も、慶弔休暇は喪主にしか認められず、それ以外は全て有休で処理されてしまいます。
そのブラック企業も、「終身雇用・年功序列なのだから、多少の長時間労働やサービス残業は仕方ない」と、今まで企業を散々甘やかしてきた結果、「終身雇用・年功序列」がなくなり「長時間労働やサービス残業」だけが更に酷くなって出てきた問題です。
今、韓国の受験競争や中国の大気汚染・食品公害などが問題になっていますが、それも戦後日本の経済至上主義・公害垂れ流しを見習ったから。その中国の脅威を煽りながら、労働基準法を中国などのレベルにまで引き下げようとしているのが、今の日本の政府・財界です。
この政府・財界の態度なぞ、自分でマッチに火を付けておきながら火事だと騒ぎ立てる「マッチポンプ」の好例ですが、うちの会社もいつそんなブラック企業に豹変するとも限りません。しかし、いつまでもそれに甘んじていたら、最後には企業だけでなく労働者まで、「迷惑な日本人」として世界から白い目で見られるようになる事でしょう。