アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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人間を動物扱いするな!

2013年02月27日 16時55分42秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 一昨日の夜、腰痛で苦しんでいる時に、マイミクの「鈴木のびた」さんから私の携帯に電話がありました。ネットではなく携帯にわざわざ直接連絡してくるぐらいだから、よっぽど何かあったのだろうかと思いながら聞いてみると、自分の住んでいる兵庫県小野市で、下記の事態が進行中だとの事。「自分は生活保護受給者ではないが、自分の住んでいる町の市長が大変な事をやろうとしているのに、ローカルニュース故に、ネットで一部興味本位に話題になっているだけで、誰もこの事の本当の恐ろしさに気付いていない!」という話でした。

●生活保護費でパチンコだめ 兵庫・小野市が独自条例提案へ(神戸新聞)

 兵庫県小野市が、生活保護費や児童扶養手当を、パチンコなどで生活が維持できなくなるまで浪費することを禁止する条例案を27日から始まる市議会に提案する方針であることが22日、分かった。
 小野市によると、条例案は受給者の責務として「パチンコ、競輪、競馬などに費消し、生活が維持できなくなる事態を招いてはならない」と具体的に明記。市民が不正受給や浪費を見つけた場合、速やかな情報提供を求めている。不正は警察官OBが調査し、改善を目指すという。罰則はないが、改善されなければ最終的には支給を止める。(以上引用)
 http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201302/0005760300.shtml

●小野市:生活保護に適正化条例案 情報提供、市民に求める/兵庫(毎日新聞 播磨・姫路版)

 小野市は、生活保護や児童扶養手当といった公的給付受給者の生活の自立を促すことを掲げ「市福祉給付制度適正化条例」を定める方針を決めた。地域での支援や情報提供を「市民の責務」として市民の関わりを促す仕組みをつくり、困窮状態であっても受給が漏れている「漏給」や、パチンコなどの常習化で自立が難しくなっているケースの防止、改善を図る、としている。
 条例案は4月施行を目指し、27日開会の定例市議会に提案。公的給付の適正化に関わる条例案は県内で初めて。小野市は「現在の受給者への配慮を求める意見なども含め、賛否両論になる可能性がある」としている。
 条文では、市民の責務としては情報提供を示し、不正受給の疑いのほか「パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博などに費消」し、生活に支障が出ている状況を「常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供する」とした。提供情報は実態調査する。学識者らによる協議会も設置し福祉制度の適正な運用も図る。市内の11年度の生活保護受給世帯は122世帯(世帯人員156人)。不正受給は直近では09年度の1件という。
 条例案について、厚生労働省社会保障審議会の生活保護基準部会委員を務める道中隆・関西国際大教授(社会保障論)は「適性化を検討する姿勢は評価できる」としながらも、情報提供は「漏給防止では一定の効果が期待できても、不適切な費消では、そもそも受給者か否かは個人情報に当たり情報提供が可能かどうか有効性が疑わしく、条例化の目的が問われる」と話し「現行法令の運用で家庭訪問などの体制を整えることが大切ではないか」と指摘している。(以上引用)
 http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130222ddlk28010451000c.html

 丁度腰痛で苦しんでいる時だったので、その時は早々に電話を切ってしまいました。鈴木さん、若し気を悪くされていたらゴメンナサイ。
 その後、昨日に会社を休んで医者に診て貰い、薬も処方して貰ったので、腰痛もかなりマシになりました。その翌日の今日も、元々の定休日で休みなので、鈴木さんからの情報を基に、私の方でも色々と調べてみる事にしました。

●小野市の「生活保護でギャンブル禁止」条例 「なんて素晴らしい」「監視社会化が進む」の賛否両論(J-CASTニュース)
 http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0225/jc_130225_7993797778.html 
 確かに「小野市 生活保護 ギャンブル」で検索してみると、上記ニュースなどで話題になっている事が分かります。でも、その大半は、「生活保護」の「ギャンブル」消費の是非についての賛否両論(それも賛成のニュアンスの強い)しか取り上げていませんでした。
 しかし、上記の新聞記事にもあるように、これは単に生活保護だけに限った問題ではありません。「児童福祉手当」や家賃補助などの「公的給付受給者」全てに対して、ギャンブル以外の「遊技、遊興」、つまり釣りやスポーツ、映画鑑賞、読書などの個人の趣味も含め、「無駄遣い」の通報・監視の対象とするものである事が分かります。(条例案の全文を参照の事)
 更に小野市のHPを見ると、市長や市の行政が、福祉制度の受給者に対して、どういう態度で臨んでいるかが、はっきりと分かります。

●生活保護制度(小野市HP)

1 制度の趣旨
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
2 保護の要件等
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提であり、また、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
(1)資産の活用
  預貯金、生活に利用されていない土地・家屋、生命保険の解約返戻金等があれば、売却、解約し生活費に充ててください。
  自動車は原則所有・使用は認められていません。
(2)能力の活用
  働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。
(3)あらゆるものの活用
  年金や手当等他の制度でうけることができる場合は、まずそれらを活用してください。
(4)扶養義務者の扶養
  親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
3 保護の種類(略)
4 生活保護の手続き
(1)事前の相談
  社会福祉課にご相談ください。生活に困っている状況をお聞きしたり、活用できる制度、生活保護の制度についてご説明します。
(2)申請・調査
  生活保護の申請をされた方について実地調査、預貯金、保険、不動産等の資産調査、扶養義務者による扶養の可否の調査、就労の可能性の調査を行います。
(3)支給決定
  厚生労働大臣が定める基準に基づく最低生活費から収入を引いた金額を支給します。
  保護受給中は自立を支援するために担当ケースワーカーから指導指示があります。
  就労の可能性のある方は、就労に向けた助言・指導を行います。 
世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用されます。
・保護が受けられる場合
・保護が受けられない場合(収入が最低生活費を上回るため)(注:当該HPではそれぞれに図まで付けて解説)(以上引用)
 http://www.city.ono.hyogo.jp/p/1/8/26/7/01/

 はっきり言って、「あれもダメ、これもダメ」のオンパレードじゃないですか。お役所のHPなので、民間の福祉団体・市民団体のような事は書けないにしても、もう少し生活保護の趣旨なり、それを闘い取るまでの歴史(朝日訴訟の話など)も解説した上で、「同じ市民として自立に向けて頑張ろう」というメッセージ位は、あって然るべきではないでしょうか。それが何ですか。これでは完全に厄介者扱いじゃないですか!

 例の芸能人の不正保護受給事件を契機に、生活保護の削減やあら捜しの風潮が強まっています。実際は、生活保護されて然るべき貧困者が制度の埒外に放置されている「漏給」こそが問題なのに(当ブログの過去記事なども参照の事)。
 その中では、「不正受給によって、本当に救われなければならない”真の弱者”が困っている」「”真の弱者”とそうでない”ニセ弱者”をきちんと選別すべきだ」との議論が、まことしやかに語られています。

 しかし、この小野市のHPを見ると、”真の弱者”が一体どういう扱いを受けているかが、はっきりと分かります。
 人口4万9千余、世帯数1万6千余の自治体の中の、僅か120世帯の生活保護受給者に対して、励ましの言葉をかけるどころか、市が率先して、警察官OBも動員して「あら捜し」を奨励しているのです。これでは、かつてのナチスドイツのユダヤ人に対する扱いや、南アフリカのアパルトヘイト、北朝鮮の強制収容所に入れられた政治犯収容者、ハンセン病隔離施設に入れられた人々に対する扱いと同じじゃないですか!
 かつてナチスがユダヤ人に犯罪者・不具者のレッテルを張り、「働けば自由になる(ARBEIT MACHT FREI)」と騙して強制収容所に隔離した。今の生活保護者への監視・レッテル張りや、「税金で面倒見てやってんだから早く自立しろ、生かしてやっているだけでも有難く思え」と言わんばかりの風潮も、当時のナチスと同じじゃないですか!一気にガス室で殺してしまうか、じわじわと飼い殺しにしていくかの違いだけで。

  
 ※画像はいずれもウィキペディアの強制収容所(ナチス)の項目より。

 「現金で渡すとギャンブルに使ってしまうから、食料などの現物支給に切り替えろ」という議論も、まことしやかに語られていますが、これなぞも「最低限のエサさえ与えておけば良い」という扱いに他なりません。
 しかし、果たして人間は動物なのか。ギャンブルや趣味のどこまでが「最低限度の健康で文化的な生活」で、どこからが「浪費」なのかという議論をする前に、そもそも「受給者を人間扱いしているのか」という、議論する人間のモラルこそが問われなければならないのと違いますか。
 「福祉のパラドックス」という言葉があります。「真の弱者」と「ニセ弱者」を選別し、「真の弱者だけが救われなければならない」という議論は、一見「真の弱者」を慮っているようで、実際は「真の弱者」の人権や尊厳を損ない、憐みや見世物の対象にしているだけだという事を言い表した比喩です。

 困窮者に最低限の「エサ」だけ与えといて、税金で面倒見て貰っているのだから、一刻も早く自立しろ。どんな時給の安いキツイ仕事でも、斡旋してくれただけマシだと思え。嫌ならホームレスになって暴走族の餌食にでもなれ・・・これが生活保護削減を支持する人間の本音です。いや生活保護だけに限りません。失業者・障害者・高齢者・母子家庭・奨学生・ニート・スネップ・ワーキングプアなど、およそ公的福祉制度のお世話にならざるを得ない人々全てに対する、この国の支配層・付和雷同層の本音です。
 しかし、果たしてこんな国がまともな国でしょうか。安倍の言う「美しい国」でしょうか。こんな支配層・付和雷同層の本音をそのままにして、「絆」がどうの「助け合い」がこうのと言える資格が、果たしてこの国の国民にあるのでしょうか。
 まだ腰痛が完治していないのでこれ位にしておきますが、これで私の言わんとする事は充分汲み取って頂けるのではないかと思います。
コメント (1)
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