6月23日に投開票された東京都議選の結果について、思う所を簡単に書いておきたい。
まず投票率だが、参院選の前哨戦と言われた割には盛り上がらず、前回を10.99ポイントも下回る43.5%に止まった。これは、石原都政から猪瀬都政に昨年変わったばかりでまだ日も浅く、都政の身近な話題が後景に押しやられたからではないか。
そして開票結果は、自民党が39→59議席(+20)、公明党が23議席で変わらず、共産党が8→17議席(+9)、民主党が43→15議席(-28)、みんなの党が1→7議席(+6)、生活者ネットが2→3議席(+1)、日本維新の会が3→2議席(-1)で、生活の党・社民党・みどりの風は今回も議席獲得ならず、という結果に終わった。(都議会定数127、うち前回は欠員2)
この東京都議選だが、結果は私の予想を遥かに超えるものだった。
まず民主党惨敗と自民党圧勝、自公で議会の安定多数確保については、至極残念な結果ではあるが、これは当然私も折り込み済みだ。民主党が、せっかく自民党政治からの転換を訴えて政権交代を実現しておきながら、結局は自民党と何ら変わらなかったのだから、有権者の怒りを買うのは当然だ。それで自民圧勝の結果についても、「じゃあ、あの時の政権交代は何だったの?」という思いはあるが、一般庶民にとっては「不安定な民主党と比べたら、まだ色々不満はあっても安定した自民党の方がマシ」位の感覚なのだろう。アベノミクス幻想の効果もあって。
日本維新の会の停滞も予想の範囲内。あれだけ橋下の慰安婦発言や「たちあがれ日本」との野合で信用を失ったら、もう挽回は不可能だろう。しかし、当初はここまで維新が落ちぶれるとは思ってもみなかった。ついこの間までは、飛ぶ鳥も落とす勢いだったのだから。橋下の慰安婦発言が出てきた時も、近年の慰安婦バッシングや右傾化の風潮からは、寧ろ擁護の声が出て来るものと警戒していた。それが、橋下が単なる過去の歴史認識の範囲を超えて、現代の米軍司令官にも風俗活用を勧めてしまったものだから、世論も現代女性への侮辱と受け取ってしまったのだろう。女性有権者全てを敵に回してしまったら、幾ら自民党でも選挙には勝てない。もはや政権復帰後の自民党にとっては橋下も維新もご用済み、という事で「橋下切り」に出てきたのだ。
それ以上に私の予想を遥かに超えたのが共産党の躍進だった。議案提出権奪還(11議席)の目標を遥かに上回る議席倍増なぞ予想だにしなかった。
共産党が強かったのは遥か昔の70年代。ソ連や日本社会党もなくなり、大きな革新自治体も失った今はもう、自民・民主の二大政党や”第三極”維新の後塵を拝するばかりだった。
だから、「共産党躍進」のニュースを聞いても俄かには信じられなかった。今回は、たまたま低投票率と野党乱立に助けられただけだったのだろうと思っていた。実際、下記の菅原琢氏による前回都議選との比較分析でも、共産党の得票は得票比(相対得票率)では微増にしか過ぎず(12.6→13.6%で+1.0ポイント)、有権者比(絶対得票率)では寧ろ減少している(6.8→5.8%で-1.0ポイント)。選挙区別の動向を見ても、新議席を獲得したのは、大抵定数3以上の中選挙区での民主党や維新による候補者乱立・共倒れに助けられた所が殆どだ。そもそも、12.6%も得票を得ながら8議席しか取れなかった前回自体が取りこぼし過ぎで、一定の議席回復は寧ろ当然の帰結ではないかという気もする。
但し、それを言うなら自民党も同様で、相対得票率こそ25.9→36.0%と10.1ポイントもの伸びを示すものの、絶対得票率では13.9→15.4%と僅か1.5ポイントの伸びに止まっているが。
他方で、また別のデータもある。
下記のNHK出口調査の結果では、無党派層の中では、共産党は18%もの支持を獲得している。自民党の22%、民主党の20%と並ぶ結果になっているのだ。それに比べたら、維新なぞ10%しかない。勿論、普段は支持政党なしで今回たまたま共産党を支持した人たちの動向なので、先の事は分からない。しかし、それでも、今回棄権に回った膨大な無党派層の中の一部とは言え、わざわざ投票所に足を運び、決してメジャーとは言えない共産党に敢えて投票する。それが実際に、選挙予測の固さでは定評のあるNHKの出口調査に、既に現れているという事実は、決して小さくはないと思う。
この二つのデータから推測すると、無党派層も含め、民主党や維新に幻滅した層の大半が棄権に回る一方で、比較的保守的な層は自民党に、ネオリベ層はみんなの党に流れ、革新的な層は90年代後半のように再び共産党支持に戻りつつあるのではないか。
安倍内閣や自民党、その経済政策のアベノミクスに対する支持率は依然として高い。その一方で、アベノミクスや憲法改正、TPPの中身について知っている人は余りいない。よく分からないものに期待半分で縋って、何となく支持しているに過ぎないのが実態だ。思うに、少し前までの橋下・石原や維新の会、大阪都構想への支持も、これと同じだったのではないか。見かけだけはものすごく強そうに見えるが、実際は見かけ倒しの「張り子の虎」「幽霊の正体見れば枯れ尾花」にしか過ぎなかった。今の安倍自民党も、民主党や維新の会と同じ道をたどるのは早晩確実だ。
勿論、油断は禁物だ。今はもう革新自治体や民主連合政府の時代ではない。それどころか、憲法すら改悪されようとしている。もう悠長に構えている余裕なぞないのだ。しかし、そういう中でも、変革への新たなうねりが起こっているのは確かだ。
もうこれ以上、橋下・石原や安倍・ワタミのような輩に、好き勝手にさせる訳にはいかない。もう自民も、上辺だけ「反自民」を装った第二自民も沢山だ。今度こそ真の政権交代=保革逆転を実現しなければならない。
まず投票率だが、参院選の前哨戦と言われた割には盛り上がらず、前回を10.99ポイントも下回る43.5%に止まった。これは、石原都政から猪瀬都政に昨年変わったばかりでまだ日も浅く、都政の身近な話題が後景に押しやられたからではないか。
そして開票結果は、自民党が39→59議席(+20)、公明党が23議席で変わらず、共産党が8→17議席(+9)、民主党が43→15議席(-28)、みんなの党が1→7議席(+6)、生活者ネットが2→3議席(+1)、日本維新の会が3→2議席(-1)で、生活の党・社民党・みどりの風は今回も議席獲得ならず、という結果に終わった。(都議会定数127、うち前回は欠員2)
この東京都議選だが、結果は私の予想を遥かに超えるものだった。
まず民主党惨敗と自民党圧勝、自公で議会の安定多数確保については、至極残念な結果ではあるが、これは当然私も折り込み済みだ。民主党が、せっかく自民党政治からの転換を訴えて政権交代を実現しておきながら、結局は自民党と何ら変わらなかったのだから、有権者の怒りを買うのは当然だ。それで自民圧勝の結果についても、「じゃあ、あの時の政権交代は何だったの?」という思いはあるが、一般庶民にとっては「不安定な民主党と比べたら、まだ色々不満はあっても安定した自民党の方がマシ」位の感覚なのだろう。アベノミクス幻想の効果もあって。
日本維新の会の停滞も予想の範囲内。あれだけ橋下の慰安婦発言や「たちあがれ日本」との野合で信用を失ったら、もう挽回は不可能だろう。しかし、当初はここまで維新が落ちぶれるとは思ってもみなかった。ついこの間までは、飛ぶ鳥も落とす勢いだったのだから。橋下の慰安婦発言が出てきた時も、近年の慰安婦バッシングや右傾化の風潮からは、寧ろ擁護の声が出て来るものと警戒していた。それが、橋下が単なる過去の歴史認識の範囲を超えて、現代の米軍司令官にも風俗活用を勧めてしまったものだから、世論も現代女性への侮辱と受け取ってしまったのだろう。女性有権者全てを敵に回してしまったら、幾ら自民党でも選挙には勝てない。もはや政権復帰後の自民党にとっては橋下も維新もご用済み、という事で「橋下切り」に出てきたのだ。
それ以上に私の予想を遥かに超えたのが共産党の躍進だった。議案提出権奪還(11議席)の目標を遥かに上回る議席倍増なぞ予想だにしなかった。
共産党が強かったのは遥か昔の70年代。ソ連や日本社会党もなくなり、大きな革新自治体も失った今はもう、自民・民主の二大政党や”第三極”維新の後塵を拝するばかりだった。
だから、「共産党躍進」のニュースを聞いても俄かには信じられなかった。今回は、たまたま低投票率と野党乱立に助けられただけだったのだろうと思っていた。実際、下記の菅原琢氏による前回都議選との比較分析でも、共産党の得票は得票比(相対得票率)では微増にしか過ぎず(12.6→13.6%で+1.0ポイント)、有権者比(絶対得票率)では寧ろ減少している(6.8→5.8%で-1.0ポイント)。選挙区別の動向を見ても、新議席を獲得したのは、大抵定数3以上の中選挙区での民主党や維新による候補者乱立・共倒れに助けられた所が殆どだ。そもそも、12.6%も得票を得ながら8議席しか取れなかった前回自体が取りこぼし過ぎで、一定の議席回復は寧ろ当然の帰結ではないかという気もする。
但し、それを言うなら自民党も同様で、相対得票率こそ25.9→36.0%と10.1ポイントもの伸びを示すものの、絶対得票率では13.9→15.4%と僅か1.5ポイントの伸びに止まっているが。
他方で、また別のデータもある。
下記のNHK出口調査の結果では、無党派層の中では、共産党は18%もの支持を獲得している。自民党の22%、民主党の20%と並ぶ結果になっているのだ。それに比べたら、維新なぞ10%しかない。勿論、普段は支持政党なしで今回たまたま共産党を支持した人たちの動向なので、先の事は分からない。しかし、それでも、今回棄権に回った膨大な無党派層の中の一部とは言え、わざわざ投票所に足を運び、決してメジャーとは言えない共産党に敢えて投票する。それが実際に、選挙予測の固さでは定評のあるNHKの出口調査に、既に現れているという事実は、決して小さくはないと思う。
この二つのデータから推測すると、無党派層も含め、民主党や維新に幻滅した層の大半が棄権に回る一方で、比較的保守的な層は自民党に、ネオリベ層はみんなの党に流れ、革新的な層は90年代後半のように再び共産党支持に戻りつつあるのではないか。
安倍内閣や自民党、その経済政策のアベノミクスに対する支持率は依然として高い。その一方で、アベノミクスや憲法改正、TPPの中身について知っている人は余りいない。よく分からないものに期待半分で縋って、何となく支持しているに過ぎないのが実態だ。思うに、少し前までの橋下・石原や維新の会、大阪都構想への支持も、これと同じだったのではないか。見かけだけはものすごく強そうに見えるが、実際は見かけ倒しの「張り子の虎」「幽霊の正体見れば枯れ尾花」にしか過ぎなかった。今の安倍自民党も、民主党や維新の会と同じ道をたどるのは早晩確実だ。
勿論、油断は禁物だ。今はもう革新自治体や民主連合政府の時代ではない。それどころか、憲法すら改悪されようとしている。もう悠長に構えている余裕なぞないのだ。しかし、そういう中でも、変革への新たなうねりが起こっているのは確かだ。
もうこれ以上、橋下・石原や安倍・ワタミのような輩に、好き勝手にさせる訳にはいかない。もう自民も、上辺だけ「反自民」を装った第二自民も沢山だ。今度こそ真の政権交代=保革逆転を実現しなければならない。