アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

死神の正体1―戦争・格差社会の推進者

2008年11月03日 01時26分18秒 | 麻生政権で自民終了
・空自トップを更迭 懸賞論文で「日本の侵略ぬれぎぬ」(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/politics/update/1031/TKY200810310298.html
・田母神論文「日本は侵略国家であったのか」全文(アパ・グループHP)
 http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
・田母神論文は自民党の本音?!~「航空自衛隊を元気にする10の提言」にもかかわらず任命した責任は重い(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊))
 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7036d48f07eab2d4b93fb4bf2cc25273

 もういい加減にしてくれ、ほんまに。ついこの間も、「バカ山ナチ彬」(中山成彬)とかいう大臣が、自分の省庁の仕事もそっちのけに、特異なファシスト史観に基づく妄言をわめき散らして、辞職に追い込まれたばかりじゃないか。それでまた、次は「死神トシオ」(田母神俊雄)かよ。
 こっちは毎日食っていくので精一杯だというのに、そんな庶民の生活実感とはかけ離れた所で、暇と金を持て余したヌクヌク保守のバカウヨどもが、イッパシの国士気取りで、俺らの払った税金の上に胡坐をかいて、自分勝手な妄想に基づく「愛国」ごっこに耽って。それで、俺らワーキングプアが政治どころではないのを良い事に、万年一日の如く、「権利主張する奴は、公徳心の無い反日分子で、コミンテルン・中国・北朝鮮の手先」云々とかいう、セカンドレイプ紛いの言説ばかり撒き散らしやがって。今の政府・自民党というのは、こんな奴ばかりかよ。

 その「死神」論文も一応目を通したけれど、もう書いている事がムチャクチャじゃないか。
 簡単に言えば、(1)過去に日本がやった戦争は侵略ではない、(2)ソ連・コミンテルンの陰謀と、それにそそのかされた中国の蒋介石や、米国のルーズベルトが仕掛けてきた謀略戦に、日本は逆に巻き込まれただけだ、(3)日本の植民地統治は搾取や帝国主義ではなかった―というのが、当該論文の要旨だ。

 「コミンテルン」陰謀説は、「新しい歴史教科書をつくる会」の完全な請け売り。事実、これらの人士たちは、226事件までコミンテルン(国際共産主義運動)の陰謀だと主張しているのだから。その根拠と言うのが、226事件クーデター首謀者の精神的指導者だった右翼の北一輝が「国家社会主義」や「私有財産制の廃止」を唱えたから、というだけに過ぎないのだから、笑わせる。
 北一輝は北なりの右翼の論理で、世界大恐慌後の当時の社会矛盾を批判したまでであって、コミンテルンなどとは何の関係も無いのに。それを、ただ単に「社会主義」の名前が出てくるから、当時のソ連やコミンテルンのスパイだったと、言い張っているのに過ぎない。その伝で行けば、ナチス・ドイツもソ連の手先になってしまうわなw。

 「日本の植民地統治は搾取や帝国主義ではなかった」というのも、大ウソ。植民地化というのは、謂わば近代化(資本主義化)という事だから、生産力が飛躍的に増加するのは当たり前。幾ら「鉄道や学校を作ってやった」と言っても、それが誰のために使われたかが問題なのだ。何だかんだ言っても、土地も資源も全部本国のものになってしまったのは事実じゃないか。
 「朝鮮人の国会議員や軍人もいた」というのも、全部親日派の傀儡(かいらい=操り人形)で固めただけに過ぎない。帝国主義者が、自分たちの手飼いの人士を育成して、同化政策の尖兵として植民地統治に利用する。それは日本も他の欧米列強と同様で、例外では無かったというだけ。

 当時の日本の根本的な悲劇は、「コミンテルン」の所為でも何でも無い。偏に、第一次大戦後の、既に中国・インド・東南アジアなどで民族独立運動が本格的に始まっていた時代に、19世紀の「征韓論」「日清・日露戦争」そのまんまの旧態依然たる感覚で、アジアを引き続き支配しようとした事にある。世界は既に、弱肉強食一色の帝国主義からは脱皮し始めようとしていたのにも関わらず。
 そんな事は、当時の多くのアジア諸国指導者も、とっくに見抜いていた。例えば、インド初代首相のネルーは、自著「父が子に語る世界歴史」の中でこう述べている。日露戦争の勝利で一度は期待を寄せた日本も、その後の韓国併合によって、所詮は欧米帝国主義と同じ穴のムジナでしか無かった事を思い知らされた、と。また、ベトナム独立運動指導者ホーチミンも、独立宣言の中でこう述べている。ベトナムの独立は、フランス革命や人権宣言の理想を真に継承発展させたものであり、日・仏両帝国主義との戦いを通して勝ち取られたものである、と。それは、NHK「映像の世紀」などの市販のDVDを見れば、直ぐに分かる事だ。

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 その国際情勢の変化には、植民地宗主国の欧米本国でも民衆の闘いによって、8時間労働制や婦人参政権が確立され、国内政治の民主化が進んでいた事も影響している。20世紀が別名「民衆の世紀」と呼ばれる所以だ。翻って、戦前日本はどうだったか。主権在民、民主主義、男女平等、8時間労働制、婦人参政権、いずれも皆無だった。だから、侵略を食い止めることが出来ずに、とうとうアジアからも欧米からも孤立して、最後には原爆まで落とされる破目になってしまったのだ。

 日本が東南アジアにまで戦場を拡大したのも、あくまで戦争遂行の為の資源獲得が目的である。それは、「帝国国策要綱」など当時の公式文書などからも明らかだ。第二次大戦後にアジア諸国が相次いで独立を達成したのは、それまでの民族運動の発展に加え、アジアでは戦争で欧米も日本も疲弊しきっていたからだ。「大東亜共栄圏」なんて後付の口実にしか過ぎない。
 「世界に先駆けて人種差別撤廃を主張した」と言うのも、肝心の自国内で在日朝鮮人・中国人を思いっきり差別していたのだから、何の説得力も持ち得ない。要は、自分たち日本人だけ名誉白人として遇してもらいたかっただけじゃないか。

 勿論、日本と戦った連合国にも数々の誤りはあった。国際法違反の原爆投下や、ソ連の千島占領・日本人捕虜抑留などはその一例だ。しかし、だからといって、その事で日本がやった事を帳消しには決して出来ない。況してや、その全てをコミンテルンの陰謀一色に塗り固めてしまうに至っては、もうまるで勝共連合やオウムと同レベルの与太話でしかない。今日びのネットウヨクでも、もう少しマシなウソをつく。
 こんな与太話にも関わらず、300万円もの懸賞金をせしめる事が出来たのは、懸賞論文応募先のマンション経営企業の代表が、「死神」と同レベルの人物だったからに過ぎない。つまり、最初からマッチポンプの出来レースでしかなかったという事。この企業は耐震偽装でも名前が出てくる所らしいが、こんな会社では、どうせ従業員の人権なども、在って無いようなものだろう。

 残念ながら、そんなバカウヨの妄言に同調する単純な奴らも、まだまだ少なくはないのは確かだ。―「自分たちが解雇されるのは、中国人が自分たちの仕事を横取りするからだ。」「このままでは日本は中国に呑み込まれてしまう。日本の国を守れ。」「最低賃金上げろ、賃金ピンハネ止めろ、名ばかり管理職にきちんと残業代払え・・・とか言って、企業や国に楯突く奴らは、非国民でコミンテルンの手先だ」―とね。
 そういう単純な奴らも、実は我々と同様で、日々食い繋ぐのに精一杯で、新聞読む時間も無いし購読するだけの金も持っていないから、ついついそういう無内容な単純話に引き込まれてしまい、日頃の鬱憤をそっちにぶつけてしまうのだ。

 格差社会の元凶を作った米国や日本の政府・財界にとっては、そんなバカウヨの存在は正しく「願ったり適ったり」だ。格差社会に対する不満や怒りの矛先が、「コミンテルン・中国・北朝鮮」に向く事で、自分たちが今まで散々してきた賃金ピンハネ、偽装請負、労災隠し、パワハラ・セクハラ、不当労働行為やらの悪事を、一時的にでも覆い隠す事が出来るからな。
 それが「政府・財界御用」や「ガス抜き」のレベルに止まる限り、バカウヨは今後も「資本主義の用心棒」として重宝される。ただ、余りにもその妄想が現実離れし過ぎて、世論や外国から顰蹙を買ったり、自分たちの金儲けの邪魔にもなりだすと、流石に政府・財界としても困るので、その時は適当にセーブしたり、トカゲの尻尾切りで逃げ果す。

 VS 

 勿論、戦前の「蟹工船」の闘いも、今の「最低賃金上げろ、賃金ピンハネ止めろ、名ばかり管理職にきちんと残業代払え」というワーキングプアの闘いも、人間としての当然の権利要求に基づくものであり、「コミンテルン」やら「中国・北朝鮮」なんて、そもそも全然関係ないのだが。
 確かに、戦前の「蟹工船」などの闘いを指導した共産党員の中には、「コミンテルン」に関わった人たちもいたし、その「コミンテルン」自身も、今から考えれば、ソ連が他国の闘いを指導するという、本来対等・平等であるべき国際連帯の原則から外れた部分があった事は事実だ。しかし、そういう誤りも、やがて闘う人たち自身の力で是正されていった。今や「コミンテルン」なんて何処にも無い。

 そして、今の「中国・北朝鮮」にしても、それの何処がイケナイかというと、当該国人民の基本的人権が蹂躙されている事が問題なのだろうが。だから、それを批判する場合も、あくまで人権や民主主義の立場で、或いは「共に搾取されている者同士の国際連帯」の立場から、論じられなければならない筈だ。
 其処を取り違えて、当の自分たちが蒙っている権利侵害には頬かむりしたまま、「満州事変も南京大虐殺も侵略では無かった」とか、「日本人の職を奪うチャンコロをやっつけろ!」とかいうトンデモ言説を喚いても、何の解決にもならない。その陰で政府・財界がほくそ笑むだけだ。
 更に傑作なのは、二言目には「中国・北朝鮮」云々をいうバカウヨの連中が、この日本では男女平等や情報公開や、公道を自由に歩く権利や、休日にビラを撒く権利や、その他の労働者・人間としての当然の権利要求を、悉く敵視しているという現実だ。「中国・北朝鮮」云々する奴らが、日本では逆に「中国・北朝鮮」化のお先棒担ぎをしているのだから、笑わせる。

 バカウヨの言う「愛国」というのも、あれはニセ「愛国」であって、本物の其れではない。若しそれが、「郷土とそこに住む人々を愛す」という本来の意味での「愛国」を意味するなら、訳の分からない戦争を米国から吹っかけられて国土を蹂躙されているイラクの人々に対しても、共感を示し共に連帯を表明しなければウソになる。まかり間違えても、日本の現憲法のみならず国際法から見ても違法でしかない、イラク戦争への加担や其処への自衛隊派兵を断罪した裁判所の違憲判決に対して、「そんなの関係ねぇ」の捨て台詞で切って捨てるという対応など、出てくる筈が無い。
 ところが、そういう態度を平気で取れるという、この一事で以ってしても、こいつらのいう「愛国」なるものが、相当胡散臭い代物である事は明らかだ。「たとえ他国の人民が犠牲になっても、日本国家さえ生き延びればそれで良い」「イラクの石油を手に入れて、兵器を売りさばく事が出来さえすれば、それで良い」―大方こんな所だろう。しかし、それではもはや真の「愛国」とは言えない。ただの「自国エゴ」でしかない。「一国平和主義」という悪罵も、本来はこいつらに向けられるべきものだ。

 日本が良くなって欲しいからこそ、至らない点については徹底的に批判して良くして行くのが、本当の「愛国者」じゃないのか。そうでない「愛国者」なんて、ただの「政府・財界のイヌ」である。日本を「中国・北朝鮮」みたいな国にしない為にも、こいつらのウソは徹底的に暴かれなければならない。

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