出典:’08年12月19日付時事通信
出典:’08年11月28日付日経新聞夕刊
・麻生首相また…若者に的外れ発言(サンケイスポーツ)
>麻生太郎首相(68)は19日、東京都渋谷区のハローワーク渋谷を訪れ、非正規労働者向けの緊急特別相談窓口を視察した。
>首相は職を探す若者に「何かありませんかと言うんじゃ仕事は見つからない。目的意識がないと雇う方もその気にならない。何をやりたいか決めないと就職は難しい」と声を掛けた。目的があっても仕事を見つけるのが困難な雇用危機の最中だけに、発言は「的外れ」との批判も出そうだ。
http://www.sanspo.com/shakai/news/081220/sha0812200502005-n1.htm
まあ、次から次へと性懲りもなく。これじゃあ、内閣支持率が16.7%に急落するのも当然です。私も、流石にここまで下がるとは思っていませんでしたが、この調子では、1割を切るのもそう遠くないなと、今では思い始めています。
確かに、一般論で言えば、麻生の言う事も一理はあります。私が企業の採用担当者ならば、やっぱりこんな事を言う人よりも、明確な志望動機を述べた人の方を、採用します。但し、それはあくまでも「企業の立場に立てば」という限定付きでの話です。
人にはそれぞれ立場というものがあり、それは人によっても違います。失業者の立場に立てば逆に、仕事を選り好みなどしていられない昨今の求職状況を考えれば、「何でも良いから仕事にあり就きたい」「仕事内容や志望動機などは二の次だ、とにかく今日明日を食いつなぐ金が欲しい」というのは、寧ろ全失業者の偽らざる本音ではないでしょうか。
前号エントリーのコメント欄でも書きましたが、麻生が問題なのは、そういう企業の思惑や失業者の本音も含めて、総合的に判断しなければならない一国の総理という立場にいるにも関わらず、こんな「居酒屋でクダを撒いているバカウヨ封建オヤジの愚痴」みたいな事しか言えないからで、そんな「漫画」振りに、みんな愛想を尽かしてしまっているのでしょうが。
現に、麻生にこんな事を言われた求職者の方も、契約期間内にも関わらず一方的に解雇を言い渡されて、わざわざ北海道から出てきた派遣労働者だったというではありませんか。そうして失意の内に職探しを始めた矢先に、またよりによって一国の総理から、何でこんな事を言われなければならないのか。こんなもの、100%政治(つまり麻生)の責任です。
寧ろ、こんな「自称・経済通」(その実態は斯くの如し)よりも、中小企業の第一線の現場で働いている人たちの方が、よっぽど今の失業者の置かれた状況を、身を以って理解しているのではないでしょうか。
そう言えば、かつて私がバイト探しをしていた時にも、こういう事がありました。確か生協を退職した翌年ぐらいの、繋ぎのバイトを探している時期でした。臨海部にある化学工場の業務請負の現場に、面接に行った時の事です。
人間誰しもそうだと思うのですが、こういう状況下で書いた履歴書って、「多少無理してでも自分を良く見せよう」という風になるじゃあないですか。曰く、どこそこの大学を出て、専攻はこれこれで、前職ではそれなりに頑張って来て、これこれの資格も取って、失業中は専門学校にも通って、今では自分のHPも持って、御社の志望動機はこれこれで・・・という様に。
勿論そこに列挙された個々の事実は、経歴詐称でも何でもない、全て本当の事だったのですが、そういう「過度の自己アピール」が、逆に裏目に出る事もあるのです。
その時も実際そうでした。私の履歴書を見た面接担当者が言うには、「経歴が立派過ぎてウチでは雇えない」と。勿論、実際はこんな直截な物の言い方ではなく、もっと遠回しな言い方でしたが、言っている事は確かそういう事でした。「何か仕事ありませんか」と食い詰めた人ばかりのウチの職場では、貴方の様な人は逆に浮いてしまう、と。
それまでにも、やれ年齢がいっているとか、ブラインド・タッチも出来ないのかとか、そういう理由で断られた事はありましたが、「立派過ぎて雇えない」なんて断られ方をしたのは、後にも先にもこれが初めてでした。その時は、「別に東大出でもなければ、情報処理の資格を持っている訳でもない、資格といっても、たかだかフォークリフトの運転免許ぐらいしか無いのに、世の中にはそんな捉え方もあるのかなあ」ぐらいにしか思いませんでしたが、今から思えば、したり顔で「何かありませんかと言うんじゃ仕事は見つからない」などのの給うどこかの国の総理大臣よりも、この中小企業の面接担当者の方が、よっぽど経済の状況や庶民の実情に精通していたのではと、思う事しきりです。
一体全体、最初から「食うためには何でも良い」と言わざるを得ないような仕事に就きたい人なぞ、誰がいますか。誰しも、自分のしたい、やりがいのある仕事で飯を食っていけるなら、そっちの方を選ぶのに決まっているでしょうが。ところがそれが出来ず、「食うためには何でも良い」仕事にしか就けなかったり、そういう仕事にすら就けないのは、個人の責任ですか。そりゃあ、個人の責任もあります。しかし、とりわけ今の状況では、8~9割方は政治の、もっとはっきり言えば麻生を始めとする与党の責任でしょうが。
その何よりの証拠に、仕事に就けない人が多くいる一方で、介護や医療の様に、人が集まらず次々に廃業に追い込まれている職種もあります。それは、その職種のニーズがないからではなくて、せっかくニーズがあるのに、介護報酬が意図的に低く抑えられていたりなどの政策的な理由で、産業として成り立たなくなっているからではないですか。財源はあるのに、それを介護や医療に回されずに、ミサイル防衛や思いやり予算や諫早干拓やスーパー中枢港湾や高級官僚の天下りや政党助成金などの、バラマキに使われているからでしょうが。こんなもの、何度も言いますが、100%政治(麻生)の責任です。
麻生から「何かありませんかと言うんじゃ・・・目的意識がないと・・・」云々と言われた人は、次に麻生に会ったら、こう言い返してやれば良い。「何も出来ないしやる気もないくせに、やってます、やってますと言うだけじゃあ、誰も見向きもしない。目的意識もなく、ただ私利私欲だけで動いている奴なぞ、誰が支持するか。まともな政策をやってくれないと、本当に泡沫政党に転落するぞ」とw。