昨日、出勤途上に旧あいりんセンター前で全港湾労組の人がビラをまいていた。ビラは両面刷りで、表面は参院選への投票を呼び掛ける在り来たりの内容だった。裏面も投票呼びかけの内容そのものは同じだったが、「今この瞬間も世界は日々激動している」として、先の米朝首脳会談をその例に上げていた。
米朝首脳会談の取り上げ方も、表面の在り来たりの内容とは全然違っていた。表面が活字で投票を呼びかけるだけの一般的な内容だったのに対し、裏面は手書きだった。多分、即興で書いたのだろう。はっきり言って文章もつたない。しかし、その事でかえってビラを書いた人の生の息づかいが感じられた。ここに全文を紹介するので、まずは読んでみて欲しい。
サミットも終り、米中貿易戦争が少し水を入れて休戦になり、最悪をさけられたと一息ついていた所へ、「瓢箪「ひょうたん)から駒(こま)が出る」のように、朝米トップ交渉が実現してしまった。
トランプがツイッターで書きこんで、板門店で会えればいいなといったら、現実に一日後には第3回首脳会談になった。休戦状態にある朝鮮戦争が、実質的に終り、平和宣言をしたような内容と、現実が実現してしまった。
来年11/3(火)に迫った大統領選挙にむけたトランプ大統領の宣伝やパフォーマンスだとか、分析や批評はうるさいが、大陸と朝鮮半島に政治的地殻変動がおこっているのは事実である。
日本では、7/4・今日から参議院選挙が始り7/21(日)投開票である。たいへんな課題いっぱいの日本の社会、そして改革しなければならない日本政治です。チェンジと変革が必要な現実があります。期日前投票も利用して、かならず投票にはお互い行きましょう。
私は、あいりん地区でまかれるビラと言えば、とかく「ヤクザ手配師による暴力、賃金ピンハネと闘え!」といった内容ばかりだと思っていた。その先入観がこのビラで見事に打ち砕かれた。あいりん地区外の人でも、米朝首脳会談のニュースに関心を寄せる人は必ずしも多くない。政府が鳴り物入りでG20大阪サミットの成果を強調し、マスコミもそれに迎合するだけだった。その中で、あいりん地区の労働者向けのビラで、自らも労働者と同じ目線でビラを書いているであろう執筆者が、賃上げとは無関係の朝鮮半島のニュースを、我が事のように喜び、それを自分の言葉で表現したのだ。
G20直後にトランプのツイート(ツイッターのつぶやき)を機に実現した板門店(パンムンジョム)での3回目の米朝首脳会談。これをパフォーマンスと切り捨てるのは簡単だ。確かにトランプはその場の思いつきで動く人物ではある。移民排斥など人権に反する事も平気で行う。金正恩(キムジョンウン)も反人権の独裁者という点ではトランプ以上だ。そんな2人の首脳会談なのだから、とても額面通りには受け取れない…そう思う人も少なくないだろう。
しかし、いかに反人権的な指導者によるパフォーマンスであっても、それで米朝間の膠着状態を打開できたのも事実だ。翻って安倍はどうか?拉致問題で名前を売って総理にまで登りつめたにも関わらず、拉致問題は一向に進展せず。北朝鮮だけでなく韓国、中国からも相手にされず、米国からも顎でこき使われるばかり。ロシアとの北方領土返還交渉に至っては、従来の4島返還要求を引っ込め、「歯舞・色丹の2島だけで良い」と言いだす始末で、それすらプーチンに軽くあしらわれる有様だった。
今回の大阪サミットでも、議長国としての成果は何もなかった。社交辞令だけ、形だけの首脳宣言をまとめただけだった。首脳が一堂に会しての記念撮影の場でも、安倍に話しかけて来たのはオランダの首相ただ一人だった。習近平やプーチンはおろかトランプにまで無視されたのだ。
それに対し、文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領は、記念撮影の場でトランプから「私のツイート観ましたか?板門店で金正恩委員長に会いたいとつぶやきました。是非、文在寅大統領にも仲介の労を取っていただきたい」と誘われ、今回の米朝首脳会談が「瓢箪から駒」みたいに実現したのだ。日本では文在寅は無能呼ばわりされているが、無能なのはむしろ安倍の方ではないか。
トランプは一言のツイートだけで金正恩を振り向かせる事に成功した。金正恩もトランプのツイートを真正面から受け止める度量があった。その陰には文在寅のお膳立てがあった。米韓両国も過去には朝鮮戦争で北朝鮮と戦火を交えた。戦死者の数も日本人拉致被害者の比ではない。その過去をも一言のツイートだけで乗り越えたのだ。それだけでも大したものだ。
「たった一言のツイートで歴史が変わる事もある」という事が、今回の件ではからずも証明された。その事実が人々に感動を与え、前述のあいりん地区のビラにも表れたのだ。トランプや金正恩と言えども、もう後戻りは出来ない。全世界がその一挙手一投足に注目しているのだから。首脳会談の成果は、もはや当事者だけのものではない。たとえ、今回の首脳会談がパフォーマンスに終わったとしても、南北朝鮮や世界の人々、あいりん地区の労働者の中に宿った「希望の火」は、そう簡単に消せはしない。
日本も早く、そのような「世界に感動を与える事の出来る指導者」を持てるようになりたいと思う。もはや安倍では全くお話にならない。そういう指導者を生み出すことのできる力量を、主権者として身に付けなければならない事を、今回の件で痛感した。今度の参議院選挙こそが、正にその正念場だ。