昨日訪れた方が、「僕は保育士を10年やっていました」と微笑みながら言われました。今は全く別の世界でがんばっていらっしゃいます。
二つの専門性を持つということは仕事を深めることにつながるのではないかと、私はいつも思っています。
幼児教育に携わったという経験が今のお仕事には無関係と思われるのではなく、「その体験から獲得した前頭葉機能(他の人にはない!のですから)に自信をもって、考えたり、感じたりしてみてくださいね」とお話ししました。
二つの専門性を持つということは仕事を深めることにつながるのではないかと、私はいつも思っています。
幼児教育に携わったという経験が今のお仕事には無関係と思われるのではなく、「その体験から獲得した前頭葉機能(他の人にはない!のですから)に自信をもって、考えたり、感じたりしてみてくださいね」とお話ししました。
M砂さんのために、探してみた記事です。
二度童子 2013年9月17日
二度童子 2013年9月17日
認知症のお年寄りの世話をしているときに「二度童子」という言葉を聞くことがあります。
幼児と同じように手がかかるという意味ですね。
幼児と同じように手がかかるという意味ですね。
発達心理学が専門の友人と話す機会がありました。
子供たちにMMS(Mini-mental state.アメリカで考案された簡易な認知検査。エイジングライフ研究所でも使用)を実施したら何歳でどうなるかを教えてもらいました。
「まあ、だいたいこんなところでしょう」といいながら、まとめてくれたのが、下表。読みにくくてすみません
これは長い経験から予測された感覚的な数値であることを断っておきます。経験に裏打ちされた予測値はあってるものですけどね。
子供たちにMMS(Mini-mental state.アメリカで考案された簡易な認知検査。エイジングライフ研究所でも使用)を実施したら何歳でどうなるかを教えてもらいました。
「まあ、だいたいこんなところでしょう」といいながら、まとめてくれたのが、下表。読みにくくてすみません
これは長い経験から予測された感覚的な数値であることを断っておきます。経験に裏打ちされた予測値はあってるものですけどね。
この表を眺めているといろいろおもしろいことが見えてきます。
ランチにお呼ばれ。お手製弁当に、心配りの季節のお花の数々。「お・も・て・な・し」といわれました(笑)
「計算」や「文を書く」のような勉強をしないとできないものは、点が取れないのは当然ですが、「図形の模写」が6歳になっても、全員はできないということ。
認知症高齢者の場合は、中ボケ以上だとできることがほとんどです。
いっぽう、6歳になると「想起」ができる、しかも完璧にできるという事実。
実際、幼児と話しているとびっくりするくらい正確にいろいろエピソードを覚えています。エピソードを正確に覚えていてイメージ化しているのでしょうか、言語表現が間に合わないくらいです。
ランチにお呼ばれ。お手製弁当に、心配りの季節のお花の数々。「お・も・て・な・し」といわれました(笑)
「計算」や「文を書く」のような勉強をしないとできないものは、点が取れないのは当然ですが、「図形の模写」が6歳になっても、全員はできないということ。
認知症高齢者の場合は、中ボケ以上だとできることがほとんどです。
いっぽう、6歳になると「想起」ができる、しかも完璧にできるという事実。
実際、幼児と話しているとびっくりするくらい正確にいろいろエピソードを覚えています。エピソードを正確に覚えていてイメージ化しているのでしょうか、言語表現が間に合わないくらいです。
これも認知症高齢者の場合は、MMS24点(小ボケ)で、「想起=0点」が66%を占めます。
満点の「想起=3点」の割合は、なんとたった3%なのです。
ここが全く違うところです。
ついでに一言。
かくしゃく百歳の調査をした時にわかったことです。かくしゃくとしている方たちのMMS下位項目の低下順は認知症の場合(老化が加速されている場合)とまったく違うのです。
かくしゃく群には、記憶の障害がありません。見当識の障害もありません。
子供たちは、ゼロから脳機能を獲得していきます。
「できなくて当たり前。でもそのうちできるようになるから」と期待しながら成長を見守ってもらえます。着衣・食事・トイレ・入浴など身の回りのことや、お手伝いが不十分でも、むしろほめられます・・・
獲得のステップ。
満点の「想起=3点」の割合は、なんとたった3%なのです。
ここが全く違うところです。
ついでに一言。
かくしゃく百歳の調査をした時にわかったことです。かくしゃくとしている方たちのMMS下位項目の低下順は認知症の場合(老化が加速されている場合)とまったく違うのです。
かくしゃく群には、記憶の障害がありません。見当識の障害もありません。
子供たちは、ゼロから脳機能を獲得していきます。
「できなくて当たり前。でもそのうちできるようになるから」と期待しながら成長を見守ってもらえます。着衣・食事・トイレ・入浴など身の回りのことや、お手伝いが不十分でも、むしろほめられます・・・
獲得のステップ。
認知症高齢者は「いったん完成された脳機能全般的に支障が起きる」訳ですから、できていたものができなくなってくる。
喪失のステップ。
介護している人は「話を聞いていると普通なんですけど・・・行動がめちゃくちゃなんです」
実は話もおかしいのですが、わかろうとするからわかるのです。
「今、ここでそんなことを言う?!」というような発言もよくありますが、状況判断が利いていないという意味で、すでにやはりおかしいというべきです。
「失敗した時の、言い訳というか釈明を聞いていると妙にうなずいてしまったりするんですけど、後から腹が立ちます!」
「あれこれ普通にやれるのに、またこんなことを!が起きるのですが嫌味でやってるんでしょうか」
そうではありません。しゃべれるけれども、行動を起こすときに、判断する前頭葉も、実行に移す脳機能も全然足りないから失敗につながってるんですよ。
「鍬の使い方なんかは私よりはるかに上手なんですよね」
などと訴えられることもありますが、体に染みついたような行動は遅くまで、うまくこなせることも多いですよ。その時々の判断が必要な場合だと失敗します。
エイジングライフ研究所では中ボケの生活の実態を「家庭生活に支障が出る」「言い訳のうまい幼稚園児」と表現します。目を配る必要度が、幼稚園児と同じという意味合いです。
重要なことは、このレベルで発見されたら脳機能の改善は可能であることです。大ボケの指標である徘徊、幻覚、不潔行為、異食、見当識が時・所・人ともにわからない。などの症状はまだありません。
中ボケのMMS得点は15~23点。
中ボケは見当識が次第に低下していく時期なのです。
喪失のステップ。
介護している人は「話を聞いていると普通なんですけど・・・行動がめちゃくちゃなんです」
実は話もおかしいのですが、わかろうとするからわかるのです。
「今、ここでそんなことを言う?!」というような発言もよくありますが、状況判断が利いていないという意味で、すでにやはりおかしいというべきです。
「失敗した時の、言い訳というか釈明を聞いていると妙にうなずいてしまったりするんですけど、後から腹が立ちます!」
「あれこれ普通にやれるのに、またこんなことを!が起きるのですが嫌味でやってるんでしょうか」
そうではありません。しゃべれるけれども、行動を起こすときに、判断する前頭葉も、実行に移す脳機能も全然足りないから失敗につながってるんですよ。
「鍬の使い方なんかは私よりはるかに上手なんですよね」
などと訴えられることもありますが、体に染みついたような行動は遅くまで、うまくこなせることも多いですよ。その時々の判断が必要な場合だと失敗します。
エイジングライフ研究所では中ボケの生活の実態を「家庭生活に支障が出る」「言い訳のうまい幼稚園児」と表現します。目を配る必要度が、幼稚園児と同じという意味合いです。
重要なことは、このレベルで発見されたら脳機能の改善は可能であることです。大ボケの指標である徘徊、幻覚、不潔行為、異食、見当識が時・所・人ともにわからない。などの症状はまだありません。
中ボケのMMS得点は15~23点。
中ボケは見当識が次第に低下していく時期なのです。
上表から見ても、3歳の脳機能だと全面的に生活を見る必要があります。
4歳児以上になると、「計算」や「文を書く」の得点を加味して考えるとそろそろ中ボケ相当となって、確かに幼稚園児が中ボケ相当ということが納得されます。
幼稚園時代は、他の多くの脳機能とともに、見当識が確立されていく過程ということが言えそうですね。
4歳児以上になると、「計算」や「文を書く」の得点を加味して考えるとそろそろ中ボケ相当となって、確かに幼稚園児が中ボケ相当ということが納得されます。
幼稚園時代は、他の多くの脳機能とともに、見当識が確立されていく過程ということが言えそうですね。
ここも逆方向に一致しています。
ここで確認をもう一度。
幼児は、見当識が正確に確立できる前に記憶が確実になる。少なくとも同時進行。
認知症高齢者は、見当識が揺らぐ前からすでに記憶に問題が出てきている。
もちろん、両者ともに社会生活をこなす前頭葉機能に期待できないことは大前提です。
「二度童子」という言葉には、優しさも感じられますし、確かに目を配る必要があるという生活実態も共通していますが、脳機能から見ると大きな違いがあることを承知しておいてください。
ここで確認をもう一度。
幼児は、見当識が正確に確立できる前に記憶が確実になる。少なくとも同時進行。
認知症高齢者は、見当識が揺らぐ前からすでに記憶に問題が出てきている。
もちろん、両者ともに社会生活をこなす前頭葉機能に期待できないことは大前提です。
「二度童子」という言葉には、優しさも感じられますし、確かに目を配る必要があるという生活実態も共通していますが、脳機能から見ると大きな違いがあることを承知しておいてください。
そしてこのように、脳機能から認知症高齢者の行動(症状)を理解するというアプローチが常識になってほしいものと思います。