痛快な出来事がありました。
エイジングライフ研究所の二段階方式では、脳機能検査が必須です。主なテスターは保健師さんなのですが、「弱き立場の住民に寄り添う」という立場でのお仕事が多いようで、どうしても脳機能検査で「できないところを明確にする」ということを躊躇する人がいます。
ナナフシ?
エイジングライフ研究所の二段階方式では、脳機能検査が必須です。主なテスターは保健師さんなのですが、「弱き立場の住民に寄り添う」という立場でのお仕事が多いようで、どうしても脳機能検査で「できないところを明確にする」ということを躊躇する人がいます。
ナナフシ?
事例検討のための約束の時間にかかってきた保健師さんからの電話。その声がなんだか笑いを含んでいるような、とにかく弾んでいるのです。
「いつも先生のおっしゃっていることがほんとに身にしみて納得できました。あの簡単な二段階方式の脳機能テストが教えてくれる世界はすごいものがあります。
今回初めて、できないことをわかってあげることが、テストを実施する大きな目的(のひとつ)だということがわかりました。そうすると不謹慎のようですが、『ここは難しいはず。さあどんな反応になるのかな?あ、そう来ましたか!』というような検査の構えができたのです。
今回初めて、できないことをわかってあげることが、テストを実施する大きな目的(のひとつ)だということがわかりました。そうすると不謹慎のようですが、『ここは難しいはず。さあどんな反応になるのかな?あ、そう来ましたか!』というような検査の構えができたのです。
ほんとのことを言うと、もっと不謹慎のようですが、検査をすることが楽しかった!」
そこで私はあわてて、口を出します。
「できないことを知るのは、生活に何が必要かを知るためだから…」重ねるように、保健師さんが
「そうなんです。検査をする意味がほんとにわかりました。検査を通じてその人を理解するんですね。特にできないことに注目した方が理解が深まり、どういう指導や援助が必要かはっきりしてくるということもよくわかりました」
初めてセミのペアリングを見ました。ガンバレ!
ここからは、ちょっと専門的になってしまいますが、保健師さんが感じたことを並べましょう。
「見当識を尋ねるときにどうも、言いたい言葉が出にくいかも?」
「今日の日付は正確でしたが、令和22年という間違いが。『これは結構珍しい間違い』だと思って丁寧に修正してあげてもA4版白紙には令和20年。とにかく変」
「日付が正確なら、想起・計算・机上以外はできるはず。なのに記銘の時『のりたい・のりたい・無反応」4度目にようやく正しい答えが。ここで私は『失語症』だと確信。しかも入力が難しいタイプ」
「復唱の時、もちろん丁寧にやりました。すると『ちりと とまれば やまとなる』!『あ、これだ!これがうまく聞き取れないから正確に復唱できない』ということなのね」
「『当然三段階口頭命令も難しいはず』と思って教示したら、なんと鶴を折り始めた!」
「書字命令はスムーズにできたので、耳で聞く方が難しいことがわかりました。必要なことは書く方がいいかも」
「文はちょっとした間違いがあったけど、予想通り図形の模写はきれいです」
「なんと、想起は2点!」
そこで私はあわてて、口を出します。
「できないことを知るのは、生活に何が必要かを知るためだから…」重ねるように、保健師さんが
「そうなんです。検査をする意味がほんとにわかりました。検査を通じてその人を理解するんですね。特にできないことに注目した方が理解が深まり、どういう指導や援助が必要かはっきりしてくるということもよくわかりました」
初めてセミのペアリングを見ました。ガンバレ!
ここからは、ちょっと専門的になってしまいますが、保健師さんが感じたことを並べましょう。
「見当識を尋ねるときにどうも、言いたい言葉が出にくいかも?」
「今日の日付は正確でしたが、令和22年という間違いが。『これは結構珍しい間違い』だと思って丁寧に修正してあげてもA4版白紙には令和20年。とにかく変」
「日付が正確なら、想起・計算・机上以外はできるはず。なのに記銘の時『のりたい・のりたい・無反応」4度目にようやく正しい答えが。ここで私は『失語症』だと確信。しかも入力が難しいタイプ」
「復唱の時、もちろん丁寧にやりました。すると『ちりと とまれば やまとなる』!『あ、これだ!これがうまく聞き取れないから正確に復唱できない』ということなのね」
「『当然三段階口頭命令も難しいはず』と思って教示したら、なんと鶴を折り始めた!」
「書字命令はスムーズにできたので、耳で聞く方が難しいことがわかりました。必要なことは書く方がいいかも」
「文はちょっとした間違いがあったけど、予想通り図形の模写はきれいです」
「なんと、想起は2点!」
「ほんとに、普通の老化が早まった人たちとは下位項目の低下順が全然違う…」
「お薬をチェックしたら、それらしきものがあるので、脳梗塞をやったのでしょう。左側ですよね(笑いながら)。当然右足のことも確認してあります。少し違和感があるみたいです」完璧!
相談に至る経緯を語るときも、時々笑いがこぼれていましたね。
「宗教の仲間がいて定期的に礼拝など参加。
もともとシルバー人材センターで働き、自動車の運転もしていた。
2年前から、娘夫婦との同居が始まった。
しばらくしたら、『家族が大切なものを隠したりして困らせる』というものとられ妄想が出現。
思い余った家族が、病院受診し『認知症』という診断を受ける。
その後免許返納、シルバーもやめた」
「その時ドクターから『補聴器を用意した方がいい』というアドバイスがあっただけで、特に何も指導はなかった(ここでもちょっと笑いがこぼれてしまいましたね)から、相談に来た」
いつから失語症が始まったのかはわからなかったようですが、3年前くらいかもしれませんね。同居よりも前のはずですよ。
失語症でありながらもシルバーでも働き、宗教のお仲間とも付き合い、車の運転もし、何より一人暮らしの生活をまがりなりにもしていたので、老化の進み方はやや遅めだったのでしょう。
それでも前頭葉機能低下は起きてきていたはずですから、つまり、小ボケは覚悟しないといけません。同居してすぐものとられ妄想が勃発したということも理解できます。
これがゲジゲジ(本名ゲジ)
「生活指導としては、まず失語症の説明をして、それにプラスして老化が進んでいる状態。それも前頭葉が不合格レベル(小ボケ)だろうということを話しました。
前頭葉は脳の司令塔だから、自分をコントロールする働きがあります。つまり今はうまく自分を抑えることができにくい状態です。
もともと『思い込みが強い、言い出したら聞かないし、強い人』という傾向があったと思いますが(ほんとにテスト結果に出てますから言いやすかったです)そこが強く出てしまってるんですよ。
性格を変えることは難しいですが、前頭葉のコントロール力を取り戻すようにしましょう。
といって脳のリハビリの説明をしました」ここも完璧!
「お薬をチェックしたら、それらしきものがあるので、脳梗塞をやったのでしょう。左側ですよね(笑いながら)。当然右足のことも確認してあります。少し違和感があるみたいです」完璧!
相談に至る経緯を語るときも、時々笑いがこぼれていましたね。
「宗教の仲間がいて定期的に礼拝など参加。
もともとシルバー人材センターで働き、自動車の運転もしていた。
2年前から、娘夫婦との同居が始まった。
しばらくしたら、『家族が大切なものを隠したりして困らせる』というものとられ妄想が出現。
思い余った家族が、病院受診し『認知症』という診断を受ける。
その後免許返納、シルバーもやめた」
「その時ドクターから『補聴器を用意した方がいい』というアドバイスがあっただけで、特に何も指導はなかった(ここでもちょっと笑いがこぼれてしまいましたね)から、相談に来た」
いつから失語症が始まったのかはわからなかったようですが、3年前くらいかもしれませんね。同居よりも前のはずですよ。
失語症でありながらもシルバーでも働き、宗教のお仲間とも付き合い、車の運転もし、何より一人暮らしの生活をまがりなりにもしていたので、老化の進み方はやや遅めだったのでしょう。
それでも前頭葉機能低下は起きてきていたはずですから、つまり、小ボケは覚悟しないといけません。同居してすぐものとられ妄想が勃発したということも理解できます。
これがゲジゲジ(本名ゲジ)
「生活指導としては、まず失語症の説明をして、それにプラスして老化が進んでいる状態。それも前頭葉が不合格レベル(小ボケ)だろうということを話しました。
前頭葉は脳の司令塔だから、自分をコントロールする働きがあります。つまり今はうまく自分を抑えることができにくい状態です。
もともと『思い込みが強い、言い出したら聞かないし、強い人』という傾向があったと思いますが(ほんとにテスト結果に出てますから言いやすかったです)そこが強く出てしまってるんですよ。
性格を変えることは難しいですが、前頭葉のコントロール力を取り戻すようにしましょう。
といって脳のリハビリの説明をしました」ここも完璧!
気持ち良い写真も。
「研修後、長い時間がかかりましたが、ようやくぱっと開かれた感じがします。長い間のご指導ありがとうございました。
とっても嬉しい相談事例でした。それとあまりドクターを頼りにしてはいけないということも、ちょっとわかりました(笑)」
そうですよ。
認知症を早期に見つけることも、それを改善に導くのも、保健師さんたちの脳機能検査の結果に基づいた判断であり、生活改善指導なのです。
「研修後、長い時間がかかりましたが、ようやくぱっと開かれた感じがします。長い間のご指導ありがとうございました。
とっても嬉しい相談事例でした。それとあまりドクターを頼りにしてはいけないということも、ちょっとわかりました(笑)」
そうですよ。
認知症を早期に見つけることも、それを改善に導くのも、保健師さんたちの脳機能検査の結果に基づいた判断であり、生活改善指導なのです。
「コロナの問題はありますが、三密を避けながら集まっていただくようにしています。認知症が進んだら大変ですから」またまた完璧!