たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『木靴の樹』シナリオ(1)

2014年12月02日 20時37分56秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。

秋、ロンバルディア
 黄金色に輝くトウモロコシ畑、ゆたかや緑の樹々、ポプラと家屋、それらをロングに見た
 手前のトウモロコシ畑、緑の畝が美しく広がる畑。
 静けさの中、かすかにひなびた歌が聞こえてくる。小川。水の流れの音とともに、歌がたか まる。

教会の中、ミサの後、
 農夫バティスティが神父ドン・カルロに説得されている。
 妻バティスティーナも神妙な顔。

神父
 「儀礼用の衣服をときながら)あの子を学校にやるんだね」
バティスティ
 「はい、でも行きに6キロ、帰りにまた6キロ、大変です」
神父
 「子供の足は丈夫じゃよ」
バティスティ
 「また子供ができるのです。家で手伝わせたいんで」
神父
 「今は手伝わんでも、大きくなれば手助けするよ。神のみ心に従いなさい」
バティスティ
 「私は学校に行かなくても、大人になりました」
神父
 「それは理由にならん。主が利発な子を授けたのは、よけいに期待がおありなのじゃ。主の み心に従うのがお前さんの義務じゃよ」

 考え込むバティスティ。教会の男が次々にロウソクの灯を消していく。歩み去るバティスティ夫婦の木靴の音が響く。夫婦は十字を切って、礼拝堂を出ていく。

町、教会の外(夕)
 手風琴の楽しげなメロディを背に、重い足どりのバティスティ夫婦。

バティスティ
 「えらいことになった!」

ポプラの樹の道
 無言で歩く二人の画に、美しいイタリック書体で、タイトル<木靴の樹>、<エルマンノ・オルミ監督作品>、<ベルガモ地方の農夫と人々の出演>がつつましく重なる。バッハの<ト短調小フーガ>がオルガンで聞こえはじめる。