たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

東京宝塚劇場には「ノゾミ!!」がいっぱい

2020年09月30日 22時46分44秒 | 宝塚
 15時30分開演、Bバージョン千穐楽、東京宝塚劇場の舞台上に生バンドの響き。舞台セットの「ノゾミ!!」なんとか撮ることができていました。タイトルは「NOW! ZOOM ME!!」、もともとは4月30日に初日を迎えるはずだった舞台。半年遅れの今だから沁みるものがありました。いろいろと持っているものを空いている隣の席において、忘れて楽しんでほしいというだいもん(望海風斗さん)のことば。幕間の35分をはさんで、2時間35分ほぼ歌いっぱなし、踊りっぱなし、ずっと笑顔。いい芸名ですね。真彩希帆(まあやきほ)ちゃんとのコンビを「希望コンビ」と名付けたのは、お披露目公演『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』の作・演出を担当した野口幸作先生。真彩ちゃんの出演するバージョンではなかったですが、希望ということばをいっぱい届けてくれました。みんなが今求めているノゾミ、希望が東京宝塚劇場にはあふれていました。だいもんと凪様をはじめとする雪組生、ほんとにありがとうございますと思いました。コンビを組んでからびんぼうな作品が多いことをぱろった二幕最初の芝居でも『ファントム』の美声を今一度生で聴くことができたし、ライブビューイングだった『ひかりふる路』『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』のテーマソングも生で聴くことができたし、齋藤吉正先生、自分のデビュー作『BLUE MOON BLLUE』のテーマソングいれてきて、たかみー(高見沢俊彦さん)が当時の月組のために書き下ろした「ENDLESS DREAM」だと思い出せるまでに時差ありましたけど、学園天国などの昭和歌謡から渡辺美里さんの曲から、ミュージカルソングまで、生バンドに生の歌声、歌いっぱなしでもクオリティが落ちることはなくさすがでした。この舞台に出会えるとは思っていなかったので幸せでした。「ひとかけらの勇気」と「夢は世界をかけめぐる」、オンデマンド配信で視聴していましたが生で聴く響きは格別でした。歌う人それぞれの説得力。東京宝塚劇場、こんなに音響がよかったかしらと思いました。中止によって本拠地である宝塚大劇場と東京宝塚劇場での上演となった舞台。これまた作品にとってはよかったのかもしれません。このコンサートのために「夢をあつめて」を書き下ろしたナオト・インティライミさんが観劇されていたと最後にだいもんから紹介がありました。今は時間ないので書けませんがいい歌詞です。

 開演の10分前に東京宝塚劇場名物の公演デザートを予約したらスタッフさん、笑って驚いているのが背中で聞こえましたけど無事幕間においしくいただきました。帝国劇場の売店にいつも立っていたスタッフさんが2階の売店にいらして、帝国劇場の売店は動いていないからグループ会社の中でこうして雇用を守っているのかなと。他にもいらっしゃったのかもしれません。お手洗いの並ぶところには立ち位置マークに番号までふってあって細かく丁寧な備え。ロビーの照明も中止期間中に変ったようです。

 4月上旬、稽古途中で中止となってからいつ再開できるかわかないけどいつ再開してもいいように常に準備しながら過ごしていた、ずっと家にいるのはつらくなってきたので音楽学校もいれうと20年住んでいる宝塚の街をはじめてゆっくりと歩いた、美しい街だと思ったとだいもん。

 東京宝塚劇場には「ノゾミ!!」がいっぱいでした。これで明日体が動かなかったらシャレになりませんね。コンタクトレンズの検診にいったら右目が見えすぎているとわかりさらに度を落とし乱視の矯正も変えて両目で0.9の視界。遠くからだとバスの表示がちょっと苦しいですが手元は楽になりました。明日の朝なにもできないのではないかという不安感。6ヶ月ぶりの稼働、二年ぶりの街。とにかく眠剤で何時間でも休まねばです。『眩耀の谷』の脚本が掲載された「ル・サンク」を無事に入手。ゆっくり読めるといいですが時間切れとなりました。24時間後の自分はどうしているのでしょうか。ドキドキします。まだまだ書きたいところですがこれに
て。

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2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-レンブラント「34才の自画像」

2020年09月30日 07時25分12秒 | 美術館めぐり
2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/d3c60b7639793c80f5e1fb235df7525f

2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-モネ『睡蓮の池』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/7025665ada494ffa56a9d9d51c8101c2

2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/1fcd83b9ba4353a10022cf95d67d9f4d






 レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン
 34歳の自画像
 1640年頃
 油彩/カンヴァス

 レンブラント、とファーストネームのみサインしたのはラファエロにならったというゆん(古川雄大さん)の音声ガイドによる案内でした。

「自画像の画家が到達した“内面の表現”

 レンブラントは生涯に、油彩だけでも60点以上、版画や素描も含めると75点を超す自画像を描いた。17世紀には、有名な画家の自画像を欲しがる市民も現れ、その需要に応じた側面もあるが、この画家が晩年に至るまで大量の自画像を描き続けた理由はそれだけではない。きまじめに座った姿、変装し、表情や動作を演出した姿。多種多様な自画像を描くことで、光線の使い方、色調と明暗の配分、演出とその効果など多くの研鑽を積むことができる。そして何より、自分を描く以上、画家自身の内面が浮き彫りになる。絵の中の自分を見つめ続けた画家は、他のジャンルの作品においても、内面を表現する天才と評されるに至った。」

(『週刊世界の美術館-アムステルダム国立美術館』より)




2018年『ルーブル美術館展』-「レンブラント」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/a5a0604735afaa446c7ebfe0dc4c09f8

2009年2月‐6月『ルーヴル美術館展』_17世紀ヨーロッパ絵画(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/c54943529a6f094de0231f47c819ec00

宙組『アナスタシア』-特別プロモーション映像公開

2020年09月29日 23時24分11秒 | 宝塚
「この度、三井住友カード株式会社様のご協賛により上演する、宝塚歌劇宙組公演 三井住友カード ミュージカル『アナスタシア』に先立ち、特別プロモーション映像をお届けいたします。   

主演の真風涼帆、星風まどかと芹香斗亜の3名が、劇中で歌う楽曲を初公開。今回、真風が演じるディミトリ役に提供された新曲も披露しています。

 ♪She walks in(真風 涼帆)
 ♪The Neva Flows(芹香 斗亜)
 ♪Journey to the past(真風 涼帆・星風 まどか) 」

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2020/anastasia/special_002.html

 こういうことこそ大きく報じてほしい、このブログに書いたような気がしますがコロナで収入の道を絶たれた日本オーケストラ連盟に一億円寄付したSMBCグループ。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ様からの ご寄付の受領
https://www.orchestra.or.jp/information/2020/post-29/

 いつVISAが抜けたのかわかっていませんが明日海りおさんの退団公演『青い薔薇の精』以来、こうしてまた冠スポンサーになってくれました。キキちゃん、オンデマンド配信で視聴した英真なおきさんとの対談で悪役が好き、心底悪い役がやりたいって話していました。その悪役とは違うかもですが、星風まどかちゃんを執拗に追い回す役なんて楽しみすぎます。稲葉先生、熱い。衣装も舞台セットも豪華になること間違いなし。期待大の舞台。

 疲れた心になによりも効く劇団からのお知らせ。11月7日の宝塚大劇場初日ライブ配信あるかな、12月14日の千穐楽はライブ配信とライブビューイング、あるよね。それまで生き延びなければ・・・。

 かつて銀座のリバイバル上演専門の映画館でユル・ブリンナー、イングリッド・バーグマン主演の『追想』という作品をみたことがあります。バーグマン演じる記憶喪失の女性を皇女アナスタシアに仕立て上げるというお話でした。まあ様(朝夏まなとさん)の退団公演『神々の土地』からの流れで、それ以外は前知識なしで観ようと思います。

 なかなか希望はみえないけれど、こんなに希望がない社会だけれど、舞台には希望がある、劇場に灯る明りは希望。一縷の希望を求めて、明日はまさかの当選のぞコン、なんにもグッズ買いませんが楽しもうという気持ちにかわりはありません。終演後は急ぎシャンテでおなかを満たしたら急ぎ帰ってこなければ。その前にコンタクトレンズの検診をもう一度受けねばと。

 なんとか生き延びていくのだよ、自分。
 
 心がざわざわしたままでは眠れないので気持ち休めの投稿、また連投となりました。
 
 ささやかなブログへの訪問、ありがとうございます。

 ポスター画像は劇団のHPより、中止となる前のものです。


 
 

2つの表現について

2020年09月29日 19時24分14秒 | 祈り
全国自死遺族総合支援センターHPより
「自死」と「自殺」2つの表現について
https://www.izoku-center.or.jp/media.html

 自死遺児である山口さんの講演を聴講したのが、自分と同じ立場の方にあった最初でした。妹が旅立ってから15年余りが過ぎた頃だったと思います。自分の立場を受け入れたくて、なぜ死んでしまったのか知りたくて、長時間、仕事量二人分の過重労働を続けながら毎週金曜日の夜カウンセリングスクールに行っていました。初めて自死遺族の会に参加した時には自分と同じ立場の方がこんなにもいらっしゃるのかと驚きました。苦しんで苦しんでわたしがたどり着いた答えは、答えはどこにもないのだということ。時間がどれだけ過ぎようとも事実は変わりません。自分宛てに書かれた手紙を読んでしまえば心が張り裂けそうになり、とめどなく涙がこぼれおちるばかりでどうしようもなくなります。手紙はもう帰るつもりのない郷里の実家の仏壇にあります。また妹と同じなのだと、ただその事実に日曜日からずっと心がざわざわしています。この事実を生きていかなければならないのは苦しいです。具体的な手段など報じる必要はありません。傷つけないでほしいと思います。




そっとしておいてあげてほしい

2020年09月29日 13時26分16秒 | 祈り
著名人の自殺、過度な報道を控えるよう要請 厚労省
https://news.livedoor.com/article/detail/18968473/

 かつて岡田有希子さんが突然旅立ったとき大々的にセンセーショナルに報じたのはフライデーというゴミ雑誌だったでしょうか。ネットで検索してみると今もあるんですね、このゴミ雑誌。海外に目を向ければ、2008年の旅で通りましたが、パパラッチから逃げようとしたダイアナさんを乗せた車が激突した痕跡が今もパリの道路の壁に残っています。人の好奇心を刺激するセンセーショナルな内容であればあるほどお金になるのは世界共通ということでしょうか。需要と供給のバランスで、テレビは視聴率がとれるから永遠と報道し続けるということでしょうか。

 いちばんこわいのは人、人がいちばんこわい、コロナよりもこわい。

毎日東京宝塚劇場に行く

2020年09月28日 19時39分24秒 | 日記
 月曜日、昨日あまりにも心がざわざわしてくじけそうになりましたが決めていた通り、お試し出勤。緊張で目覚まし時計が鳴る前に目がさめてしまうし、電車は30分遅れで疲れましたがバスは順調でした。最寄りのバス停から乗り換え駅までほぼ定刻どおり。乗降に時間のかかる人は乗ってこない、通勤・通学のSuica定期券でピッと通る人ばかり。バス停にたちまち人が並びましたがわたしが乗ろうとしたときすぐ後ろには次のバスがもうきていました。どんどん流れていくので昼間よりもむしろ早いかもしれません。バスにさえちゃんと乗ればです。

 Suica定期券、電車とバスをそれぞれ別に購入しても一枚でまとめられる優れもの。10数年愛用しているJALSuicaには搭載できないので定期券用として購入しました。市内全線のバス定期券を持てるのは大きいです。出かけるとなるとバスと電車で交通費がばかになりません。定期券があれば今歩いて買い物に行くにはちょっとつらい距離を休日バスに乗れるし、電車に乗らずとも行けるところもありそうです。JALSuicaのクレジット機能で飛行機に乗っていないけれどたまったマイルとポイントをJR東日本の専用機でSuicaにチャージできたのも大きい。

 わずかな稼ぎですが細々と生き延びていくために、少なくとも11月1日の月組ライブビューイングまでチケットは3本あるので死ぬわけにはいかない、その先に清史郎君が帝国劇場に戻ってくるのを見届けたいという長期目標もあるからまだ死ぬわけにはいかない。だから毎日朝から東京宝塚劇場に行くのだと思うことにします。キキ王子が両手をひろげて待ってくれていると一人夢をみることは誰にも迷惑をかけないし、そんな夢をみる余地がなければ苦しすぎます。

 相談員さん、たぶん同じ年かちょっと上ぐらいかな。なかなか希望はみえないけれど、わたしたちはいい時代も知っているだけいいんじゃない、今の10代、20代はもっと大変、そういう方々の話を聴く人が希望をもっていないとね、家族のことで苦しい苦しいばっかりも苦しい、自分の人生だからね、って。

 久しぶりのスパでお休み。何時間お湯につかっていてもきりがありません。自分の部屋でエアコン24時間つけっぱなし、店や施設に入ればコロナで冷房がんがん、梅雨明けと共にはじまったしゃくねつじごく、心身共につらい夏でした。体重計にのってみたら40キロちょっと。コンタクトレンズの右の度を二段階も落としたのにもまだ慣れなくてなんとなく不安定。自分は大丈夫なのだと言い聞かせて、まずは1日、そしたら2日、そしたら土曜日。10月はびっちり22日あるなどということを考えるとくらくらするので考えてはいけない。わかりませんが12月も天皇誕生日がなくなったので祝日も連休もないのですが、そんなことを考えてはいけない。稼働日が多いほど給料は多くなる。一日、一日、積み上げていくのみ。ここまで生きてきてようやくやりたいと思える仕事に出会えた可能性もあるので一日、一日。やるだけやって無理なら仕方ない。がんばるなんて言いたくない。一縷の希望をもってNeverGiveUp。




『オーシャンズ11』より-「NEVER GIVE UP」

2020年09月28日 00時01分38秒 | 宝塚
「どうせ見るなら デッカイ夢を
 夢を見るのに 金はいらない
 小さな夢も 大きな夢も
 夢の重さに違いは無い

 他人の夢を 貪る奴もいる
 夢を賭けた金 根こそぎ持って行く
 返して 欲しい
 俺たちの夢を

 どんな小さな夢だって 価値はある
 夢があれば 生きる希望を
 持ち続けられる
 哀しみや 苦しみを
 乗り越えられる
 夢が無くては 生きては行けない
 だから 夢を見る力
 失くしちゃ ダメさ
 どんな時も 諦めないで
 NEVER GIVE UP

 NEVER GIVE UP  NEVER GIVE UP

 夢が無くては 生きては行けない

 だから 夢を見る力
 失くしちゃ ダメさ
 どんな時も 諦めないで

 NEVER GIVE UP  NEVER GIVE UP
 NEVER GIVE UP
 NEVER
 GIVE UP!」

 日本語の「がんばる」をそのまま訳せる言葉は英語にはないとききます。あえて訳すなら、「NEVER GIVE UP」だとなにかで読んだことがあります。『オーシャンズ11』の「NEVER GIVE UP」は、どろぼうたちが歌っているのですが・・・。

 がんばる-こんな歳になって振り返ってみると、地域性と時代だったのでしょうか。小学校、中学校、さらには高校もだったかもですが、ずっとがんばらなければいけないと教え込まれ続けたようが気がします。担任の先生が大学を卒業したばかりだったり、今の自分よりもはるかに若い年代で熱かったですね、それはそれで間違っていたとは思いません。高度経済成長期、みんなでがんばればその先には希望がある、豊かな、いい老後が待っている。がんばれは、がんばりさえすれば、個々人が努力しさえすれば希望がある時代だったということでしょうか。

 時はうつろい、高度経済成長期のツケがきている時代にコロナ禍、こんなに残酷なことばはないかもしれないと思います。いつもがんばれるわけではない。がんばらなければいけないと頭でわかっていてもがんばれないときもある。立ちどまって泣きたときもある。つらいとき、苦しいとき、哀しいとき、がんばらなくてもいいんだよ。つらいときにはつらいって、苦しいときには苦しいって、哀しいときには哀しいっていっていいんだよ、弱音を吐いていいんだよ。泣きたいときは泣いていいんだよ。弱さも認める社会であってほしいと心から願います。自分では選ぶことができなかった道を歩いていかなければならないのはどれほどに過酷なことか。今はただ試練の人生を無事に生き延びていくことができますようにと祈るばかり・・・。


「小池修一郎 脚本・演出

 宝塚版『オーシャンズ11』は2011年柚希礼音の星組で初演された。
 
 初演の11年は東日本大震災があり世情は不安定であった。私事ではあるが初夏に母を亡くし、前後に2本の舞台を開けねばならず、秋口に「オーシャンズ11」に掛るときには私自身苦しさや辛さから解放されたい一心で、軽口だが元気の出るエンターテイメントを求めていたのだと思う。そしてその思いは当時の星組のメンバーの個性と上手く化学反応を起こし、多くのお客様に喜んで頂くことが出来た。」

(2019年宙組公演『オーシャンズ11』公演プログラムより)


































星組『霧深きエルベのほとり』-ナウオンステージより

2020年09月27日 16時15分16秒 | 宝塚
星組『霧深きエルベのほとり』-オンデマンド配信で視聴
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/4d1eb289745de3abc09d84f1a1d17f9f


星組『霧深きエルベのほとり』『エストレージャス』_二度目の観劇でした(4)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f75956d9cc8686efaacdd15dd11be9ef

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第15場B ハンブルクの酒場プロースト
     -祭りの終わり-


カール「あんた、なんて名だったけな」

ヴェロニカ「ヴェロニカ」

カール「ヴェロニカ、あんたを、マルギットって呼んでもいいか」

ヴェロニカ「・・・いいよ、読んでみな。悪い気はしないね」

カール「あんたを、マルギットだと思って、俺いいたいことを言うからな。マルギット、マルギット、俺あ、ほんとうはねえ、お前が好きで好きでたまらねえんだよぉ。お前のためなら死んでもいいと思ってるんだよ。だけどお前には、フロリアンが一番ふさわしい亭主なんだ。幸福(しあわせ)に幸福(しあわせ)に暮らせよ、なあ、幸福(しあわせ)になれよマルギット!幸福(しあわせ)になれマルギット、幸福(しあわせ)になれ、幸福(しあわせ)になれ、幸福(しあわせ)に・・・マルギット・・・マルギット・・・」

カールはヴェロニカの膝に突っ伏して、おいおいと、子どものように声をあげて泣く。
音楽優しく。

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 マルギットの怒りのピアノをシュラック家の窓の外で聴いた後、強がって仲間と「ブラボー「」と酒を飲んでいたカールがヴェロニカには本音をもらしてさめざめと泣く場面、紅カールの真骨頂だと思います。こっちも涙が出てきちゃうよ、ほんといい奴、優しい奴、不器用な生き方しかできなくって愛しい奴。

 
 
オンデマンド配信で視聴しているナウオンステージより、

カール・シュナイダーを演じた当時の星組トップスター紅ゆずるさん

菊田一夫先生が宝塚のために書き下ろした作品、
台本を読んだ時、言葉のもつ力が素晴らしいと思った。台本を読んでいるだけで泣ける台本はなかなかない。
菊田先生はどういう思いでこれをかかれたのか。
(作曲の)入江薫先生には音楽学校時代に指導をうけていた、「鴎の歌」を歌ったかもしれない、もっとちゃんときいておけばよかった、今は亡き方々を思うことも大切なこと。

(初演は1963年)、当時かかれたカール・シュナイダー像と今自分が演じるカールとは違うと思う。
カールはとてもしあわせに憧れているという設定でやっている。その時のしあわせとはどういうものなのか。
今わたしたちのしあわせはしあわせに満ちあふれすぎていて、モノがありすぎて、よくわからなかったりする。でも当時のカールは、水夫は何をしあせとするか、なぜ水夫をしているのかというバックボーンを考え続けている、今なお考えても考えても、まだあたっていない未知のお宝が眠っているのではないかと思う深い役。

演じていて毎日大変苦しい。
マルギットと出会い急に恋をしたわけではなく、最初はひっかけたぐらいで、そこから恋におちていく。フロリアンと出会ったりしながら、カールの人格がだんだん明らかになっていく。
結果はヴェロニカが言っているように、最後に悪党ぶって、楽しんでいるみたいだけど本当は繊細でピュアな人だということを芝居で表現するのはすごくむずかしい。その場その場の空気、間を感じながら演じている、お芝居とは?をあらためて考える。

毎回毎回あたかも初めて出会ったかのように演じることを心がけている。

昔を重んじながら今もあらたに進化するということを心にとめてがんばっていきたい。



 宝塚歌劇が105周年を迎えた2019年1月の元旦から宝塚大劇場で上演され、3月24日の東京宝塚劇場で千穐楽となった舞台。わずか一年前のことですが、この時から社会は大きくかわりました。コロナとしゃくねつじごくがもたらした心身への影響、生活の変化は計れ知れないほど大きいのかもしれません。個人的に団塊の世代が後期高齢者になった社会は、下の世代が支え切れない、さらにいびつな逆三角形となり希望がみえにくい社会になっていくと思っていますが前倒しになったのかもしれません。納めなくていいよと認めたものを納めた方が将来得ですよとおどすみたいなこと、すでに十分いびつだと思いますが、若い世代にとってさらに生きづらい社会、希望のみえにくい社会になってしまったのかもしれません。

 今日またつらいニュース。社会の何を映し出している鏡なのか。いちばん大変なのは自分で選びとったわけではない、下ろすことのできない重すぎるものを背負った生きていかなければならなくなった、血のつながった小さい命、支援の手が今すぐ届きますようにと祈るばかりです。

 生き延びていくために、帝国劇場の『ローマの休日』のチケット東宝ナビで当選したし、その前に東京宝塚劇場でのぞコンも当選したし、今日は月組宝塚大劇場千穐楽のライブビューイングの先行抽選にエントリーしました。劇場には希望の明りが灯っています。

 こんな日、痛々しいまでに「他人の幸福(しあわせ)を思う」紅カールのやさしさが心に沁みわたります。『FLYING SAPA』で社会への挑戦を試みた上田久美子先生が潤色・演出した作品。これも今の全人類に届けたい。

 



月組『赤と黒』-思い出し日記(2)

2020年09月27日 00時39分53秒 | 宝塚
2020年8月10日;月組『赤と黒』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/50d0e93f5e02ed5834f0dc46737d7717


「恋こそ我がいのち

作詞:柴田侑宏 作曲:寺田瀧雄

ジュリアン;幸せはしあわせは 愛しき人の瞳の中に

レナール夫人:幸せはしあわせは 恋しき人の胸の奥に

ジュリアン;悲しみはかなしみは かぐわしき香りに満ちて
      悲しみはかなしみは 頬に触れる髪の優しさ

二人;恋こそ我が生きる日の証
   恋こそ今二人の歓び

ジュリアン;恋に生きて 恋に死すとも

二人;ああ 恋こそ我がいのち」

 宝塚のモーツァルトが紡ぎ出した旋律にのった柴田先生のことば、いつまでも余韻がのこる響き、ほんとうに美しいですね。

 2月29日に予定されていたライブビューイングが幻となり、突然千穐楽を迎えた時、最後に緞帳の前に登場したたまきち(珠城りょうさん)が大劇場でまた会いましょう、と満面の笑顔で両手をふりながら袖に去っていったので、演者たちの方がつらいだろうに、中止決定に落ち込んだ観客が逆に元気をもらったという話をつぶやきでみかけました。中止の間、さらに精進を重ねて舞台に戻ってくるつもりなのだという、一回一回の舞台に全力を注いでいるタカラジェンヌの覚悟をみた、希望を感じたという話。それから7カ月、4カ月遅れで迎えた9月25日、月組大劇場公演初日、ようやく106期生が初舞台を踏んでラインダンスを披露。カテコでのたまきち、つぶやきでみかけたところでは、これから先も辛いことも悲しいこともあるかもしれないけれど私たちがいる。私たちは皆様の希望、光だと話したと。どんな状況下でも全力で希望を届けてくれようとする姿、すごいですね。劇場には、舞台には夢と希望がある。郷里から日帰りできる距離だからとぴあでプログラム付きのチケットを5月にとっていたのも幻となりましたが、11月1日の千穐楽ライブビューイング中継は見届けたいと思います。中止、中止に気力もなにもかも失せた日々を思うと、毎日劇場の幕があがっているという事実だけでも十分に元気をもらえます。

 『赤と黒』、現在オンデマンド配信されている『アルジェの男』と共通するものを感じます。貧しい生まれで孤独な子ども時代を送った主人公が野心を抱いて女性を利用しながらのりあがっていこうとする、人として褒められた生き方ではないけれど、純粋なところがあり、そのために足元を救われることとなり、最後は自らが招いた死をもって終わる。たまきちは、これまで温厚なヨーロッパの青年役がすごく似合うイメージだったのですが、ジュリアンという心に闇を抱えた、こんな役が実はいちばん似合うのかもという新しい発見でした。人に愛されることなく大人になり、さわやかな青年の仮面の下で鬱屈した野望を抱いている。人にはみせない陰のある表情、似合いと思いました。

 柴田作品、コーラスも美しく、芝居の月組の底力を感じた舞台でした。冒頭のジュリアン@珠城りょうさんと二人の女性とのダンスシーン、女性は一幕でジュリアンに胸ときめかせるレナール夫人@美園さくらちゃんと二幕でジュリアンとぶつかり合いながら恋においていく貴族の令嬢マチルド@天紫珠季さんだったのだと最後までみて振り返った時にようやくわかりました。レナール夫人とマチルドのダンスから醸し出される空気の違いは、そのままキャラクターの違いでした。

 2幕は富と名声を手に入れることを夢みたジュリアンが憧れたパリの社交界、そこにあったのは華やかさの裏で虚栄心に満ちた退屈な世界でした。ジュリアンはすぐに幻滅し、パリの社交界が退屈で仕方ないマチルドはそんなジュリアンに幻想を抱くのでした。激しいマチルド、演じるのは相当エネルギーがいるだろうなと思いました。

 ナウオンステージの天紫珠季さん、稽古場でふりがついた時必死だった。二幕で登場する時、ジュリアンと同じ情熱的なエネルギーをもっていないといけないと。ジュリアンにマチルドを嫉妬させるための恋の指南をするコラゾフ公爵をを演じた月城かなとさん、軍服はむずかしい、マチルドはジュリアンとぶつかりあっていると。

 おそくなってしまったので今はこれぐらいで。2月の舞台、自己満足でしかありませんが頭の中を整理していくために、あと1回か2回書けるといいかなと思います。

 ささやかなブログへの訪問、ありがとうございます。

かわいいからかっこいいへ

2020年09月26日 12時03分35秒 | ミュージカル・舞台・映画
清史郎君、19歳のお誕生日おめでとう
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/b00094eaa3203cb864c8f302d18bc2b2

 こども店長だった清史郎君がJUNONに登場するお年頃に。こんなに美しく成長しました。2011年帝国劇場『レ・ミゼラブル』のガブローシュから舞台の姿をみてきているので、遠い遠い親せきのおばちゃんはなんとも言葉にならない感慨深いものがあります。

 青年ルドルフ、マリウス、アンジョルラス、ヴォルフガング、レミゼのイギリススタッフも声変わりが始まった頃に清史郎君にまた戻っておいでって言っていたし、帝国劇場の舞台にもどってくる日を待っていますよ。その姿を見届けるまでおばちゃん死ぬわけにはいかない。

 また時間の余裕がなくなる前に研音のメッセージ会員になっておこう。こうして楽しみがあるから生きていられる。自分の中で勝手にやることいろいろありすぎ・・・。

(写真はJUNONTV公式より)

サインから気持ちが伝わってきました【取材秘話♡】加藤清史郎
https://junon-tv.jp/articles/709


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https://www.instagram.com/kato_seishiro_official/