福島第一原子力発電所-3月11日の対応
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/3c3fdb9cceaee844f523c2df81da4640
『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 』より、
「福島第一原子力発電所の被災直後からの対応
-3月11日の対応-1、2号機の炉心注水状況の確認
直流電源喪失の結果、1、2号機では原子炉の運転に必要な水位等のパラメータが監視できなくなり、原子炉に注水が行われているか否かも確認できなくなった。そのため、16時45分頃、原災法第15条第1項の規定に基づく特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)が発生したとして報告が行われる。(水位計は、16時42分から14分間だけ表示が回復したが、その後再度表示が消えてしまった)
大事な局面でプラントパラメータを参照できなかったことは、現場での対応を非常に難しくした。吉田昌郎発電所長は、17時10分頃、1/2号機を確実に冷却するために、事前にアクシデント・マネジメントの一環として備えられていたラインを使い、ディーゼル駆動消防ポンプか消防車を動力として、原子炉へ外部から注水できるよう準備するよう指示した。当直は、1号機の原子炉建屋内で、ディーゼル駆動消防ポンプの起動を確認し(17時30分頃)、注水ラインを構成した(18時30頃)。また、1号機のIC(非常用復水器)と2号機のRCIC(原子炉隔離時冷却系)の運転状況を把握するための努力も継続された。
1号機のIC(非常用復水器)については、18時18分から21時30分にかけて、表示灯の一部のみが回復したことから、当直によって操作が試みられた。しかし、ICの機能はほぼ喪失しており、原子炉への注水能力はほどんとなかった。当直は、18時25分頃、1/2号機の中央制御室のある建物の非常階段からICから発生する蒸気の観測を試みることによって、ICの熱交換能力が十分でないことを示す兆候を得ていた。しかし、当直の懸念は、発電所対策本部へ正しく伝達されなかった。この作業における問題は後述する。こうして、1号機の冷却に関する状況がつかめない中で、原子炉水位が低下して、核燃料が露出し、炉心損傷に至ったと見られている。
21時19分、1号機の原子炉水位計の表示が復旧した。その結果、1号機の水位は低下しており、有効燃料頂部より200mm上部であることが判明した。(もっとも、この数値の信用性は低い。ひとたび著しく不安定な状態になってしまうと、圧力を利用した水位計は校正が必要になるのである。その点を当直も認識していたことは、11日深夜に1号機の中央制御室のホワイトボードを撮影した写真から示されている)。
21時50分、2号機の原子炉水位計の表示が復旧した。水位計の値は、有効燃料頂部から、+3400mmの値を示していた。つまり、1号機よりも高い水位を維持していた。(この時点では2号機は安定であったことが後に明らかになっており、この時点での2号機原子炉水位計の信頼性は高い)。
ドライウェル圧力計は、2号機で23:25ごろに、1号機で23:50頃に、それぞれ復旧した。その結果、2号機では圧力が低いのに対し、1号機では最高使用圧力を超えていることが判明した。1号機は直ちに原子炉格納容器ベントが必要な状況であった。」
⇒続く
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/3c3fdb9cceaee844f523c2df81da4640
『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 』より、
「福島第一原子力発電所の被災直後からの対応
-3月11日の対応-1、2号機の炉心注水状況の確認
直流電源喪失の結果、1、2号機では原子炉の運転に必要な水位等のパラメータが監視できなくなり、原子炉に注水が行われているか否かも確認できなくなった。そのため、16時45分頃、原災法第15条第1項の規定に基づく特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)が発生したとして報告が行われる。(水位計は、16時42分から14分間だけ表示が回復したが、その後再度表示が消えてしまった)
大事な局面でプラントパラメータを参照できなかったことは、現場での対応を非常に難しくした。吉田昌郎発電所長は、17時10分頃、1/2号機を確実に冷却するために、事前にアクシデント・マネジメントの一環として備えられていたラインを使い、ディーゼル駆動消防ポンプか消防車を動力として、原子炉へ外部から注水できるよう準備するよう指示した。当直は、1号機の原子炉建屋内で、ディーゼル駆動消防ポンプの起動を確認し(17時30分頃)、注水ラインを構成した(18時30頃)。また、1号機のIC(非常用復水器)と2号機のRCIC(原子炉隔離時冷却系)の運転状況を把握するための努力も継続された。
1号機のIC(非常用復水器)については、18時18分から21時30分にかけて、表示灯の一部のみが回復したことから、当直によって操作が試みられた。しかし、ICの機能はほぼ喪失しており、原子炉への注水能力はほどんとなかった。当直は、18時25分頃、1/2号機の中央制御室のある建物の非常階段からICから発生する蒸気の観測を試みることによって、ICの熱交換能力が十分でないことを示す兆候を得ていた。しかし、当直の懸念は、発電所対策本部へ正しく伝達されなかった。この作業における問題は後述する。こうして、1号機の冷却に関する状況がつかめない中で、原子炉水位が低下して、核燃料が露出し、炉心損傷に至ったと見られている。
21時19分、1号機の原子炉水位計の表示が復旧した。その結果、1号機の水位は低下しており、有効燃料頂部より200mm上部であることが判明した。(もっとも、この数値の信用性は低い。ひとたび著しく不安定な状態になってしまうと、圧力を利用した水位計は校正が必要になるのである。その点を当直も認識していたことは、11日深夜に1号機の中央制御室のホワイトボードを撮影した写真から示されている)。
21時50分、2号機の原子炉水位計の表示が復旧した。水位計の値は、有効燃料頂部から、+3400mmの値を示していた。つまり、1号機よりも高い水位を維持していた。(この時点では2号機は安定であったことが後に明らかになっており、この時点での2号機原子炉水位計の信頼性は高い)。
ドライウェル圧力計は、2号機で23:25ごろに、1号機で23:50頃に、それぞれ復旧した。その結果、2号機では圧力が低いのに対し、1号機では最高使用圧力を超えていることが判明した。1号機は直ちに原子炉格納容器ベントが必要な状況であった。」
⇒続く