たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2018年『モーツァルト』_家族の物語

2018年09月30日 16時59分11秒 | ミュージカル・舞台・映画
わかりづらくってごめんなさい。こちらの記事の続きです。

2018年9月22日_2018年『モーツァルト』_家族の物語
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/d6e0021f79b76b90411634a1f521b5cd

 昨日のお昼休み、タブレット端末で動画を流していたら、たまたま自動再生で香寿たつきさんヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」の動画が流れました。あまりにドラマチックな歌声に、昼休みなのに涙が出そうになりました。ヴォルフガングを自分の庇護のもとにおこうとするレオポルトを戒める歌、父のもとを飛び立ちたいともがくヴォルフガングの背中を押す歌。

「夜空の星から降る金をさがして知らない国へ~♪」
「なりたいものになるため星からの金を求めて一人旅に出るの~♪」
「あこがれの精は王子にささやく、旅立てと~♪」

『モーツァルト』、よくできている作品だなあとしみじみ。

「2014年公演のプログラムより モーツァルト~父と子の肖像~

 18世紀という時代にあって、製本師という職人の家に生まれた人間がやがては宮廷音楽家にまで昇りつめるというキャリアの道筋において、遭遇する困難辛苦がいかばかりのものであったのかは容易に想像できる。そして父がなりふり構わずに息子や娘に教え込もうとした人生指南、現代風に言えばキャリア教育の内実も、彼が苦難続きの紆余曲折を経て実社会で経験したものそのものであり、社会や他人をコントロールする、言うなれば、「したたかな処世術」であったのだ。そこには他人から見ればなんとも理解しがたい、レオポルト自身の多面的な人柄が反映され、それがために処世術のひとつひとつも、ときに矛盾し、ときに複雑に絡み合った。これもまた、いかにレオポルトが歩んだ半生そのものが、一筋縄でいかなかったものであったのかを物語っているのかもしれない。

 彼の処世術は「戦略」そのものであった。目標を定め、実現のための手段を冷静に判断するのは常識だが、人を欺くことも決していとわなかった。同時に思わぬところで、彼の押さえこまれていた感情が漏れたりする。冷徹な策略家であったレオポルトが、人間的な側面を垣間見せる瞬間でもある。彼と同じような人生を歩んだ人間には、このような戦略も身にしみて理解できるはずだ。はたして息子や娘が、父の苦難続きの半生の結実でもあるこの「戦略的思考」をどれだけ自分たちの人生で活用していけるのであろうか。

 いつの世も同じ、子どもは親が思うようには育たず、やがて親から独立していく。しかしいずこの親も子も経験する、こうした人生の「危機」が、モーツァルト父子の場合には、親子関係の危機となり、また父自身のキャリアの危機にも直結したことが、不幸であり宿命であった。とりわけ、息子の就職や結婚という息子自身の問題が、親たちの老後の生活を左右しただけに、息子の勝手にさせておける問題ではなかった。またこの問題が深刻であればあるほど、それはレオポルトと息子の関係に水を差すどころか、最終的に楔(くさび)を打ち込むまでになるのだ。父は自身の戦略的な処世術でもって、息子を成功へ導びこうとしたし、ザルツブルクにおいて自分の目が届く範囲に押し込めようと懸命な努力をしたのだが、息子はまったく「同じ」戦略的な処世術、つまり父から教え込まれた戦略でもって、その頸木から脱出をはかったのである。ウィーンに出た息子は最終的に「宮廷作曲家」の称号を手にするわけだが、レオポルトはその晴姿を見ないうちに亡くなってしまう、なんとも後味の悪い結果ではあるが、それがまたふたりの人生をよりリアルなものにしているのかもしれない。」

 2014年に書こうとして書けなかったこと、ようやく書けました。モーツァルトの家族の物語。家族はむずかしい、家族であるゆえにむずかしい。生きることはたたかい、生きることはむずかしい。モーツァルトの音楽が後世に残っていることに救いがあります。

「たたかい終わり、命果てるとも、評価は残る~♪」。

 





舞台写真は東宝の公式FBよりより転用しています。

今回縁がなかったけど木下晴香ちゃんコンスタンチェ、すごく歌うまだし可愛かっただろうなあ。キムを演じられるまでに成長してほしい。



山口祐一郎さんは声の出るところが違っていていやらしさ最高でした。
2012年の『エリザベート』、ルドルフデビューの時には声も線もひたすら細くってほんとにこわれそうだった印象の古川さんが、こうして銀橋で祐一郎さんと渡り合えるまでに成長したの感慨深いと同時になぜか一抹のさみしさがありました。こわれそうな危うさがそれはそれでよかった(観客って勝手ね、自分のこと)。


アイドルが帝劇はどうなのか正直よくわからない・・・。
(生田ちゃん、可愛いけどロミジュリで苦手でした)



アマデがずっと譜面を書き続けてきた大切な羽ペンをヴォルフガングに差し出し、その羽ペンを胸に刺して最期を迎える場面は壮絶でしたが古川さんヴォルフガングには希望がありました。



劇団ひまわりの公式ツィッターより転用しています。

爽介君アマデ、小さい体で、才能から逃れることなんか許さないぞ!とばかりに、ヴォルフガングを見つめる眼力がすごかった。パワー全開。ヴォルフガングにとびかかるシーン、すごかった。6月9日の、「今日は僕のためにありがとうございました」っていう挨拶、古川さんが仕込んだものであとで二人で怒られたとか。



憲ちゃんアマデ、爽介君とは違う役作り。出会えてよかった。子役ちゃんすごい。
二人がヴォルフガングとして戻ってくるまで生き延びて見届けたいなあ。
10年以上先の話、どうでしょうか。清史郎君はだんだん近づいてきた。


決断しなければなりません

2018年09月29日 19時37分35秒 | 日記
 またまた台風通過で雨の週末、昨夜は寝つけませんでした。疲れているのに寝つけませんでした。おそらく2時過ぎまで隣のチャラ坊がドタンバタン。こっちも金曜日の夜は遅くまで起きているから平気なのか音が響いてきて落ち着かず寝つけませんでした。3時ぐらいにはなんとか寝つけたのかな。二度も目がさめてしまいましたが最終的には今朝10時近くに起床。冷房入れて就寝したのが寒くって暖房に切り替えながらの三度寝。エアコンに送風はなくって暖房か冷房か除湿なので大変。エアコンつけてないと隣やご近所の音が丸聞こえ。網戸外されたままだから窓を大っぴらに開けられないし大変。不動産屋から宅配で送ってきた更新書類、受け取れないままほうっておいたら昨日ポストに入っていました。投函しにきたようです。ストレスフルになりながら開封すると、更新するなら15日までに保険料と更新料あわせて80,000円振り込めとのこと。このお金を支払って更新する部屋ではない。実家に戻るなら引っ越し料金はいかほどか2件問い合わせてみたところ大きな荷物を捨てても距離があるから100,000円はかかるみたい。今度の土曜日に一件見積もりに来てもらうことにしました。期限はせまってきています。決断しなければなりません。前の部屋で使っていたプロパンガス用のガステーブルを粗大ゴミに申し込み。蛍光灯は燃えないゴミに出せばいいとわかったので押し入れに眠っていた二個のうち一個の電気部分を廃棄。明日は笠を廃棄予定。軽いですがかさ張ります。ランプは一応外して保管。押し入れを眺めていたら前の部屋のために買ったカーテンも必要ないんだと気づき、まだまだ捨てるモノがいっぱいあるのだと知った次第。部屋に合わせて買ったものは全てもう必要ないことになります。引き払うと同時に一気に捨てるのが冷蔵庫、洗濯機、布団、すのこベッド。リサイクル料金と廃棄料とそれぞれかかります。布団とベッドは粗大ゴミで出せるから引き払うのに合わせて申し込めるなら申し込むか。全く実感はありませんがあと一か月半でまた失業者。こんなに大変な思いをして働いているのにまた失業者。人の心配する仕事なのに人のこと心配している場合ではなくこちらが失業者、不労収入で暮らしている奴らの心配をしている場合ではない失業者。削られてしまっているので今は先のこと、なにも考えられません。大会社に使い捨てにされてからの失業期間、全くの無収入で家賃を払い続けたのが響いて持ちこたえられないし、隣もヘンなオッサンもどうやらずっと部屋にいる気配のなかで、また失業者となって暮らし続けるのは無理。さみしさもありますが、決断しなければなりません。なにかをなしえたわけではなく、みっともないといえばみっともないですが、このまま家賃のために自分が削られ続けるのもつらい。知る人がいない環境は不安。日比谷が遠くなりますが来ることはできる。何回も観ることはできなくなりますが移動すれば観劇はできます。決断しなければなりません。

日比谷シャンテ宝塚ステージ衣装展_花組(1)

2018年09月28日 20時58分30秒 | 宝塚
 グチばっかりもつらいので息抜き投稿。日比谷シャンテ宝塚ステージ衣装展、花組は『ポーの一族』と『ハンナのお花屋さん』でした。





懐かしの『ハンナのお花屋さん』。毎日部屋ではDVDを流しています。
心の拠りどころ。


明日海りおさん、可愛い。











お花屋さんの衣装はすっごい木綿で着こなれた感ありました。


『ポーの一族』、明日海りおさんの衣装の胸元。細かいところまで丁寧に作り込まれていました。毎回スタッフさんの誇りと愛情を感じる衣装展。




いつものごとく何枚も撮ったのでまた後日アップしようと思います。

仕事も部屋も精一杯

2018年09月28日 20時33分14秒 | 日記
 昨夜、ドタンバタンに落ち着かなくってちっそくしそうになりながらホットワインから1時ぐらいになんとか就寝。すごく眠くってつらい朝でしたがなんとか無事に出勤できました。一一日いつこわれてしまうのか、毎日毎日わかりません。息詰まって逃げ場のない部屋に住みながら心身が削れる仕事をしていて、よく死なないなあって思いながらの一日一日。今週は3日しか働いていないのであっという間でしたが疲れました。朝記録をみながら記入しようとしていた書類をようやく記入できる状況になった時は就業時刻を過ぎていました。月曜日は月組の大劇場千穐楽ライヴビューイングを観るために最後の有給休暇を取るので今日中にやっておきたくってまた一円も残業代でない残業をしました。午前中電話がひっきりなしでした。今日は朝からわりと高齢の方々に取りつかれました。次から次へと、言われてもどうすることもできないこと、責任持てない内容のこともとにかく他に言うところがない状況になると困ってなんとかなるんじゃないかって電話がかかってきてしまいます。なんともなりません。なんでもかんでも叶うわけではないのですが、サンドイッチ状態になりながら調整役をせざるを得ないのが役割みたいで、あっちの電話もこっちの電話も受けては調整の電話をしていたら午前中が終わってしまいました。午後は記録を記載。パソコンでの方法がわからないので全て手書きでやっています。パソコンの方が早いよなあと思いながら手書きでずっときてしまったのでもういいです。手書きある意味新鮮。書き続けているとものすごく字がきたないですがわかればいいので気にしません。仕方ないです。あんなこともこんなこともと幅が広すぎてきりがなく、ほんとに心身が削られていく仕事だなあと思います。ハローワークの人に長くやれる仕事、高齢になってもやれる仕事だって言われたけど長くやる仕事ではありません。自分がすり減っていきます。こんな状況でも先のことを期限はせまりつつあるので先のことを決めなければなりません。お風呂あがりに押し入れの中をのぞきながら、前の部屋で使った蛍光灯もガス台も粗大ゴミに出さねば、そうすれば段ボール箱を置くスペースが確保できる。断捨離で押し入れの中は空間ができつつあります。布団とベッドはぎりぎりまで出せないなあ。あと大きなものはまとめて業者に頼むしかないなあとか疲れた睡眠不足の頭で考えていました。大事なことはすっきりした頭で考えて決めた方がいいんですよね、ほんとは。でも仕事もちっそくしそうな部屋もぱっつんぱっつんの精一杯で余裕はなく、期限はせまりつつあるので決断しなければなりません。日比谷は遠くなりますが、宝塚大劇場と、行ったことありませんが梅田芸術劇場は近くなるなあとぼんやり思います。ライブビューイング会場は遠くなるなあ、今ほどの利便性は享受できなくなるなあとぼんやり思います。美術館も遠のくなあ、そうでもない?フェルメール展いる間に行かなくてはとぼんやり思います。いつ大きな自然災害がやってくるかわかりません。平成元年から家賃を払い続けてきましたが、削られている心身を充電するためには休養が必要。そんなに時間はありません。

 明日はまた雨の予報、大規模修繕工事とやらが中止になることを願っています。また朝からベランダに入られるの、ほんとにかんべん。こんなん、管理組合から業者に定期的にお金を回さなきゃいけないからやっているだけにしかみえない。かんべんしてくれー!と叫び。また台風。月曜日の大劇場千穐楽が心配。ライブビューイングのチケットはほぼ完売状態みたいでさすがエリザ、さすがちゃぴさんの大劇場卒業。東京宝塚劇場公演観劇できると思わなかったので先に映像でみてしまう戸惑いもありまうが二度とない時間。まあいいか。最後の有給休暇。平日の午前中の部屋はどんな様子なのか気になります。また三連休になりますができるだけ睡眠のリズムをくずさないようにしたい。休日も一日、一日の日々です。

 長々と寄り道ブログ、失礼しました。

ここにもいられない

2018年09月27日 23時09分05秒 | 日記
 昨日、日比谷にいる間、心の底から幸せでした。観劇あと、人はみんな何かをまとって劇場をあとにします。何か満ち足りた感をまとって劇場をあとにします。だから日比谷にはいい空気が流れています。宝塚劇場、日生劇場、帝国劇場、いい舞台と出会ったあとの心は幸せに満たされます。日比谷はそんな心のパワースポット。友の会貸切公演の日、ロビーで観客を見送っている黒いパンツスーツの女性、東京宝塚劇場の支配人の方ですね。やっとわかりました。いつも素敵だなあと思ってお姿拝見していました。幸せな時間をありがとうございましたとお礼を言いたい気持ちでした。5,500円でこの幸せはありがたいです。日比谷を出れば現実。

 部屋に帰ってくると現実。また夜の10時過ぎから隣がドッタンバッタン、わさわさ。平日の昼間はずっといるのか、わかりません、自分はいないので。斜め向かいからはメンタルから不労収入で暮らしていると思われるヘンなおじさんの気持ち悪い声聞こえてくるし、あと1カ月半で業務終了ですが、また無職になって一週間とはいられないなあと気持ちは追い詰められつつあります。結局昨日まで朝早くから出かけていた人間が突然毎日いるようになったら怪しまれるだけ、ましてやこんなまるで公営住宅みたいにヘンな人たちが集まっている集合住宅、とてもじゃないけどいられません。不動産屋に隣の音聞こえないし、いろんな人がいるから安心して過ごせるって紹介されたけど、話し声聞こえてきます。ドアの開閉と水回りの音で生活時間帯丸わかり。今の業務ですっかり疲れてしまっている心身でやれるのか全く自信ありませんがとにかく業務終了後できるだけ早く逃げる準備をしなければなりません。準備のためには部屋にいなければなりませんがそれすら緊張します。平日の昼間でもご近所ずっといるみたいだから無理、無理。あーいやだ。引き払うとなると大きな荷物をいくつも処分しなければなりません。冷蔵庫と洗濯機はリサイクル法の対象品という壁がある、他にもテーブル、布団、すのこベッド、ハンガーラック、蛍光灯。部屋を出るのと同時にこれらを全部処分しなければなりません。とにかく逃げたい。家賃安いが売りの、もともとは分譲マンションだったみたいだけど古くなって今や投資型マンションに成り果てています。安上がりの手抜きリフォーム、部屋の持ち主が部屋に全く愛情をもっていない、こういう部屋に住んではだめですね。大規模修繕工事とやらで見てくれよくしているそばからポストをみていると今日も転出した人がいたようです。空いている部屋けっこうあります。見てくれをよくしたからとて古いので資産価値があがるとは思えません。世帯用の部屋には小さい子供がいる家族も住んでいるみたいですけど単身者の部屋はだめね。安い部屋も考えもの。質が悪い。まあ、わたし、こういう部屋に住む力しかないっていうことですけどね。売り上げを出さなければならない不動産屋のいうこともどこまで信用していいのかわからないし、足腰痛めているから休養は必要。家賃負担から自分を解放してあげようか。日比谷は新幹線で往復できる。高速バスだって走っている。スパに泊まればいい。とにかく無職になったらいられない。しゃくねつじごくの夏をなんとか生き延びました。あと一か月半、生き延びることができるでしょうか。明日も出勤。とにかく休まねば・・・。

 今夜も無事に眠れますように、明日も無事に出勤できますように・・・。

花組『MESSIAH』『BEAUTIFUL GARDEN』

2018年09月26日 22時43分21秒 | 宝塚
 朝から雨の一日、昨夜は就寝が1時を過ぎてしまったかなあ、それで7時20分には起きたので休みとしては睡眠不足でしたが、待ちに待った花組の13時30分からの公演の観劇してきました。終わってしまうと旅の終わり海外の空港でNARITAの文字を電光掲示板でみたときに感じたさみしさと同じ感覚。わたしにとって今日が夏の終わりとなったような気がします。このしゃくねつじごくの夏をカレンダー通りに出勤し続けて、しかも睡眠のリズムを崩したのでかなりの睡眠不足状態でよく死ななかったなあと思いながら観劇しました。芝居ではあごひげつけて目をつり上げて住民を情け容赦なくいためつける徹底的な悪代官だった鳳月杏さんが、ショーではトロピカルムード満点の衣装で登場していい声と満面の笑顔と安定の歌唱で「ジラされて熱帯」を歌ったとき、思いっきりしびれました。これが宝塚! 指揮は西野淳さん、すごく楽しそうでオケボックスにオペラグラスを向けるのも楽しい3時間でした。開演前座席に座って音あわせを聴く時間。生演奏の醍醐味、幸せ時間。

 全く分かっていませんでしたが、三井住友VISAカードと宝塚友の会との共同貸切公演とのことで、開演前に高翔みずき組長のあいさつ、終演後に明日海りおさんのあいさつがありました。みりおさん、三井住友カードになっていたり、宝塚歌劇を、っていうところ、噛んだりしていました。可愛かったですけどね、芝居のなかでも3万7千のところ、噛んでいてお疲れなのかなとちょっと心配になりました。気温の乱気流の中、大変ですよね。なんかでも舞台中はスターオーラがあふれていました。1月3日以来の花組、みりおさん、生で拝見。いつ退団してもおかしくないので、今回が生はほんとに最後かも。そう思いながら拝見しました。ショーの最後でみりおさんが「エターナルガーデンタカラヅカ 幼い日に憧れた花の園~♪」って歌い上げた時、そもそもは退団公演だったの?って思ってしまいました。みりおさんの宝塚愛にあふれた歌唱でした、そしてさよならをしていこうとしているようにしか聴こえなくって、サヨナラショーにみえてしまいました。それぐらい熱い想いがあふれているのが伝わってきました。この時の薄紫色の衣装、男役さんの衣装ですがズボンの後ろにレースがあしらわれていて素敵でした。一番好きな場面だったかも。

 明日は出勤なので仕方なくちっそくしそうな部屋に帰ってきて書いているので断片的。芝居は脚本が少し薄いかなあと思いました。脚本のすきまを花組生の熱量がうめている感じだったでしょうか。天草四郎が島原の人たちの想いに触れて一揆をひきいていくまでの流れがしっくりとはこなかった、何が彼を駆り立てなのかは弱かったかな。でも涙は出ました。四郎とリノとの関係性とか、最後幕府軍に敗れた民たちが大階段で倒れている姿が十字架をつくっているところとか場面場面は悪くない。柚香光さんのリノ、いい役でした。どんどんいい芝居をしているなあって思いました。水美舞斗さんの松平信綱がすごくよかった。難しい立場の苦しさが変わらない表情のうらによく滲み出ていました。幕府の名代として一揆が起こった天草に赴き、降伏の条件をリノに出すも、3日待っても「来なかった」が(来てほしかった、来るのを待っていたけど)来なかった」に聴こえました。綺城ひかりさんの鈴木も何気にキーマンで気になりました。物語の展開の中では鈴木が誰かのか今ひとつわかりにくかったのが残念。プログラムを読んで幕府側で、気持ちは一揆をおこした人たちによっていたのだと納得。あと瀬戸かずやさんがお父さんで桜咲彩花さんがお母さんの渡辺小左衛門一家の四人の子どもたちがすごく可愛かった、今花組で推し推しの娘役さんたちが演じているの、ほっこり家族。嵐で天草の地に流れ着いた四郎が子どもたちと浜辺で遊ぶ場面、可愛かったあ。ほんとに若いお父さんと子どもたちみたいだった。瀬戸かずやさんのダンディぶりにさらに磨きがかかっていたし、桜咲彩花さんは娘役さんらしいたおやかさと美しさにあふれていました。

 ショーは、ちとコテコテすぎた感なきにしもあらずでしたが、盛だくさんといえば盛りだくさんで楽しかったです。アダルティな場面と夏ムード満載場面と若手チームとベテラン・中堅チームとわりとはっきりわかれていたかな。水美舞斗さん大活躍、身体能力すごい。まだまだ書きたいことがいっぱいですが時間切れとなってきました。隣が10時過ぎてからドタンバタンしてたけど静かになったかな。このまま静かだといいけど、とにかくこの部屋で休むしかありません。





開演前に食べたかった公演デザートいただきました。



芝居の幕開け。実際にリノが描いた南蛮絵だそうな。



やっとわかったインスタスポット。



ショーの幕開け。天井まで綺麗でした。



明日は4カ月ぶりの有給休暇

2018年09月25日 22時50分41秒 | 日記
 明日は花組、有給休暇の申請ノートに記入したらなんと5月以来の有給休暇取得。自分でもびっくり。この日のために7月も8月もカレンダー通りに出勤し続けてきたのに肝心の明日疲れてしまっているかも。過去の休むために働いて働いてやっとこさ海外にたどり着いたときみたいに。連休明け、なかなかできていない会議のための書類を準備したかったのに朝から次々とかかってくる電話対応に追われ記録を書いていたら気がつけば終業時刻。このままでは永遠に準備できなさそうなので一円も残業代でない残業しました。一時間半ぐらい。予算は決まっているので一円も出ません。それでもやらないと今は仕方ないです。だから明日は休みといってもあまり時間はありません。朝から出かけるのでいつもより40分ぐらいおそいだけの起床時間。いや40分もないか。どっちみち大規模修繕工事とやらで明日も足場からベランダに入られてしまうみたいなので部屋にはいられないしゆっくりできる環境ではないので同じですけどね。このままこの部屋で暮らしながら今の仕事を続けていたらほんとに病気になってしまいそうです。タイミングなのかな。マンションの契約終了まで二カ月半ほどあるのに不動産屋が宅配便で書類を出してきていて、奴らに不信感抱いているから不在連絡票そのままにしておいたら荷物が戻って不動産屋から日中何度もスマホに電話が入って、仕事中だからほっといたら保証人である弟のところにまで電話したらしい。何かあったの?ってLINEが。なにもない、受け取っていないだけ。更新したくないと返信。一度帰ってきて考えたら?との返信。やさしいな。母よ、こんなに優しい息子を育てたのはあなたよ、優しすぎるからうまくいかないこともあるぐらい優しいやないか。あなたの子育てが間違っていたっていうことはないと思うよ、と心の中で母に話しかけました。帰れば日比谷は遠くなりますが宝塚大劇場は近くなります。この部屋はとにかくこれ以上無理、更新するなんてあり得ない。ダメ要素が多すぎる。すごい坂道を訪問で歩いて足腰痛いので休養は必要だし遺品整理したいし、引き上げるとなると大きな荷物全部処分だから決断が大きすぎてなかなかできないけどあと一か月で決めなければなりません。固定の勤務先がないと結局どうにもならない。ここまでがんばってきたんだし、いつ大きな災害がやってくるかわからないことを思うと近所に誰も知る人がいないところで心細い。東日本大震災のあと迷いながらも決断できなかった。なんか情けない感じだし、心残りもあるけど、日比谷が遠くなるのさみしいし、美術館やイベントからも遠のくけど、またどこからも誰からも必要とされずに社会から孤立して徘徊する日々を送るのはつらすぎる。どうしましょう。今夜はもう考えるまい。

 明日は花組。肝心の時疲れがでないように洗濯物を干して準備せねば。眠れるかな。ある意味緊張。休み前なのに緊張。少しでも眠れますように・・・。

星組『ANOTHER WORLD』『キラールージュ』_思い出し日記

2018年09月24日 19時51分40秒 | 宝塚
2018年6月30日_星組『ANOTHER WORLD』『キラールージュ』

https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/preview?eid=c8432bc6dbaabcd29735be22f4cc3c21&t=9655097895ba8af0f90a7a?0.27053912348637565


2018年7月22日_星組『ANOTHER WORLD』『キラールージュ』東京宝塚劇場千穐楽ライヴビューイング
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/preview?eid=08bf9d4a7ff27dbb922b4f43ea3d513a&t=4508931935ba8ae9848a8f?0.64221943347282


 6月30日(土)東京宝塚劇場、7月22日(日)東京宝塚劇場千穐楽ライヴビューイングと二回観劇することができた星組公演。楽しく幸せな時間でした。あの時間に戻れるなら戻りたい、心からそう思います。きつい仕事とこれからのことを決めなければならないプレッシャーに感情が疲れてしまっているのを感じます。体以上に心が疲れてしまっているのを感じます。時間は刻一刻と迫りつつあります、部屋は今の就労先の名前を書いて契約更新し、また失業給付を受けながら次をさがすのが一番妥当なのだろうと頭ではわかっていても、とてもじゃないけど平日の昼間安心していられるような環境じゃないし、水漏れが起こっていることを知りながら部屋を貸した大家にこれ以上家賃を払い続けるの悔しくて心の底から更新したくありません。現実逃避している場合ではないのですが、人のことを心配している場合ではないのですが、明日何が起こるのかわからないのですが、明後日は待ちわびた花組公演で休むぞってがんばっていて、こうして楽しかった時間へと現実逃避。

 楽しい公演でした。幕開けのチョンパ、幕がさっと上がった瞬間飛び込んできた、目がいくつあっても足りない端から端まで華やいだ雰囲気、ライブビューイングではさすがに舞台全体を見渡すことは無理で生でなければ味わえない臨場感があったのだと実感。ミラーボールがみえるし上から全体が見渡せる二階席なかなかのもの。友の会ありがたや。6月30日の『キラールージュ』では紅ゆずるさんがアドリブで「友の会」「友の会」って叫んでくれました。紅さんのアドリブ力、ほんとにすごいと千穐楽で実感。星組全体がこの公演でアドリブ力、あがったかなって思いました。紅さん率いる星組の一人一人の個性全開の公演でした。キャストのみなさん、大変だったと思いますが楽しみながら演じられたのではないでしょうか。喜六の七海ひろきさん、初日映像とくらべると、「5日前にさばいた鯖にあたってコロッといった」っていう場面で「コロッ」って言いながら足をあげるの、足のあげ方が千穐楽ではのりのりでした。めいど・かふぇの初音さん、有沙瞳さんも赤鬼の瀬央ゆりあさんも三途の川の船頭の杢兵衛、天寿光希さんものっていました。『ANOTHER WORLD』、日本物なのにあの世をこうして英語で表現したところがまず、落語を題材にしているという作品の入口としてすんなりと入りやすくなっていたと思います。紅ゆずるさん、妃咲愛里さん、礼真琴さん、お三方のこの衣装、死装束だそうです。言われてみればなるほどですが華やかで気づきませんでした。ネガティブな題材と宝塚がうまく融合しています。康次郎さん御一行と一緒ならあの世も楽しそう。めいど・かふぇに、冥途大学(略してめい大、東京では明治大学?というアドリブでした)、あの世にも受験戦争があるそうな。冥途歌劇団では植田理事のお名前も登場して、演目が「ベルサイユのはす」、脚本がうまくできているなあと思いました。康次郎さん御一行の関西言葉と徳三郎御一行の関東言葉とが一緒に舞台にのっかっているのに違和感なく入ってきたのはキャストのみなさんの力。大劇場よりもテンポがおそくなっているという投稿をSNSでみかけましたが、テンポよく進めていくための間の取り方も難しかったのではと思いましたが、努力のあとを感じさせないところが素晴らしいです。康次郎さんの「この世は極楽、いのちに感謝や、生きてりゃいいこともある」が谷先生の書きたかったことなのかな。トップになるまで苦労の道を歩んできたであろう、でもどんな時でも笑顔を失わないできたであろう紅さんがいうとなんだか押しつけがましくなく
て素敵でした。幕が降りると、チーンという音が流れるオチがついていました。苦しい時、心のエネルギーをもらえそうな舞台。宝塚では異色の作品だったかもしれませんが、紅ゆずるさんと星組という役者を得て最高のあて書き作品となりました。


「作詞:谷正純 

 生まれ落ちたる 命ぞ宝

 貰ったお宝 ありがたく

 悩みあろうと ただ生き抜いて

 この世の喜び 謳歌しろ

 そーりゃ そりゃ そら ありがたや

 そーりゃ そりゃ そら ありがたや


 死んだとてとて 御霊(みたま)は残る
 
 あの世で大事は 御霊だけ
 
 醜女醜男(しこめぶおとこ)何するものぞ

 清い御霊が救われる


 そーりゃ そりゃ そら なんまいだ

 そーりゃ そりゃ そら なんまいだ

 あの世とこの世 心で結ぶ

 身は離れても 絆は消えぬ
 
 消えぬ絆はいついつまでも
 
 互いの幸(さち)に 手を合わせ

 
 
 そーりゃ そりゃ そら ありがたや

 そーりゃ そりゃ そら なんまいだ

 そーりゃ そりゃ そら ありがたや

 そーりゃ そりゃ そら なんまいだ

 そーりゃ そりゃ そら ありがたや

 そーりゃ そりゃ そら なんまいだ


 なんまいだ」

 最後にチーン、フレーズが耳に心地よく残りました。


舞台写真はWEBRONZAよりお借りしています。






6月30日の東京宝塚劇場。




































もう少し書きたい感もありますが時間切れとなってきました。
たぶん波瀾万丈の一日が待っています。今夜眠れるかな。
明後日は花組だよ。
いい舞台との出会いが生きる喜び。

ミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』

2018年09月23日 23時06分48秒 | ミュージカル・舞台・映画
 約2か月ぶりに生の舞台を観劇してきました。博品館劇場で上演中の『ドリアン・グレイの肖像』。銀座に行ったのはいつ以来だろう。普段気持ちがさがるところにいるので、全く縁のない高級ブランドが並んだ通りを歩くのはそれだけで気持ちが上がりました。銀座駅でおりてから四丁目、五丁目、六丁目と歩くの気持ちよかったです。歩行者天国で子どもちゃんたちも安心して走り回れる休日の午後。終演後は日比谷まで道間違えながら歩いてシャンテのカフェで宝塚劇場を眺めながら食事しました。食事の前に月組のチケットも引き換えきたし、先日買えなかった『凱旋門』のプログラムもげっと。食事を終えて店を出るとちょうどみりおさんが楽屋出のタイミングで遠くからお姿拝見。ものすごく細かった。軽そうにみえました。あんなに細い体で娘役リフトする場面があるみたいなので体が心配です。

 さて、前を通ったことはあるけど中に入るのは初の博品館劇場。舞台はディープで下北沢の本多劇場にいるような感覚。同時に歌とダンスがずっと続いたので、ある意味極上のエンターテインメントをみた感覚でした。出演者がみなさん踊れる方ばっかりでダンスの芝居力がすごかったし、ずっと続く歌も上手かったです。歌い上げるような曲はなく、同じ歌詞、同じフレーズを出演者が何度も歌っていたように思います。二幕だったかな突然ロック調になったり。拍手はカーテンコールのときだけ。それまでずっと観客は見守り続けながら舞台は進んでいました。フィナーレにドリアンのコピーみたいな髪型でみなさん登場されてダンスを繰り広げたのはなんかそれまでの退廃的な世界観をある意味ぶちこわし。剣幸さんまで登場してドリアンのコピーの髪型で踊っていました。賛否両論あると思いますがちょっと小ばかにしたようなこの終わり方、笑いを感じてわたしは好きです。女性陣が全員宝塚OG、トップスター、トップ娘役だったのはねらったわけではないそうですが偶然ではなく必然。ヴィクトリアの彩輝なおさんがあんなにいい女とは知らなかった。グラディス風花舞ちゃんはセレブレーション宝塚以来。表現力のあるダンス力健在、スタイルいいし歌上手くなっているしさらにみがきがかかっていました。物語のキーマンアガサの剣幸さんはさすがの佇まいでした。

 そしてお目当てのシビル・ヴェイン蘭乃はなさん、登場シーンが下着みたいなレースたっぷりの衣装に毛がふわふわとした大きな帽子。すごく似合っていて可愛かったし、表情も声色もすでに病んでいる感たっぷりでインパクトのある登場でした。前衛劇を即効で演じる自称女優で、ドリアンに惹かれ、だんだん狂っていく様はオフィーリアを彷彿とさせました。最後はジュリエットのように、この胸が鞘とナイフで自ら命を絶ってしまいます。ドリアンにもてあそばされた哀れな女優。脚本・演出の荻田先生、ブログで蘭ちゃんを時々出現するぶっとび系娘役と称賛されていますが持ち味をうまくひきだしてくれたなあと。自由の翼を得て呼吸する野性味、顔小さくて手足長くてものすごく細くて華がある。セクシーなのにアダルティではなく下品にならないところが蘭ちゃんの素の持ち味かな。歌は魂の叫びを歌ったいるような感じでダンス力を存分に生かしながら変で哀れな女優を見事につきぬけて演じていました。可哀想だけど可愛い、可愛いけど可哀想みたいな。いい意味で宝塚の娘役の殻を突き破り、下北沢のアングラ劇場の女優みたいなのにちゃんとエンターテインメント性をキープ。仕草もきれいでした。良知真司さんドリアンと蘭ちゃんシビルはなんか同士のような似ている感を感じました。蘭ちゃんが壁の前で肖像のようになった時のポージングと良知さんドリアンの肖像のポージングが全く同じにみえて、そういう演出なのかわかりませんが二人にはトートとエリザベートのような関係性を感じました。互いのなかに内在化されたような存在のような。二人のキスシーン多かったですね。良知さんドリアンは男性陣とのキスシーンも何回もあって同性愛だったという作者ワイルドの面影を感じました。良知さんというと『ブラック・メリーポピンズ』の不安障害のあるヨナスが印象的。このことはまた後日書けたらいいなと思います。東山義久さん、初代トートダンサーのお一人、蘭ちゃんとは昨年の『CLUB SEVEN ZERO』に続く共演。歌もダンスもさすが。秘密のクラブの経営者という役どころ、すごくお似合いでした。蘭ちゃんシビルの弟役のジェイムズ木戸さん、かわいいお顔立ち、ジュノンボーイ出身に納得。ジェイムズが殺されてしまうと天使の蘭ちゃんシビルが迎えに来て二人で寄り添うように眠る場面、蘭ちゃんが木戸さんの首に腕を絡ませて優しく抱くように寄り添う姿が二人とも天使で可愛くて目福でした。お似合い、姉弟だけどお似合い。ドリアンの肖像をダンスで表現していた長澤風海さんはバレエダンサーに納得。ダンスでの表現力豊かな役者が揃った舞台でした。30日までやっています。美しく官能的で退廃的な世界を体験したい方は是非。

この舞台、みりおさんと花組に観劇してほしい、こんな自由な翼を得てぶっ飛んでいる蘭ちゃん是非みてほしいけど時間的に無理か・・・。







2018年『モーツァルト』_家族の物語

2018年09月22日 16時52分34秒 | ミュージカル・舞台・映画
 こちらの記事の続きです。『モーツァルト』は家族の葛藤の物語でもあります。ウィーンへと旅立っていったヴォルフガングを心配しながらザルツブルクで待つ姉ナンネールと父レオポルトの姿は、ヴォルフガングが無邪気であればあるほど切ないものがありました。「魔笛」の成功で喝采を浴びるモーツァルトの姿に危うさを感じたレオポルトは、モーツァルトを戒めてザルツブルクへと帰っていってしまいます。レオポルトはヴォルフガングに愛情を注ぎ込んだのに、自分のありったけを注ぎ込んだのに親子はすれ違ったまま、レオポルトは息を引き取り永遠のお別れをすることとなりました。家族はむずかしいです、家族だからこそむずかしいです。レオポルトのやり方は必ずしも正解ではなかったのかもしれませんが、わたしたちが今モーツァルトの楽曲を耳にすることができるのは、レオポルトあってこそだと思いたい。いやきっとそうに違いないと思います。


2018年8月19日_2018年『モーツァルト』_大千穐楽https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/889dd3a4c35650fbc7b1f12056fdb5f7


 「2014年公演のプログラムより モーツァルト~父と子の肖像~


 こうなると、父レオポルトがどんな人物だったのかを知りたくなるのも当然だ。彼の父、つまりアマデウスの父方の祖父は南ドイツの町アウグスブルクで製本業を営んでいた。この職人の家に長男として生まれたレオポルトは幼いころから頭がよく、当地の厳格な教育で知られたイエスズ会系の学校に学び、将来は聖職者の道を歩むことを決め、周りもそれを期待した。しかし大学への進学を目前にした17歳のとき、父が他界。そうなると家業と残された母や弟や妹の生活が長男の肩に重くのしかかったのだ。レオポルトはやむなく高等学校を退学した。

 しかし1年半後彼は再び聖職者の道を歩むべく、家族を捨てるようにして、ザルツブルクに向った。大学にも入学し、これで人生はうまく運ぶかに思われた。しかしかねてから宗教界に対して批判的だった彼は大学を中退し、ザルツブルク大聖堂参事の貴族の侍僕となった。やがて宮廷楽団のヴァイオリン奏者にとりたてられ、その後宮廷音楽家としての出世街道を歩んだのである。これで彼の博学ぶりの源がわかっていただけただろう。またイエスズ会系の学校は音楽や演劇などの教育にも熱心で、レオポルトは郷里にいてすでにオルガンやヴァイオリンなどをしっかりと学んでいたのである。

 出世街道を歩んでいたレオポルトにとって大きな転機になったのが、息子の誕生であった。息子の才能に驚き、それを「神からの賜物」としてその才能を開花させ、世に知らしめることが自分の責務だと確信したのだ。それにしても神から授けられたこの奇跡を、神が望まれたように育てることは容易ではない。これまでのキャリアをここで止め、これからは息子のため、いや神のご意志のために、これからのキャリアをも犠牲にしなくてはならなかったからだ。

 息子の才能は、父の存在をこれほどまでに揺さぶるほどに確かなものだった。息子の成長に関心を向けた瞬間に、視界からあらゆるものが消えてしまった。自分という存在が消え、息子という、この神が与えた奇跡の中に吸い込まれていってしまうのではないかという恐怖をレオポルト自身は感じたのかもしれない。しかしこの転機がもたらした人生の「亀裂」がいかに危機的であり、はかり知れず深いものであったことを、彼は後に痛いほど思い知らされる。」


 自分の庇護のもとにあれば人生は間違いないというレオポルトのもとを離れていこうとするヴォルフガング。その背中を押すのがヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」。節目節目でヴォルフガングの前に現れるヴァルトシュテッテン男爵夫人の微笑みの裏にあるものはなんだったのか気になります。

 ヴォルフガングに失望したレオポルトはナンネールの子供を「わたしはもう一人天才を育てることができます」といってコロレド大司教に引き合わせますが、ヴォルフガングの才能に気づいていたコロレド大司教は全く相手にしません。これまた切ない場面でした。



山口祐一郎さんコロレド大司教、市村正親さんレオポルト、山崎育三郎さんヴォルフガング
(東宝公式FBより転用しています)。



憲ちゃんアマデと大切な宝石箱
(劇団ひまわりの公式ツィッターより転用しています)。

終始冷ややかな表情に徹していたアマデが最後にヴォルフガングに慈愛の表情をみせて、ヴォルフガングが胸に羽ペンを刺すとヴォルフガングの膝に崩れ落ちて共に旅立っていく姿は鮮烈でした。