「音楽奇譚
『龍の宮(たつのみや)物語』
作・演出/指田 珠子
遠い昔、夜叉ケ池という池で干ばつが続いた。村の長者は自らの娘を生贄として池に棲む龍神に捧げ、村には再び雨が降るようになったという……。
明治中期、実業家島村家の書生・伊予部清彦は、仲間達との百物語で、夜叉ケ池の怪談話を知る。度胸試しに一人池へ向かった清彦は山賊に襲われている娘に遭遇する。清彦が娘を助けると、娘はお礼に清彦を池の奥底にある龍神の城・龍の宮(たつのみや)へ連れて行く。清彦が助けたのは、龍神の姫・玉姫であった。清彦は姫を救った恩人として丁重にもてなされ、宮殿での豪華な生活に浸りながら、姫の怪しい美しさに惹かれていった。やがて数日が過ぎ、友人達や島村家の令嬢百合子のことが恋しくなった清彦は、玉姫に地上へ帰りたいと告げるのだが……。
夜叉ケ池伝説と105年前にも宝塚で上演されたお伽話『浦島太郎』、青年と龍神の姫の愛憎織り成す異郷訪問譚。
この作品は、演出家・指田珠子の宝塚バウホールデビュー作となります。
伊予部清彦 瀬央 ゆりあ
玉姫 有沙 瞳
島村政光/銀山 美稀 千種
龍神 火照 天寿 光希
黒山椒道 大輝 真琴
岩鏡 紫月 音寧
木蓮 紫 りら
回想の青年 拓斗 れい
山彦 天華 えま
お滝/多江 澪乃 桜季
松二郎 天路 そら
金本 遥斗 勇帆
弥五郎 蒼舞 咲歩
瑠璃法師 七星 美妃
桂介 隼 玲央
白川鏡介 朱紫 令真
薊 きらり 杏
源五郎 夕陽 真輝
火遠理 天飛 華音
伊吹 紅咲 梨乃
島村松子 都 優奈
子供の頃の清彦 奏碧 タケル
百合子 水乃 ゆり
竹雄 鳳真 斗愛
笹丸 澄華 あまね
お梅 侑蘭 粋
回想の娘/菖 星咲 希
昌介 紘希 柚葉」
(劇団HPより)
オンデマンド配信の視聴期限が終わっていくので少しだけ備忘録。
バウホール公演は一本物でじっくりと描けるし、大劇場公演ではなかなか役がつかない下級生も活躍できるし、冒険的な新しい世界観が生まれていいですね。暗い物語なのに、心に残るのは清らかさ。清彦@せおっち(瀬央ゆりあさん)、ものすごく美人さん、龍の宮に連れていかれたときにまとう着物の着流し方と、書生の役だからかザ男役という雰囲気にはなっていないところがなんとも美しい。男役としては口紅が赤いし、雰囲気がすごく柔らかい。清彦の先祖に怨念を抱き続けながら生きている玉姫に、自分を殺すことで安らぎを得られるなら殺してくださいという場面、優しい心をもった青年役が似合っているなあと思います。
有沙瞳ちゃん@玉姫、龍神@天寿 光希さんに愛されながら、自分を見捨てた清彦の先祖を忘れることができず竜となって、恨みを抱きながら生き続ける女性、クライマックスに清彦の前で竜となり生贄となろうとしている自分を見捨てた青年が会いに来た時自分の醜さに驚いた様を「実にこっけいだったよ」と声高に嘲笑うところ、かなりエコーをかけているのかなと思いますが、身勝手な人間を、それでも愛さずにはいられない感じがよく出ています。玉姫の心を救うために清彦を殺そうとする龍神から清彦を守ろうとして斬られ、清彦の腕の中で幸せに満ちた顔で死んでいくところから、玉姫の残り香を抱きしめながら涙するラストシーン、生で観劇していたら涙があふれてしまっているだろうなと思います。
山彦@天華えまさん、清彦をいちばん思っている書生の仲間。すっごい美人さんでこれから大劇場公演でも主要な役を担っていく一人と期待している男役さん、ここでは二番手ポジ。せおっちの清彦とは対照的にかなり地色が黒い舞台化粧に裸足で男くさい雰囲気。意外だとびっくりしたのは笹丸@澄華 あまねちゃん、娘役さんが低い声を出していて、清彦に龍神と玉姫が命を狙っていることを知らせようとする正義感のある龍の宮の少年役を好演。大劇場で大きな役がついていくことを期待したいところ。
音楽が耳になじみやすく心にのこるメロディーライン。フィナーレつき、龍の宮の個性的なキャラクターを演じている生徒さんたちが、男役さんも娘役さんも個性的なお化粧のままフィナーレ衣装を着て踊っているところがなんとも宝塚らしくてよき。天華えまさんがセンターの男役さん群舞から水乃ゆりちゃん率いる娘役さん群舞、男役さんと娘役さんと一緒に群舞の振付がすごい、せおっちと有沙瞳のデュエットダンスは役の延長線上にある雰囲気で芝居では全く笑うことのない瞳ちゃんの幸せそうな笑顔、だから宝塚は幸せな気持ちになります。リフトもあり。カーテンコールでせおっちが「清らかな心でこれからも舞台に立っていきたい」と言っているのが印象的。
書き始めると尽きませんが今はこれぐらいで。なかなか観劇備忘録、追いつきませんが時間にはかぎりがあるので仕方ないですね。夜と休日はあっという間です。また長い一週間、果てしない一週間、そのあとには『ポーの一族』のライブ配信と、雪組大劇場千穐楽ライブビューイングが待っています。『アナスタシア』のチケットが届くはずだし、そのために公演が無事に続いていくことを祈りながら一日一日を生き延びていく、それだけです、今は。
オンデマンド配信、1か月1,650円(税別)で心が救われるなら、薄給ですが実質ただみたいなもの、ありがたい。
『龍の宮(たつのみや)物語』
作・演出/指田 珠子
遠い昔、夜叉ケ池という池で干ばつが続いた。村の長者は自らの娘を生贄として池に棲む龍神に捧げ、村には再び雨が降るようになったという……。
明治中期、実業家島村家の書生・伊予部清彦は、仲間達との百物語で、夜叉ケ池の怪談話を知る。度胸試しに一人池へ向かった清彦は山賊に襲われている娘に遭遇する。清彦が娘を助けると、娘はお礼に清彦を池の奥底にある龍神の城・龍の宮(たつのみや)へ連れて行く。清彦が助けたのは、龍神の姫・玉姫であった。清彦は姫を救った恩人として丁重にもてなされ、宮殿での豪華な生活に浸りながら、姫の怪しい美しさに惹かれていった。やがて数日が過ぎ、友人達や島村家の令嬢百合子のことが恋しくなった清彦は、玉姫に地上へ帰りたいと告げるのだが……。
夜叉ケ池伝説と105年前にも宝塚で上演されたお伽話『浦島太郎』、青年と龍神の姫の愛憎織り成す異郷訪問譚。
この作品は、演出家・指田珠子の宝塚バウホールデビュー作となります。
伊予部清彦 瀬央 ゆりあ
玉姫 有沙 瞳
島村政光/銀山 美稀 千種
龍神 火照 天寿 光希
黒山椒道 大輝 真琴
岩鏡 紫月 音寧
木蓮 紫 りら
回想の青年 拓斗 れい
山彦 天華 えま
お滝/多江 澪乃 桜季
松二郎 天路 そら
金本 遥斗 勇帆
弥五郎 蒼舞 咲歩
瑠璃法師 七星 美妃
桂介 隼 玲央
白川鏡介 朱紫 令真
薊 きらり 杏
源五郎 夕陽 真輝
火遠理 天飛 華音
伊吹 紅咲 梨乃
島村松子 都 優奈
子供の頃の清彦 奏碧 タケル
百合子 水乃 ゆり
竹雄 鳳真 斗愛
笹丸 澄華 あまね
お梅 侑蘭 粋
回想の娘/菖 星咲 希
昌介 紘希 柚葉」
(劇団HPより)
オンデマンド配信の視聴期限が終わっていくので少しだけ備忘録。
バウホール公演は一本物でじっくりと描けるし、大劇場公演ではなかなか役がつかない下級生も活躍できるし、冒険的な新しい世界観が生まれていいですね。暗い物語なのに、心に残るのは清らかさ。清彦@せおっち(瀬央ゆりあさん)、ものすごく美人さん、龍の宮に連れていかれたときにまとう着物の着流し方と、書生の役だからかザ男役という雰囲気にはなっていないところがなんとも美しい。男役としては口紅が赤いし、雰囲気がすごく柔らかい。清彦の先祖に怨念を抱き続けながら生きている玉姫に、自分を殺すことで安らぎを得られるなら殺してくださいという場面、優しい心をもった青年役が似合っているなあと思います。
有沙瞳ちゃん@玉姫、龍神@天寿 光希さんに愛されながら、自分を見捨てた清彦の先祖を忘れることができず竜となって、恨みを抱きながら生き続ける女性、クライマックスに清彦の前で竜となり生贄となろうとしている自分を見捨てた青年が会いに来た時自分の醜さに驚いた様を「実にこっけいだったよ」と声高に嘲笑うところ、かなりエコーをかけているのかなと思いますが、身勝手な人間を、それでも愛さずにはいられない感じがよく出ています。玉姫の心を救うために清彦を殺そうとする龍神から清彦を守ろうとして斬られ、清彦の腕の中で幸せに満ちた顔で死んでいくところから、玉姫の残り香を抱きしめながら涙するラストシーン、生で観劇していたら涙があふれてしまっているだろうなと思います。
山彦@天華えまさん、清彦をいちばん思っている書生の仲間。すっごい美人さんでこれから大劇場公演でも主要な役を担っていく一人と期待している男役さん、ここでは二番手ポジ。せおっちの清彦とは対照的にかなり地色が黒い舞台化粧に裸足で男くさい雰囲気。意外だとびっくりしたのは笹丸@澄華 あまねちゃん、娘役さんが低い声を出していて、清彦に龍神と玉姫が命を狙っていることを知らせようとする正義感のある龍の宮の少年役を好演。大劇場で大きな役がついていくことを期待したいところ。
音楽が耳になじみやすく心にのこるメロディーライン。フィナーレつき、龍の宮の個性的なキャラクターを演じている生徒さんたちが、男役さんも娘役さんも個性的なお化粧のままフィナーレ衣装を着て踊っているところがなんとも宝塚らしくてよき。天華えまさんがセンターの男役さん群舞から水乃ゆりちゃん率いる娘役さん群舞、男役さんと娘役さんと一緒に群舞の振付がすごい、せおっちと有沙瞳のデュエットダンスは役の延長線上にある雰囲気で芝居では全く笑うことのない瞳ちゃんの幸せそうな笑顔、だから宝塚は幸せな気持ちになります。リフトもあり。カーテンコールでせおっちが「清らかな心でこれからも舞台に立っていきたい」と言っているのが印象的。
書き始めると尽きませんが今はこれぐらいで。なかなか観劇備忘録、追いつきませんが時間にはかぎりがあるので仕方ないですね。夜と休日はあっという間です。また長い一週間、果てしない一週間、そのあとには『ポーの一族』のライブ配信と、雪組大劇場千穐楽ライブビューイングが待っています。『アナスタシア』のチケットが届くはずだし、そのために公演が無事に続いていくことを祈りながら一日一日を生き延びていく、それだけです、今は。
オンデマンド配信、1か月1,650円(税別)で心が救われるなら、薄給ですが実質ただみたいなもの、ありがたい。