行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

財界のおもちゃにされた日本郵政

2017-05-01 21:15:02 | Weblog
民営化になってから郵便局職員は親切になった。年賀状の売り込みにも来る。日本の郵便物の配達は最近不祥事も無く、正確に届いている。日常生活やビジネスで、郵便システムの信頼性が無ければ経済は成り立たない。配達員や職員は毎日真面目に働いている。ところが日本郵政は2年前に買収した豪州の物流会社トール・ホールディングの資産を洗い直し、4003億円の損失(減損処理)を明らかにした。そして、2017年3月期決算は赤字に転落する。買収価格は6600億円で当時から「高い買い物」と言われた。現時点の資産価値は2600億円ほどで買収価格との差、約4000億円が「のれん代」として計上され、それがオーストラリアの空に消えてしまった。
 
民営化の郵政を軌道に乗せ、信頼ある郵便システム、庶民の銀行をひたすら目指せばよかったのに、経団連副会長を勤め、東芝のドンだった西室泰三氏当時78歳を何故か安倍政権は社長に据えた。財界の国際通として、早速手を付けたのがこの豪トール社の買収だった。経団連でも国際事項では西室氏に異を唱える人はいなかった。西室泰三氏は東芝を崩壊させた米国の原発メーカー・ウエスティングハウス(WH)の買収を画策した人物でもあり、日本郵政は財界のおもちゃにされたといえよう。
 
「法外な値で海外企業を買い、やがて損失が露呈し、カネを外国に吸い取られる。そんな経営者が財界の顔役となり、老いてなお巨大企業を渡り歩く。日本の産業界は一体どうなっているのか」(山田厚史氏)との批判もあるが、日本郵政は4000億円の責任を誰がとるのか先ず明らかにすべきだろう。幸い東芝のようにリストラはしないで済みそうだが、額に汗して働く従業員は報われない。

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