今月の消費者物価が消費税増税で都区内調査で2.7%になったとの報告があり、これもアベノミックスの成果でデフレ脱出は目の前との閣僚の評価もされている。物価が上がることがそんなに良いのだろうか。10日間、ベネルックス3国を回って日常生活で重要な食料品、外食の値段に触れる機会があったが、つくづく感じたのは日本の物価が実に安いということだった。
日本の消費税である付加価値税を見ると、オランダ、ベルギーは21%で食料品は6%の軽減税率、ルクセンブルグは15%で食料品、外食は3%の軽減税率となっている。したがって日本の税率が8%になり、食料品に関しては日本の税率が高い。ところが、ユーロが強くなったせいか全般的に日本の物価が安くなっている。もちろんチーズのように高い関税をかけているものは日本の方が高い。
庶民が利用するレストランやカッフェでのランチで見ると、ブラッセルやアムステルダムでは18ユーロを前に出して宣伝している店が多い。日本円で2600円だからほぼ日本の銀座や丸の内のランチ代の倍で、ビックリした。ドライブインの地元系ハンバーガーショップでは14ユ-ロセットを売りにしていた。免税であるオランダスキポール空港内の売店で、サンドイッチとカフェラテを買ったら9ユーロ(約1300円)弱、税抜きでもセブンイレブンの倍はする。
かつては、日本は物価が高いといった時代があったが、現在は神話になりつつある。この原因は日本の外食産業やコンビニといった小売り産業の企業努力と肉類を中心とした関税率の減少が上げられる。電機電子製品の価格は従来から安かったが、ここへ来て消費税増後の方が値段が下がったという奇妙な現象も起きているが、心配なのは外食産業も含め、97年以降人件費の節約がやり過ぎではないかという懸念だ。
欧州は労働協約で賃金と労働時間はきっちりと規制されている。物価の安さが安い人件費や長時間労働の上で実現されてないか絶えずチェックする必要がある。